ズワイガニのことを、北陸では「越前ガニ」と呼びます。茹でる、焼く、揚げるなど、どんな調理をしてもおいしいのがカニですが、越前ガニは「カニ刺し」で食べるのが格別と評判です。その理由は身がみずみずしくてジューシー、そして強い甘みがあること。そんな越前ガニの特徴を詳しくみていきます。
越前ガニ
日本海全域と、太平洋側では銚沖以北で採れるカニが、ズワイガニです。一般的に、ズワイガニとは雄を指し、これより小さいメスはコウバコガニ（セイコガニ、セコガニとも）と呼ばれます。
さらに、ズワイガニがブランド化されたものが、水揚げされる港ごとに「越前ガニ（福井県）」「松葉ガニ（山陰地方）」「加納ガニ（石川県）」と呼ばれるようになりました。同じズワイガニでも、漁場の環境によって食味が異なり、好みが分かれるそうですよ。
越前の逸品、越前ガニ
ブランドマークが入った黄色いタグが、必ず付けられているのが、越前ガニの印。越前漁港を筆頭に、三国港、敦賀港、小浜港などで水揚げされます。
料理人や食通の間で「越前（福井県）沖で育ったズワイガニの味は特別」という認識が広まり、「越前産のズワイガニを」と指名を受けるようになったのが、ブランド化に至った経緯です。
栄養豊富な漁場と、各港が近いことから、鮮度を落とさずに水揚げすることができることも利点の一つです。吹雪の中でも港で水揚げ作業に勤しむ職人さん達が、越前ガニのブランドを支えています。
甘く引き締まった肉質で、カニの産地の中でもトップブランドとして、最高品種を誇ります。中でも、三国港で水揚げされたカニは、皇室への献上品にもされているんですよ。
カニの種類は多種
カニは国内だけでも800種類ほど生息しており、そのうち食用として流通するものは、ズワイガニ、タラバガニ、毛ガニ、ワタリガニなど。
需要が高いため、近年はロシア、アラスカ、カナダなどからも大量に輸入されているのが現状です。
旬
旬の時期は11月〜3月ですが、一番おいしいといわれるのは12～2月。毎年11月6日に解禁され、翌年の3月20日までが漁の期間となります。北陸の厳しい冬の最中に、冷たい海水で育てたカニの味が格別なんです。
一方、メスの「セイコガニ」はさらに漁期が短く、12月31日までと、希少性の高さで注目が集まります。また、2月を過ぎて脱皮すると、「越前ガニ」は「ずぼガニ」「水ガニ」と呼ばれるようになり、漁期はさらに短く2月19日～3月20日までとなります。
値段
越前ガニの相場は、500g～600gのもので16,000円～25,000円といわれています。生きているものは特に高値で、特上品なら1.3㎏前後で1杯50,000円～80,000円程度で取引されます。
生の越前ガニは福井県内のレストランや料亭で頂ける他、店舗で販売されている生の越前ガニを購入し、自宅で茹でて食べることもできますよ。
一般的に出回るものは茹でたもの、冷凍したものが多く、また収穫の状況によって値段は変動しますから、その都度チェックするのが、カニの季節の楽しみになるかもしれませんね。
ちなみに、2023年の見通しでは、輸入ものであれば昨年の半額程度になるとのニュースも。国産ものは、いいお値段になりそうですが、全体的にカニが食べやすい年になるのは、間違いないようです。
お取り寄せ
現地の活気を感じながら、カニを堪能するのも格別ですが、鮮度が大切なカニは、お家に届けてもらうお取り寄せも見逃せません。人が集まる機会や、冬のギフトにもおすすめ。
一方で、在庫切れや、配達対応していない期日など、予定通りに注文ができない場合も、人気商品にはつきものです。年末年始は特に混雑するため、12月中旬までに計画を立て、早めに注文しておくとスムーズです。
【ふるさと納税】訳あり 越前ガニ大サイズ 800g～1kg 1杯
11月から3月にかけて発送時期を選べる茹でガニが、ふるさと納税の対象です。最高級品種ですが訳ありのため、70,000円のお値段です。海の中で足が折れたり、傷がついたりするのが「訳あり」の理由。味はまったく同じなので、ご参考にしてください。
越前ガニ【未冷凍】冷蔵便 (大サイズ1杯／1～2人前コース)
こちらの量は、400～600gの越前ガニが1杯です。カニの大きさや、数量が細かく選べるので、家族での注文に便利です。
食べ方ガイド
エビと同様に、キチン・キトサンが含まれ、タンパク質、タウリン、ビタミンB群などが豊富なカニ。おいしさを逃さず、お家で上手に解凍する方法を確認します。
届いたら冷凍庫で保管
冷凍のカニがご自宅に届いたら、すぐに食べない場合は冷凍庫で保管します。2週間～1か月は保存ができますが、味が落ちる前に早めに食べてください。
解凍
カニをひっくり返し、大きめのボウルに入れて、冷蔵庫に移して解凍します。半日～1日程度で解凍完了です。大きいカニの場合は、1日半くらいかかる場合も。
デリケートな食材ですから、間違っても、凍ったまま茹でたり、急激に解凍しようとしたりしないでください。ゆっくりと低温で解凍するほうが、おいしさを保てます。
解凍後の食べ方と、道具
冷凍のカニはボイル済なので、解凍後はそのまま食べることができます。マヨネーズや、カニ酢で食べるのも良いですし、ほぐして料理に使っても。細い足は、グリルで焼いてから煮出せば、おいしい出汁として調理に利用できます。
さばくときに活躍するのは、キッチンばさみです。ケガの心配もなく、無理に力を加えなくても、カットすることができます。女性には特におすすめです。
また、麺棒を使い、足の先端からすり潰すように転がすと、身がきれいに取り出せますから、ぜひ試してみてください。
特別な食材、カニ
高級食材としても名高い、越前ガニについて詳しくみてきました。産地による呼び名の違いの他にも、オスとメスでも異なるのがカニです。それだけ、特別な食材なのかもしれませんね。旬を逃さず、おいしいカニをお召し上がりください。
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構成・文・写真（一部を除く）／もぱ（京都メディアライン）