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kazuki「オファーなしでは活動できないダンサーでも、YouTubeだったら自分で発信できる」
2020年5月のコロナ禍の中、kazukiさんが『カズキのタネ』をスタートさせましたが、YouTubeを始めたきっかけ、さらにYouTubeを始めてからのご自身の変化を教えてください。
kazuki:ダンサーってステージに立つにも楽曲の振り付けをするにもレッスンをするにも、オファーがないと何も活動できないんです。コロナ禍になって、そのオファーが一気に止まって、個人としてやることがなくなっちゃう…って思っていました。僕はたまたまs**t kingz (シットキングス)のメンバーなので、グループとしての活動はあったんですけど。
YouTubeには以前から興味があったし、s**t kingzのファンクラブアンケートで「YouTubeをやってほしい」という声も結構あり、当時シンプルに時間ができたというのも重なって始めた感じです。
『カズキのタネ』を始めて、言いたいことや表現したいことを、自由なタイミングで自分だけの感覚で発信できるというのは自分の中でだいぶ大きいですね。
Show-heyさんは、『カズキのタネ』スタート当初からほぼほぼレギュラーのように出演されていましたが、kazukiさんとYouTube活動をし始めて、ご自身で何か変わったことはありますか。
Show-hey:僕も当時、時間があったんで(笑)。変わったことといえば、今までは経験者や自分の生徒を対象にがっつりダンスをするワークショップ(特別なレッスン)を行っていたんですが、「『カズキのタネ』をきっかけにダンスを始めました」という方が結構いて、入門クラスとか初心者クラスをリクエストされて開くようになりました。
「結構みんな見てくれてるんだ」「ダンスに興味を持ってくれている方がこんなんにたくさんいるんだぁ」と本当にうれしくなったし、ダンスを始めたばかりの方々に教えるのが、今すごく楽しいと思っていて、自分の心持ちが1番変わったと思います。
Show-hey「kazukiから『レギュラーになって』と誘われたときは告白されたみたいでした(笑)」
『カズキのタネ』がスタートして1年ほど経ったころに、Show-heyさんがついにレギュラーになりましたね。
kazuki:コロナ禍だったのでひとりで始めた『カズキのタネ』でしたが、もともと友だちダンサーや生徒を巻きこんで動画を作りたいと思っていたし、Show-heyくんのことは、ダンスに関しても喋りに関しても、絶対的な信頼があるので、もうレギュラーになってもらって、一緒に責任を背負ってもらおうと思って誘いました(笑)。
Show-hey:あっ、責任背負わされていたんだ(笑)。それまで出演していたときも、高校生ぐらいに感じた“友だちと遊ぶ感覚”に似ていてめちゃくちゃ楽しかったし、kazukiとは長い付き合いで、2人でクラブのステージ上で踊らずにモノボケをしていたくらいの仲だったので、その感覚が続くなら絶対面白いと思いました。
基本、僕は「ワクワクすることを選択して生きよう」って決めているので、誘われたときはkazukiの話が終わる前にOKって即答しましたね。でもkazukiが誘ってきたとき…告白みたいで(笑)。
kazuki:ちょっといい焼肉店を予約して、話があるんだけど来てくれないみたいな感じで…。当時、今以上に『カズキのタネ』が絶対必要だって強く思っていたし、今ここでShow-heyくんを逃すとひとりで続けていけるのかなって不安もあって緊張していたと思います。確かに告白みたいな雰囲気だったかもしれません(苦笑)。
2人になって、やっぱり仲間がいる方が心強いし、創造的な企画でもチャレンジしてみようかなって思えています。自分が企画を思いついた時点で、動画の過程や結末がなんとなく想像ができているんですけど、やっぱりそれは2人だからこそだと思いますね。
Show-hey:基本kazukiが企画を考えるんですけど、毎回kazukiから投げられるお題をどうふくらませるのかが楽しみです。事前に、こういうボケだったらおもしろいかなとか考えたり、撮影に参加してくれるメンツのInstagramとかを見て最近やっていることをチェックしたりはしますが、撮影当日は特別にkazukiと打ち合わせをすることなく撮影に入っています(笑)。
kazuki「ダンスを広める一歩は、世の中に寄り添うようなダンスのあり方を提示すること」
当時、今以上に『カズキのタネ』が絶対必要だと思ったという意味を教えてください。
kazuki:ダンサーって、ちょっとプライドが高いんですよ。今は「踊ってみた」とかやっていますが、昔の自分だったら絶対に人が振り付けしたものは踊らないし、ワークショップなんかでも自分のスキルをフルに活かせるような難しいレッスンだからこそ、自分がする意味があると思っていたし。ほとんどのダンサーが今もそう思っているんじゃないかな…。
Show-hey:そうだね。誰かの振りを踊っていたら、「あー、やってるね」みたいな空気感がすごいある。ダンサー界って、華やかな世界に見えるけど、コミュニティー自体は結構狭いよね。もちろんすごい人は認めるけど、自分はもっとすごいことやろうと思うのが当たり前な感覚かも…負けず嫌いなんだと思います。
kazuki:でも僕は、そんな感じでプライドを持ってお高く止まっているから、ダンサーが世の中に認められにくいのかなって、『カズキのタネ』を始めるぐらいに気づいたんです。しっかりしたスキルを持った人が、ちゃんと世の中に寄り添うようなダンスのあり方を提示することが、ダンスを広める一歩のような気がして…。
だから『カズキのタネ』では、バカみたいな企画にダンスを絡めながらやって、その動画を楽しんでいるうちに、気づいたらちゃんとかっこいいダンスも見ている。そういった流れに持っていきたいと思いながらやっていて、それが今ダンサーとして必要だなって思ったんです。
Show-hey:コロナ禍になってダンサー活動が止まったときに、僕は自分の存在意義をすごく考えさせられて…そして立ち返ったんですよね。専門学校でダンスを始めたんですけど、1年生の夏ごろに大澄賢也さんがワークショップに来たことがあって。正直、僕がやっていたジャンルとは違かったけどウキウキしたのを思い出しました。
やっぱりプロで活躍して説得力がある人に教えてもらうってすごい大事なんですよね。『カズキのタネ』きっかけで始めた入門や初心者クラスも、自分だからこそ教えられることもあるって思っているし、何より教えているときに「踊るってやっぱり楽しい」と再認識できたんで、『カズキのタネ』を通して、もっといろんな方とその思いを共有していきたいと思っています。
Show-hey「『カズキのタネ』で、振り付けや構成のやり方を勉強させてもらっています(笑)」
『カズキのタネ』ではkazukiさんとShow-heyさんの「あうん」の呼吸でおもしろさが倍増していると思います。若い頃からダンサー仲間で同じチームで踊られたこともあり、17年の付き合いだということですが、お互いのダンスの良さを教えてください。
kazuki:それは恥ずかしい。s**t kingzではよくインタビューで聞かれて答えるんですけど、Show-heyくんとやることは今までなかった。そうですね…、Show-heyくんは普段ふざけることもたくさんあって、そう見えないとは思うんですけど、頭いいんですよね(笑)。振り付けの繊細さや計算された流れとか。こうしたいからこう見せるとかっていう組み立てがめちゃくちゃ上手だなって思います。
Show-hey:kazukiは『カズキのタネ』でもよく言っているんですけど、手が大きくてすごく印象的なんです。繊細さとダイナミックさのいいバランスをとっていて、そこにグルーブがあったり。あと1番はやっぱり引き出しがめちゃくちゃ多い。音に対してのアプローチの仕方が無数にあって、しっかり振り付けをしながら自分を表現できる人だと思っています。
kazuki:ダンスをいろいろ見るとき、戦い方みたいに感じるときがあって、ダンサー「あるある」みたいな感じなんですけど。僕は切れ味の鋭いナイフで戦っていて、Show-heyくんはロープで巧妙にインテリジェンスな戦い方をしているようなイメージがすごいあります。
Show-hey:フィールドは一緒だけど、武器が違うって感じですね。僕もkazukiみたいに手が大きかったら多分もっと手の動きをやるんですけど、僕の手、小さくてクリームパンみたいな手なので、どっちかというと手首を使うんですよ。それが多分ロープっていうイメージなんだと思います。
あと僕のいるRADIO FISHは、基本僕が主体となって振り付けや構成を作るんで、あんまり人のやり方を間近で見ることはないんです。『カズキのタネ』をやってなかったら、kazukiがどうやって振り付けや構成をつけるのかを見ることはなかったので…すいません、勉強させてもらっています。
kazuki:かまへん、かまへん(笑)。
Show-hey:俺もだよって言わないの?(苦笑)。
インタビュー後編はこちら
2023年「カズキのタネ」ツアーで出会った親子とのエピソードや、小・中学校でダンスの授業が行われていること、ダンス苦手意識の克服方法などをお伺いし、さらにYouTube撮影現場の様子もレポートします!
kazukiとShow-hey アザーカットもたっぷりお見せします!
画像ギャラリーはこちら
プロフィール
左【kazuki】
世界的ダンスパフォーマンスグループ“s**t kingz”(シットキングス)のメンバー。BE:FIRST「Scream」、Nissy「Get You Back」、Snow Man「W」 をはじめ様々なアーティストの楽曲の振り付けを手がける。2023年は「s**t kingz Dance Live Tour 2023『踊ピポ』」&「s**t kingz Workshop Tour 2023」で全国7都市を回り、ダンサー史上初となる日本武道館単独ライブを10月25日(水)に開催。
右【Show-hey】
SKY-HI「Sexual Healing」、w-inds.「Get Down」、 Da-iCE「BACK TO BACK」をはじめ、数々の楽曲の振り付けを担当。オリエンタルラジオを中心に結成された“RADIO FISH”のメンバーとして、音楽プロデュースにも携わる。2025年の日本武道館公演を目標に活動中で、2023年12月31日(日)には「RADIO FISH LIVE “EUREKA”」が大阪・Zepp Nambaで開催。
【カズキのタネ】
2023年に引き続き、2024年も「カズキのタネツアー」の開催が決定。全国11都市で、トークショーとワークショップが開かれる予定。詳細は【https://lit.link/kazukinotane】まで。
【YouTube】https://www.youtube.com/@kazukinotane
【Instagram】https://www.instagram.com/kazukinotane_youtube/?hl=ja
【X (旧Twitter)】https://twitter.com/kazukinotane?s=20
【TikTok】https://www.tiktok.com/@kazukistkgz
カメラマン/五十嵐美弥 取材・文/綱島深雪