火成岩とは何?「火山岩」と「深成岩」ができる過程について学ぼう【親子でプチ地質学】

火成岩とは、地中深くにあるマグマが冷えて固まることでできた岩石です。火成岩はでき方によって、火山岩と深成岩の2種類に分類されます。それぞれの特徴や、その中でもどのような種類に分けられるのかを見ていきましょう。

火成岩って何だろう?

岩石にはさまざまな種類がありますが、その一つにマグマが冷え固まってできる「火成岩(かせいがん)」が挙げられます。まずは火成岩のでき方や、岩石の種類について解説していきます。

マグマが冷えてできる岩石のこと

火成岩とは、マグマが冷え固まってできた岩石のことです。地中深くにあるマグマは非常に高温ですが、噴火などで地表に流れ出たり地中で固まったりすることで火成岩が作られます。

そもそも岩石は、鉱物とガラスが集まってできるものです。岩石には他にもたくさんの種類があり、どのようにできたかによって堆積岩(たいせきがん)や変成岩(へんせいがん)などに分類されます。

堆積岩は名前の通り、砂や動物の死がいなどの堆積物が固まったものです。また変成岩は、岩石が圧力や熱の作用で変成したものをいいます。

「火山岩」と「深成岩」に大別される

火成岩には、大きく分けて火山岩(かざんがん)深成岩(しんせいがん)の2種類が存在します。どちらもマグマが固まったものですが、でき方が異なるのがポイントです。

火山岩と深成岩をあわせて「火成岩」と呼ぶ
火山岩と深成岩をあわせて「火成岩」と呼ぶ

マグマは地球の内部に存在する液体であり、岩石が溶けて非常に高温になっています。マグマが噴火によって地表に流れ出て、急激に固まってできたものが火山岩です。

一方深成岩とは、マグマが地表に出ないまま地下で固まった岩石を指しています。高温のマグマが地中で固まるには長い時間がかかるため、火山岩とは違いじっくりと冷え固まっているのが特徴です。

同じ火成岩でも、できた場所によって「火山岩」と「深成岩」に分かれる
同じ火成岩でも、できた場所によって「火山岩」と「深成岩」に分かれる

火成岩その1.「火山岩」の特徴と種類

火成岩の中でも、マグマが地表付近で急激に冷やされて生成された岩石を火山岩といいます。火山岩の特徴と、その種類にはどのようなものがあるかをチェックしましょう。

地表で急激に冷やされてできる

マグマが急に冷やされてできる火山岩は、火口の近くなどにできるのがポイントです。地表に噴出したマグマが固まってできることから、噴出岩とも呼ばれています。

斑状組織(はんじょうそしき)という、まだらになった岩石の組織が特徴です。斑状組織とは、石基(せっき)といわれるガラス質の組織の中に、斑晶(はんしょう)と呼ばれる小さな結晶が点々とできている状態を表しています。

火山岩は急速に冷えて固まるため、時間をかけて大きな結晶を作ることができず、そのまま石基として固結してしまうのです。

火山岩は図中左の斑状組織が特徴。右は後述する深成岩の特徴

主な火山岩

火山岩には色や硬さなど、さまざまな特徴があります。流紋岩(りゅうもんがん)・玄武岩(げんぶがん)・安山岩(あんざんがん)が、代表的な火山岩の一種です。

流紋岩はきめが細かいのが特徴で、白っぽいものや紫がかったものなど、見た目は多岐にわたっています。玄武岩は黒っぽい見た目で、道端などでもよく見かける岩石です。安山岩は比較的硬く、耐久性に優れているため建築材として利用されています。

見た目だけでなく、それぞれ異なる用途を持っているため覚えておきましょう。

▲流紋岩 Wikimedia Commons(PD)
▲玄武岩 Wikimedia Commons(PD)
▲安山岩 Photo by  James St. John – https://www.flickr.com/photos/47445767@N05/14839780968/, CC 表示 2.0, 

火成岩その2.「深成岩」の特徴と種類

火山岩が地表付近で作られるのに対して、深成岩は地中深くでできる岩石です。深成岩の特徴と、代表的な深成岩の種類について紹介します。

地下でゆっくり冷やされてできる

深成岩は、地中にあるマグマがゆっくりと冷やされて固まったものです。長い時間をかけて固まっているため、火山岩と比べて結晶の粒が大きくなっています。

一つひとつの結晶が成長し、それぞれ同程度の大きさになっているのが深成岩の特徴です。このような粒の大きさが揃った組織を、等粒状組織(とうりゅうじょうそしき)といいます。

組織の大きさが不揃いの火山岩とは異なり、時間をかけて成長して組織の大きさが揃っているのが深成岩なのです。

等粒状組織のイメージ

主な深成岩

深成岩の種類としては、花こう岩(かこうがん)・閃緑岩(せんりょくがん)・斑れい岩(はんれいがん)を覚えておきましょう。火山岩と同様に、深成岩も石材として利用されることが多いものです。

花こう岩は「御影石(みかげいし)」とも呼ばれており、硬度が高く水がしみこみにくいのが特徴です。白やグレーがかった明るい色味で、光沢があるため墓石の材料として使われています。

閃緑岩は花こう岩と同じモザイク状の見た目ですが、花こう岩よりも黒っぽい色合いです。閃緑岩はその色味から、斑れい岩とともに「黒御影」と呼ばれています。

▲花こう岩
▲閃緑岩 Photo by  Amcyrus2012, Wikimedia Commons(PD)
▲班れい岩 Photo by  James St. John ,Wikimedia Commons

マグマからできる物質は火成岩以外にある?

火成岩はマグマからできる岩石ですが、他にもマグマによってできる物質はあるのでしょうか?

宝石が生まれる

実は、宝石もマグマからできる物質であり、岩石の仲間です。

一般的にはマグマが冷やされると岩石になりますが、ある一定の条件を満たし、特定の成分が集うことで美しい輝きを持つ鉱物が生まれます。その希少な鉱物が、宝石と呼ばれるようになったのです。

宝石にはさまざまな種類がありますが、温度・圧力などの条件やできる場所がそれぞれ異なります。例えばダイヤモンドは、地下の奥深くで生成される宝石です。その他にも、マグマによって生み出される熱水や気体から生まれるものもあります。

地球が生み出す多様な岩石に注目しよう

岩石がどろどろに溶けた液体状のマグマは、非常に高温になっています。地球の核近くに存在するマグマが、地表や地中で冷えて固まり生まれるのが、火成岩という岩石です。

火成岩には主に2つの種類があり、地表に噴出したマグマが急激に固まったものを火山岩、長い時間をかけて地中で冷え固まった岩石が深成岩です。火山岩と深成岩はできるのにかかる時間が異なるため、それぞれ結晶の大きさや組織が異なっています。

一口に火成岩といっても、見た目や用途が違うさまざまな岩石があることを覚えておきましょう。

こちらの記事もおすすめ

地層はどうやってできるの? 地層の仕組みや種類をおさらい【親子でプチ科学】
川岸や海岸などに行くと、地表に現れた地層の断面を観察できることがあります。異なる種類の石や砂が何層にも積み重なっている様子は、とても...

構成・文/HugKum編集部

編集部おすすめ

関連記事