算数100点だよと見せてきたけれど…うちの子、こっそり答えを見てる? 上手な「解答集」との付き合い方とは

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自習ができるようになると、自分で答え合わせを行うために「解答集」を子どもに持たせたりします。その扱いに疑問や不安をもつパパママも少なくないようで…。
タブレット教材を展開する RISU Japan 代表で『小学生30億件の学習データからわかった 算数日本一の子ども30人を生み出した究極の勉強法』の著者・今木智隆さんに、「解答集」の管理問題について伺いました。

ご家庭で市販の問題集を買うなどして自主学習に取り組んでいると、案外悩むのが「解答集」の取り扱いです。ある親御さんからは、子どもが「100点だよ!」と見せに来たけれど、どうやらこっそり答えを見ているようで……どう対応するべきでしょうか?という相談が寄せられました。

解答集は子どもに持たせるべきか?親が預かるべきか?  今回は解答集との付き合い方について考えます。

100点だよ!と見せてきた子。どう受け止めるべき?

解答集との付き合い方についてお話しする前に、まずは相談にあった「子どもがこっそり答えを見ているかもしれない」場面での対応について考えましょう。もしかしたら、同じように悩む親御さんがいらっしゃるかもしれません。

子どもがこっそり答えを見ているかもしれないと気付いたとき、親としての気持ちは次の2つの問題が絡み合ってモヤモヤしています。

1つは「学習内容を理解していないかもしれない」という問題。そしてもう1つは「答えを見たことを隠している(嘘をついている)」という問題です。子どもに話をするなら、この2つの問題は分けて伝えるほうが良いでしょう。

答えを見ているかもしれないと思ったら

こっそり答えを見ているなと思っても、子どもが見せてきた問題集は全部マルが付いています。このような場面で初めから「あなた嘘をついているでしょう?」と決めつける言い方をするのは、親からすると子どもを信用していないようで、できないですよね。

そんなときは、逆に子どもに質問をしてみましょう。「どうしてこう思ったの?」とか、「ここが分からないから、解き方を教えてほしい」と子どもに聞いてみるのです。もし自力で問題を解き、内容をちゃんと理解しているのなら、「どうしてその答えになるのか」はスムーズに説明ができるはずです。

説明に詰まったら、学習内容は理解していないと判断できますよね。このとき「理解していないこと」を頭ごなしに怒ってはいけません。子どもの理解度は性格や得意・不得意な分野によって個々に違います。すぐに理解できる子もいれば、根気強く取り組んでやっと理解できる子もいるのです。

問題は、「分かっていないのにどうして分かっているフリをしたのか?」ということです。

答えを見たことを隠して100点だと言う、子どもの気持ちを考える

まず、答えを見たことを隠したり、「見ていない」と言ったりすることは“嘘をついている”ことになります。強い口調で怒鳴る必要はありませんが、

「隠すという姿勢は良くないよね」
「ズルをして取った100点って、本当にうれしいかな?」

というような話は、冷静に話して聞かせるべきでしょう。ただ、子ども側にも、そうせざるを得なかった事情があるかもしれません。それは、親御さんが振り返るべき問題です。

子どもの接し方に問題はなかったか振り返る

そもそも「解答を間違えること=悪いこと」ではありません。間違えることは新しい“どうして?”を生み、次につながる良い失敗でもあります。もし子どもが間違えることを怖がり過ぎているのなら、子どもに対してそう思わせてしまうような接し方や声掛けをしてしまっていないでしょうか?

無意識に100点が当たり前だと思わせてしまうような言葉をかけていたり、間違えたことを責めるような言い方は、子どもにプレッシャーを与えている場合があります。

「どうして間違えたの?」「なぜ分からないの?」というような言い方は、子どもにとって分からない原因を追及されているように聞こえてしまいます。「どこを間違えたの?」「どのあたりが分からないの?」と言い換えるだけでも、一緒に考えてくれる印象に変わります。

家庭学習の場合、100点(全部マル)になったら、おやつやゲームが解禁されるルールを作っているご家庭もあると思います。このとき、子どもの実力に対して課題の難易度が高すぎると、子どもは解くことを諦めてこっそり答えを見ようと考えることもあるでしょう。思い当たるようでしたら、課題のレベルを少し落とすなど、保護者側がやり方を見直す必要があります。

タブレット教材「RISU算数」でも、答えを見ているのでは…と思われるお子さんには、親御さんへフォローのメールをお送りします。極端に短い時間で0点が100点になったり、間違えた問題があったのに、すぐに正解に変わって100点になった場合などです。

しかし、時々、親御さんがショックを受けられて、お子さんを問い詰めたというようなケースを耳にするため、対応は非常に慎重に行っています。

根本にある原因はつまずきであるとの認識を強く持ち、その箇所をしっかりと探った上で、お子さんが自分で答えを導き出せるような解説を送るようにしています。

解答集は、子どもに持たせる?親が預かる?

解答集は子どもに持たせるかどうか?という点については、私は「小さいうちは親が預かり、高学年になったら子どもに任せる」方法が良いのではないかと考えます。

理解していないのに答えを見て終わったことにするのは、結局のところ自分のチカラにならないのですから、あまり意味のない行動です。小さいうちはそのことが分からず、ただ全部マルにすることを目的にしがちです。

何年生になったら、という基準より、その子が形だけの100点に意味のないことを理解し、自分の学習に向き合えるようになったタイミングが解答集を任せても良いタイミングではないでしょうか。

解答集の扱い方を親子で話し合ってみましょう

今回は、子どもがこっそり答えを見ているときの対応についてお答えしました。どうしても分からない問題や思い出せない暗記系の答えは、答えを見ずに時間をかけて悩むより、さっさと答えを見て覚えた方が効率良く学習できることもあります。一概に、答えを見ることが悪いこととは限りません。

中学生、高校生と大きくなれば、自分で答えを見て丸つけをして、復習をしていくことが当たり前になります。解答集との付き合い方も小さい頃からの1つの経験です。どのように扱う方法が良いか、親子で話し合ってみてはいかがでしょうか。

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記事執筆

今木智隆|RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了。ユーザー行動調査・デジタルマーケティングのbeBitにて国内コンサルティング統括責任者を経験後、2014年、RISU Japan株式会社を設立。小学生の算数のタブレット学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムを考案。国内はもちろん、シリコンバレーのスクール等からも算数やAI指導のオファーが殺到している。

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構成/HugKum編集部

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