万年筆インクの基本
万年筆インクを混ぜるのはNG!
通常、万年筆のインクは混ぜてはいけません。「混ぜるなキケン」と書かれている塩素系と酸素系の漂白剤のように激しい反応が起こるわけではありませんが、ものによっては含まれる成分同士が反応して、沈殿物を作ってしまったり、混ぜたインクの影響で万年筆の中の部品を痛めてしまう場合もあるからです。
FonteのボトルインクはOK!
万年筆インクは混ぜてはいけないと説明をしましたが、インクの成分を調整することで混ぜることができる製品もあります。Fonteのボトルインクはその中の一つ。「Fonteのボトルインク同士」という決まりさえ守れば自分だけの色のインクを作ることができるのです。
パールを入れてキラキラに!
Fonteのシリーズにはゴールドとシルバーのパールパウダーも用意されています。好きな色のボトルインクに入れても、自分色に混ぜたインクに入れてもOKです。光の加減でキラキラと表情を変えるパールもぜひ試してみてくださいね(パールパウダーを入れたインクはペンが詰まってしまうため、ガラスペンのみで使用することができます。)
混ぜる準備をしてみよう
色を混ぜて作ることを「調色」と言います。調色に必要な道具を揃えてみましょう。
必要な道具は?
・Fonteボトルインク(最低2色、もしくは1色とパールパウダー1色)
これが材料になります。色が濃くて思っていた色と違うのではないかと心配になりますが、万年筆のインクの大半は黒っぽく見えます。書いてみるとパンフレットや筆記見本と同じようにきれいな色になりますので安心してくださいね!
・スポイト
100円ショップやAmazonなどでも売られています。ボトルインクに入っているインクの色が変わってしまわないように瓶の数だけ用意します。使う時も間違えないように気をつけましょう。
・インクを混ぜるもの
スポイトでインクを垂らした後にインクを均一に混ぜるために使います。家にある竹串でも大丈夫ですが、より本格的に模型用に販売されている金属の調色棒や化学実験用のガラスペンを使う方もいます。
・Fonteのガラスペン
混ぜたインクの色味を見るため、紙に試し書きをする時に使います。
・空ボトル(中身がこぼれないように専用のものがおすすめ)
インクを混ぜ合わせる配合が決まったら、空ボトルの中にインクを入れてたくさん作ります。そのまま保存もできます!
・試し書きをする紙
混ぜた色がどんな色なのかを確認するために使います。万年筆インクは紙によって違う色に発色することがあるので、いつも使っている、または、このインクを使おうと思っている紙を使うのがベストです。
・水やインクを拭き取る布など(ガーゼのような柔らかい布やティッシュペーパーなど)
・ガラスペンを洗うための水
試し書きをしたら、ガラスペンは一度リセットして次の試し書きに備えます。先に布などでインクをある程度拭いてから水につけて洗い、再び布などで水気を拭き取ります。
あると便利な道具は?
・使い捨てパレット
初めは少量のインクを混ぜて、色を確かめながら作っていきます。いきなり空ボトルに作ると試し書きがしづらいので、パレットがあると便利です。使い捨てのパレットが100円ショップに売られていることが多いですよ。
・小さめのシール(例では17mm角の正方形のシールを使っています)
出来上がったインクの名前や配合を書いたり、インクの色を塗って貼っておくと、使いやすく、作ったものがなくなった時にも追加で作ることができますよ。
周りが汚れないように
・テーブルが汚れないようにビニールカバーや新聞紙を貼っておこう
・服が汚れないようにエプロンをしよう
・ゴム手袋(手が汚れないように)をつけよう
万年筆インクは色にもよりますが、服につくと落ちづらかったり、手についた時には数日間残ることもあります。必要に応じて対策を立てておきましょう。
インクを混ぜて自分色のインクを作ってみよう
まずはそれぞれの色を見てみよう。
まずは、混ぜる前のインクの色を見てみましょう。そして、イメージする色を考えながらどのくらいの割合で混ぜるかを考えます。
スポイトはボトルごとに専用のものを
先ほども説明しましたが、大切なのでもう一度。スポイトは必ずボトルごとに決めて専用にしましょう。他の色用のスポイトをボトルに入れてしまうと、そのボトルの中のインクの色が変わってしまいます。2色を混ぜるならば2本、5色用意して色々試す時には5本というように、ボトルの数だけ用意して専用にしましょう。スポイトにマスキングテープなどでインクの番号や名前を書いておくとわかりやすいですね。
作りたい色はどんな色?
「気の向くまま混ぜてみる」のも一つの方法ですが、テーマやモチーフを決めてそれに近い色を目指したり、「日記用」「お手紙用」といった使い方を決めてから使いたい色を考えてみるのもおすすめです。出来上がったインクに名前をつけてみるとより愛着が持てます。
インクを混ぜていこう
量が少ない時には1滴増やしただけでも大きく色が変化することがあります。竹串などを使ってよく混ぜてからガラスペンで試し書きをしてみましょう。
インクによって色の変わり方は様々
インクによって、1滴で色が一気に変わるものと、たくさん入れないと変わらない色があります。これはやってみないとわからないので、まずは、使うと決めた色をそれぞれ1対1で混ぜて試し書きをしてみましょう。あとは、自分のイメージに近づくようにインクを少しずつ加えていきます。
そのインクを使いたい紙に、どのインクを何滴入れたかをメモしながら進めていくとたくさん作る時の資料になります。
色が決まったらたくさん作ってみよう
コレ!という色が決まったら、空ボトルにたくさん作ってみましょう。
1対5の割合でできたインクならば、10滴と50滴というように同じ割合になるように入れていきます。
少なすぎると万年筆などに入れる時に足りなくなりますし、多すぎると元には戻せません。
コレも様子を見ながら進めていきましょうね。
パールを入れてみよう
ガラスペンでだけ使えるキラキラのインク、それがパール入りのインクです。Fonteではゴールドパールとシルバーパールの2色のパウダーが用意されています。ただし、入れすぎには注意! 試し書きをして、好みの量が決まったら空ボトルに入れて作りましょう。
コレも本当に大切なのでもう一度言いますが、パールパウダーを入れたインクは万年筆などに使うと詰まってしまうので、「ガラスペン専用」と覚えておいてください。
また、パールパウダーは沈殿しやすいので、混ぜるためにスポイトでパールパウダーを吸い取る時や、完成したパール入りのインクをガラスペンにつける時にはよく振って均等にしてから使うようにします。
2色から楽しめる調色
Fonteのボトルインクはどれも見やすい落ち着いた色ですが、使っているうちに「もう少し青っぽく」「もう少し落ち着かせて」など理想の色が出てくるかもしれません。それを叶えるのが調色です。
ぜひ、インクを混ぜて自分だけの色を楽しんでくださいね。
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文・構成/ふじいなおみ