「マジ」は江戸時代から使われていた!「えっ!それマジ?」【知って得する日本語ウンチク塾】

国語辞典編集者歴37年。日本語のエキスパートが教える知ってるようで知らなかった言葉のウンチクをお伝えします。

「マジ」は「まじめ」の略

「マジ、やばい」などと言うときの「マジ」ですが、実は江戸時代からあった語だということをご存じでしょうか?

「マジ」は通常「まじめ」の略だと考えられていますが、「まじめ」も「マジ」も使われ始めたのは、同じ江戸時代からのようなのです。

『日本国語大辞典 第2版』には、江戸時代の「まじ」の使用例が引用されています。『にゃんの事だ』(1781年刊)という洒落本(しゃれぼん)のものです。

「気の毒そふなかほ付にてまじになり」

と使われています。意味は「まじめ」と同じです。

洒落本は主に江戸の遊里の内部や、遊女、客の言動を、会話を主体に描いた小説です。

『にゃんの事だ』なんて、ネコ本か?と思ってしまいそうですが、残念ながらそうではありません。この小説は、江戸本所の一つ目弁天前にあった岡場所(非公認の遊里)を舞台にしています。この岡場所は猫茶屋とも呼ばれ、そこの遊女はネコと称していたために「にゃん」なのです。でも、江戸時代にもネコは「にゃん」だったのですね。

「まじめ」の省略形が「マジ」

「マジ」のもとになったと言われている「まじめ」ですが、語源はよくわかっていません。「まじめ」も「マジ」も江戸時代から使われていた語ですので、「まじめ」が生まれて比較的早い時期にその省略形の「マジ」が使われるようになったと考えられています。でも、語源は不明ですが、もともと「マジ」という語があり、それに「細め」「控えめ」などと同じ、度合い、加減、性質、傾向の意味を添える接尾語「め」がついて、「まじめ」になったという可能性も考えられます。

現在使われている「マジ」は、江戸時代の用法とはいささか異なるため、それが継続的に使われたとは言えないかもしれません。でも、根っこの部分は同じだと考えてもよさそうです。

江戸時代のことばって、けっこう身近なところに存在しているのです

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神永(かみなが・さとる)
辞書編集者、エッセイスト。元小学館辞書編集部編集長。長年、辞典編集に携わり、辞書に関する著作、「日本語」「言葉の使い方」などの講演も多い。著書『悩ましい国語辞典』(時事通信社/角川ソフィア文庫)『さらに悩ましい国語辞典』(時事通信社)、『微妙におかしな日本語』『辞書編集、三十七年』(いずれも草思社)、『一生ものの語彙力』(ナツメ社)、『辞典編集者が選ぶ 美しい日本語101』(時事通信社)。監修に『こどもたちと楽しむ 知れば知るほどお相撲ことば』(ベースボール・マガジン社)。NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる』にも、日本語のエキスパートとして登場。新刊の『やっぱり悩ましい国語辞典』(時事通信社)が好評発売中。

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