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11歳では、男子は12.48%、女子は9.42%が肥満傾向
文部科学省が発表した『令和3年度学校保健統計』による、小学生の肥満傾向児の割合は次の通りです。入学時は男女とも5%台ですが、高学年になると男子は12%台、女子は9%台に増えています。
【小学生男子の肥満傾向児割合】
6歳 5.25%
7歳 7.61%
8歳 9.75%
9歳 12.03%
10歳 12.58%
11歳 12.48%
【小学生女子の肥満傾向児割合】
6歳 5.15%
7歳 6.87%
8歳 8.34%
9歳 8.24%
10歳 9.26%
11歳 9.42%
別の病気を調べるために血液検査を行い、脂肪肝が判明する子どもも
なかには「子どものうちは、少しぐらい太っていても大丈夫」「身長が伸びれば、そのうち痩せてくる」と考えるママ・パパもいますが、子どもの肥満は軽視できません。
当院は子どもの肥満治療も行っていますが、受診している子どものなかには、かかりつけの小児科で別の病気が疑われて血液検査をしたところ、中性脂肪が肝臓内に多く蓄積する脂肪肝が判明して、当院を受診するケースもあります。
子どもの肥満は、高血圧、糖尿病などの原因に
子どもの肥満は、大人の肥満と同様に高血圧、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群など、さまざまな問題を引き起こすリスクがあります。また、中性脂肪が肝臓内に多く蓄積する脂肪肝は、メタボを合併しやすく、放置すると肝炎などを引き起こすこともあります。
小学生でウエストが75cm以上あるときは、小児科で相談
子どもの肥満の目安は、ウエストを測ることでわかります。
小児(6~15歳)のメタボにはいくつかの診断基準がありますが、その1つがウエストサイズです。
小学生でウエストが75cm以上ある もしくは
ウエスト(cm)÷身長(cm)が0.5以上
の場合は注意が必要です。前述のように脂肪肝などが心配されるので、かかりつけの小児科で相談しましょう。
肥満症やメタボは、子ども時代の生活習慣が関係している
子どもの肥満対策には、生活習慣の見直しが欠かせません。大人になってからの肥満症やメタボの背景には、実は子ども時代からの生活習慣が大きく関係しています。その1つが運動習慣です。
幼児以上は、1日合計60分以上の運動を毎日続けて
とくに肥満傾向がある子は、体を動かすことが苦手だったりして運動不足になりがちです。1日の運動量は、幼児以上は子どもの年齢に関係なく、1日合計60分以上を目標にしてください。小学校の休み時間に、友だちと20分かけっこをして遊ぶならば、帰宅後、あと40分以上は体を動かす遊びやスポーツをしましょう。室内・屋外は関係ありません。
ポイントは、毎日続けることです。週1~2回、サッカーやスイミングなどの習い事で体を動かすだけでは不十分です。
ウォーキングアプリを活用するなどして、楽しく運動する習慣を
肥満傾向だと、運動が苦手だったり、体を動かすことが嫌いな子も多いです。そのため1日合計60分以上、体を動かすことができないということもあるでしょう。
そうした場合は、ウォーキングでも構いません。ただ歩くだけでは、つまらなくて継続しないと思うので、ウォーキングアプリを活用するなどして、楽しみながら歩く習慣をつけましょう。ママ・パパも一緒に毎日、歩いて親子で健康的な生活習慣に変えられるといいですね。
「運動嫌い」「運動は苦手」とあきらめずに、きっかけを作って
運動が苦手でも、何かスポーツ系の習い事を始めたいというときは、技術の向上を目的とするのではなく、楽しく続けられるものを選びましょう。入会前の体験で、楽しみながら続けられそうか、子どもとよく話し合ってください。
運動習慣を作るにはきっかけが必要です。「体を動かすって楽しい!」と思えると、しだいに遊びやスポーツで体を動かす機会が増えていきます。
「うちの子は運動が嫌いだから」とあきらめずに、楽しく体を動かせるきっかけを作ってあげてほしいと思います。
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記事監修
取材・構成/麻生珠恵