2~4歳児の夏の体調管理オールガイド|肌バリア・夏の感染症・暑い季節の発熱対策・・・おさえておきたい基本とは

親子ともに楽しい予定が目白押しの夏。でも体調管理を怠ると、熱中症や日焼け、虫さされといったトラブルも。予防や園児とママの情報誌 ホームケアについて知っていれば安心して遊べます。

大人が正しい知識を持ち対策をとることが必要

2~4歳の幼児世代は、まだ自分の体調不良を言葉で的確に伝えるのが難しい年代です。まわりにいる大人が常に子どもの状態を観察し、過ごしやすい環境を整え、水分補給や休憩など必要に応じた対策をとることが欠かせません。そのためにも、まずは大人が夏の体調管理について正しい知識を持つことが大切です。

特に夏は午前10時から午後2時ごろまでは、紫外線が強く気温も高くなる時間帯であるため、できるだけ屋外での活動を避けたいところです。また、それ以外の時間でも屋外に出る際は、つばの広い帽子をかぶる、肌の露出が少ない衣服を選ぶこともリスク回避につながります。

肌のバリア機能を保つことが体調管理につながる

体調管理のために普段から心がけたいのは、睡眠と食事をしっかりとること、冷たいものを食べすぎないこと、そして子どもの様子をよく観察することの3つです。子どもが元気に過ごすための基本として、夏に限らず意識してもらいたいです。

また、肌のバリア機能が保たれていると、日焼けや虫さされが悪化しにくくなります。たくさん汗をかくので、一見肌は潤っているようですが、紫外線や汗のダメージを受けるため保湿が重要です。日焼け止めや虫よけを塗ったら、帰宅後よく洗い流すことも忘れないで。皮膚からウイルスや菌が入り込んで、感染症を起こすことも避けられます。

夏を元気に過ごす3つのポイント

1.睡眠と食事をしっかりとる

よく寝て、よく食べることは体調管理の基本!  夏休み中は特に、普段より夜ふかししやすくなりますが、睡眠時間が短いと気温上昇に体が対応できず、夏バテや熱中症も起こしやすくなります。また、日中に出かける予定がある時は、朝食も十分に食べて体力をつけておきましょう。

2.冷たいものの食べすぎに注意!

冷たい飲み物やアイスクリーム、かき氷などがおいしく感じる季節です。汗をかいた後や暑い場所で過ごした後に冷たいものを飲むことは、体の要求もあるので構いませんが、常に冷たいものばかり摂取すると夏バテの原因に。いくら子どもがほしがっても、適量にとどめておきたいところです。

3.子どもの様子をよく観察する

めばえっ子世代は、自分の体調の変化に気づけないことも。ぐったりしている、おしっこの量がいつもより少ないなど、いつもと違った様子がないか、まわりの大人が観察することが必要です。暑い季節は屋内であっても、こまめな水分補給を忘れないよう子どもに声かけをしましょう。

ケアと対策

高温下での熱中症、強い日差しによる日焼け、屋外活動での虫さされや、暑い季節に流行しやすい感染症など、夏に起こりがちなトラブルの数々。症状別に対策とホームケアを知っておきましょう!

熱中症

◆対策

夏が近づくと環境省と気象庁から熱中症警戒アラートが発表されます。天気予報とあわせてお知らせされることも多いので、それを参考にして外出するかどうかを判断します。外出する場合はなるべく涼しい場所を選び、汗をかきすぎる活動は控えるなど、過ごし方についても考慮しましょう。

めばえっ子世代は体温の調節機能が未発達なため、体に熱がこもって体温が上昇しやすいのに加えて、身長が低いので地面からの照り返しの影響を強く受けます。暑い中出かける際は、通気性のよい服装を心がけ、帽子で日よけを。水分補給をこまめに行いましょう。また、無理せず適度に休憩することも大切です。

◆ホームケア

顔が真っ赤で体温が上昇している、ぐったりしているなどの様子がみられたら熱中症を起こしています。まず涼しい場所に移動して衣服をゆるめ、安静に寝かせます。次に首のまわり、太もものつけ根、脇の下など太い血管が通っている部位を冷やしましょう。

氷のうや氷がなければ、濡らしたタオルや冷たい飲料が入ったペットボトルなどでも。体温より低いものなら冷却効果があります。嘔吐が続く、呼びかけに反応しないなど意識障害がみられたらすぐに救急車を呼びましょう。

Q.糖分の摂りすぎが心配で、甘い経口補水液を飲ませるのに抵抗があります。何を飲ませればいいですか?

A.熱中症予防のためであれば、水分と糖分、塩分は別に摂ってもOK。

汗をかいた時に摂取するものとして、最も効率がいいのが経口補水液と言われるものになります。少ない容量の中に糖分に加えて塩分も含まれているので、血管内に必要な成分が効率よく届きます。
熱中症の症状が出ているわけではなく、汗をかいた時の対策として水分補給するのであれば水や麦茶などでも。なるべくこまめに飲むようにし、水分とは別に飴やおせんべい、梅干しなどで糖分と塩分も摂ることを心がけていただけるといいでしょう。

日焼け

◆対策

紫外線を浴びすぎると肌がダメージを受け、炎症などのトラブルに。2~4歳の幼児世代にはSPF15以上、PA++ ~ +++で、無香料・無着色の表示がある日焼 け止めを選び、外出前にたっぷりと均一に塗りましょう。汗をかいたらこまめに塗り直しを。

また、つばが7㎝以上の帽子は、約60%の紫外線をカットできます。七分袖など肌を覆う部分が多い服を着ることも効果的ですが、 熱中症対策も考え、白や淡い色で、綿や綿・ ポリエステルの混紡素材を選び、体温上昇を防ぎましょう。

◆ホームケア

日焼け止めを塗っているなら、帰宅後にやさしく円を描くように石けんで洗い流します。日焼け止めが肌に残っているとトラブルの原因になります。赤くなる、黒くなるといった見た目の変化がなくても、痛みがあるようなら湯船にはつからずシャワーだけで構いません。

「紫外線をたくさん浴びた」と感じる日は、入浴後はいつもよりていねいに保湿します。肌にほてりを感じるなら氷のうなどで冷やしましょう。水疱ができている、赤みが強く出て痛がるなどの症状があれば受診を。

Q.子どもが帽子や上着などでの紫外線対策を嫌がる場合はどうしたらいいですか?

A.屋外に出る時間や遊ぶ環境を調整してみましょう。

気象庁から提供されるUVインデックスを用いた紫外線情報を参考に、屋外に出る時間を調整してみましょう。日陰は紫外線量が日なたの約50%になるので、テントやパラソル、シェードなどを積極的に活用し、子どもが遊ぶ場所に日陰を作るのも。
なお、皮膚は紫外線が強くなる4月ごろから色素を増やして角層が厚くなります。夏から秋は紫外線に対する抵抗力が強くなるので、可能な範囲で対策をしながら外遊びをできるといいですね。

虫さされ

◆対策

虫さされ対策として効果的なものは虫よけ用品を使うことだと思います。子どもの肌に直接使うことに抵抗がある場合は、スプレータイプの虫よけを衣服につける方法もあります。皮膚につける虫よけの成分のうち、「イカリジン」は蚊に対して効果があり、年齢による使用制限がないので、めばえっ子世代も安心して使用できます。

また、虫よけ用品以外の対策では子どもが遊ぶ場所の近くで蚊取り線香をたく方法もあります。使用や保管の際は事故防止のため子どもの手が届かない場所に置きましょう。

◆ホームケア

刺された部分を流水でしっかり洗い、市販の虫さされ薬や処方されている軟膏を塗ります。肌につけた虫よけ剤を落とすためにも、屋内に戻ったら石けんと水で皮膚を洗うことが大切です。

なお、虫さされで生じる赤みやかゆみは、アレルギー反応のひとつ。年齢や体質によって「即時型反応」と「遅延型反応」があります。子どもの場合は「遅延型」がよく起こり、刺されて時間が経ってから赤み、かゆみが出ることも。普段の虫さされよりも大きく腫れている場合は受診を。

Q.蚊やハチ以外に気をつけたほうがいい虫はいますか?

A.木登りをする時はチャドクガ、山遊びの際はマダニなどにも注意を!

蚊やハチ以外でよくみられるのはチャドクガというガの一種です。木に生息していることが多いので、木登りをしたり、茂みで遊んだりした時に接触し、毒性のある毛が肌に触れると強いかゆみ、赤みが出ます。

また、アウトドアブームもあり、キャンプに出かけた際にマダニに噛まれたという症例も聞くことが増えました。草むらで遊ぶ時には、長袖長ズボンなど肌の露出を避ける服装がよいでしょう。図鑑などであらかじめ危険な虫について親子で確認しておくのもいいですね。

夏に流行しやすい感染症は?

アデノウイルス感染症

「プール熱」という別名もあるように、プールで泳ぐ機会が増える季節に流行しがちです。高熱が出たり平熱に戻ったりする状態が4~5日続き、のどの炎症も強く、目の充血や腹痛、下痢など胃腸症状を伴うことも。アデノウイルスに対する有効な治療薬は今のところないため、症状に応じた対症療法を行います。

手足口病

手のひらや足の裏、口のまわり、のど、おしりなどに発疹が出るウイルス感染症です。発熱などの症状は出ないことが多く、発疹も子どもはそこまで痛みを伴いません。ただ、大人が感染すると強い痛みがあります。見た目は痛々しいですが、元気に過ごせているなら登園も可能です。

ヘルパンギーナ

のどの炎症が強く出て、高熱も出やすいウイルス性感染症です。せきや鼻水の症状がないのに、高熱が出てのどが赤く腫れている場合はヘルパンギーナであることが多いです。のどにできた水疱が破れると痛みを感じるため、飲食がしづらくなり脱水症状につながることがあるので注意が必要です。

溶連菌感染症

高熱が出て、のどの痛みがあるほか、体に発疹が出ることも。のどの奥が白っぽくなるため、ヘルパンギーナと見分けられます。溶連菌は細菌なので、抗生物質による治療が可能です。確実に体内の溶連菌を退治して、合併症を起こさないためにも、10日程度抗生物質を飲み続けます。

暑い季節の発熱!ホームケアはどうする?

適度に体を冷やし汗をかいたら着替えを

熱があっても寒がるようでなければ薄着にして問題ありません。季節に限らず、発熱がある時はクーリングが大事で、首まわりや脇の下、そけい部など太い血管がある部位を冷やしますが、子どもが嫌がるようであれば無理のない範囲で構いません。体に直接冷風が当たらないようにしながら、エアコンも使って室内を快適な気温に保ちましょう。

熱があると発汗も増えますが、濡れた衣服のままでは、必要以上に冷えてしまいます。汗をかいたらこまめに下着を交換してあげましょう。ただ、寝ているのを起こしてまで着替えさせるのは親も子も大変ですよね。その場合は、背中にタオルを入れておき、汗をかいたらタオルを取り除くようにすれば、着替えと同じような効果が期待できます。

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教えてくれたのは

千葉智子先生
東京都中野区にある上高田ちば整形外科・小児科副院長。小児科専門医。2男1女の3児のママ。子どもと保護者に寄り添う外来診療がモットーで分かりやすい言葉でブログ、Instagram等での発信、医療記事の監修などを行っている。

『めばえ』2023年7月号
イラスト/さいとうあずみ
文/古川はる香
構成/KANADEL

親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。

再構成/HugKum編集部

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