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約1,000人ものアスリートの便を採取し、研究に活かす
元サッカー日本代表の鈴木啓太さん。引退後、腸内細菌の可能性に着目し、株式会社AuB(オーブ)を設立。これまでに約1,000人(45競技)ものアスリートから、2,200の検体を集め、研究に活かしています。前編では、幼い頃から行っていた腸活についてや、会社設立までのお話をご紹介しました。
前編はこちら
2~6歳はたくさんの菌を食べ、菌に触れて
―子どもの頃から腸活を行うメリットを教えてください。
鈴木さん:胎児のときは腸内細菌を持っていません。母親の産道を通って産まれ、母乳を飲み、生活の中で色々なものに触れながら菌を獲得していきます。
特に、ゴールデンエイジと呼ばれる2~6歳は、腸内細菌を整え身体の下地をつくる大事な時期。「腸内細菌の多様性」は健康を測る指標のひとつなので、この時期に食事から色々な菌を摂ったり、暮らしや自然の中で色々なものに触れたりしながら、菌を獲得することが良いと言われています。もちろん、小学生以降のお子さんも積極的に行ってください。
―「菌の多様性」とはどういうことでしょうか。
鈴木さん:これまでの研究から、腸の中に多種多様な菌がいてこそ、バランスが保たれ、便秘などの悩みの改善につながっていくということが分かってきました。免疫力を上げたいときも、特定の菌ではなくあらゆる菌によって腸全体で免疫力が上がっていくという考え方です。
そもそも、うんちは何でできていると思いますか?
うんちは何でできている?
―食べ物の残りカスでしょうか?
鈴木さん:実は、食べ物は5%しかないんです。60~70%は水分、残りは何かというと、腸壁がはがれたものと、腸内細菌の死骸です。大人の場合、腸内細菌はお腹の中に、約1.5kgいると言われています。
どんなに良いものを食べても、栄養を吸収する腸内環境が整っていないとバケツに穴が空いているようなもの。ですから、あらゆる菌が活性化できるようにすることがとても重要なんです。
うんちの話はタブーではありません
―鈴木さんも二人のお子さんがいらっしゃいますが、ご家庭ではどんな腸活をしていますか?
鈴木さん:僕も母と同じで、娘たちにきちんとうんちが出ているかを聞きながら育ててきました。今は思春期ですが、我が家では当たり前のこととして続けています。私自身も、良いうんちが出たら妻に「良いの出たよ」と見てもらいますよ。
―!!? 本当ですか!?ビックリされませんでしたか?
鈴木さん:確かに初めはビックリしていましたね。でも「これって俺の健康のバロメーターだから」と話して。現役時代、妻は僕の食事の管理を通してサポートしてくれていたので、今では「いいね!」と言ってくれます。
菌にも好みがある! 色々な食材を食べて
―信頼関係が深くて憧れます! 家族の食事で気を付けていることはありますか?
鈴木さん:食事は、妻が作ってくれることがほとんどですが、僕も時々担当しています。心がけているのは、色々な食材を使うこと。腸の中には、大きな分子のエサが好きな菌もいれば、小さな分子のエサが好きな菌もいるので、色んな種類のものを食べることが大切。時間がない日や忙しい朝は、野菜などをたくさん入れた、具沢山スープも定番ですね。
子育て中、忙しいときでも手軽に腸活できるものを
―AuBでは子ども向けのお味噌汁がありますよね。どんなコンセプトで作られたのでしょうか。
鈴木さん:今は共働きなどで忙しい親御さんが増えていますよね。子育てをする上で、親がご機嫌でいることは大事。忙しいとき、頑張りすぎずに手軽でも栄養が摂れるものを活用してもらいたいと思い開発しました。おなかも温まりますので、手軽な腸活に活用してもらえたら嬉しいです。
「おなかのためのスープ」
22種類のプロバイオティクスのほか、菌のエサとなる4種のプレバイオティクス、食物繊維をバランスよく配合。また、厚生労働省が定める子どもの1日の推奨量の1/2となるビタミン・ミネラルを配合しています。
「kids base」
腸内フローラをケアする酪酸菌や乳酸菌、糖化菌、ヒト由来のビフィズス菌など約30種類の多様な菌を配合。無味無臭の粉末なので、飲み物や食べ物に混ぜて無理なく続けられます。
まずはお子さんのうんちを見ることから
―子どもの腸活を始めるなら、何から始めたら良いでしょうか。
鈴木さん:まずはお子さんのうんちを見ることから始めてみてください。硬さを見て、下痢になったり、カチカチになったりしていないか。ニオイや色はどうかなど、現状を知るといろいろなことが見えてくると思います。小学生以上のお子さんの場合は、報告してもらっても良いですね。
また、食品やサプリなどから「菌を摂る」こと、オリゴ糖や食物繊維などの菌のエサで「菌を育てる」こと、そして、運動で体温を上げたり、歯磨きで口の中の雑菌をお腹に入れないようにしたりして「菌を守る」ことも大切です。腸活は昔から日本人の生活に文化として根付いていますので、難しく考えずにできることから始めてみてください。
菌を摂り、育て、守るのサイクルで無理なく腸活!
腸活という言葉をあちこちで耳にするようになりましたが、実際のところ筆者はヨーグルトを食べるくらいしかイメージができていませんでした。今回「菌を摂り、育て、守る」というお話を聞き、菌だけでなくエサとなるものを一緒に食べる、お腹を温めて菌を守る、など、毎日の生活の中でやれることが見えてきました! 皆さんも是非、お子さんと一緒に腸活を初めてみてはいかがでしょうか。
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構成/HugKum編集部 写真/五十嵐美弥 取材・文/寒河江尚子