冷凍カニの食べ方バイブル|解凍は時間の余裕を! カニ酢と出汁のとり方もレクチャー

冷凍カニの旨味を存分に味わうためには、なんといっても解凍方法が決め手。上手に解凍して、おいしくいただくまでを、写真付きで詳しく解説します。さらに、カニ酢と、殻からとるカニ出汁の取り方も、覚えておくと便利です。難しくない、シンプルな食べ方でおいしくいただきましょう。

冷凍カニの特徴

新鮮なカニを味わうなら活カニや、生ですが、冷凍カニは保存性が高く、比較的安価に手に入るメリットがあります。解凍時に旨味が流出しないよう、扱い方のポイントを確認します。

生とボイル済みの違い

冷凍カニには、生のまま冷凍したカニと、茹でてから冷凍したカニがあります。

生のまま冷凍したカニは、ご自宅で調理するので茹で汁を活用できたり、蒸したりと、調理方法が多彩です。しゃぶしゃぶも、生カニならではの調理方法です。少々手間はかかりますが、旨味たっぷりで、幅広い味わいが欲しい方は、この生カニを選んでください。

一方で、茹でた後に冷凍したものは「ボイル済み」と表記され、解凍後すぐに口にできる手軽さがあります。調理済なので旨味は多少落ちますが、ほぐして食べたり、焼きガニを愉しんだりするのに、下処理の手間がかかりません。味噌はあらかじめ抜かれている場合が多いです。

ボイルカニは味や形が安定しているのも、魅力のひとつです。

ポーションとは

生カニ、ボイルカニの他、ポーションと記載されている冷凍カニもあります。これは、殻をむいた身だけのカニを指します。殻をむく手がかからないため、手軽さではナンバーワン。大きさの揃った身を、手を汚さずに食べられるため、人気が高まっています。

冷凍カニの注意点

冷凍カニをお家で食べる時に、気をつけて欲しい点がいくつかあります。

食中毒

冷凍なら食中毒の危険は低いと思いがちですが、注意しなくてはいけないのは「腸炎ビブリオ菌」。この菌は、15℃以上の水温で、塩分がある環境で活発に増殖します。常温での解凍と、もともとカニに含まれる塩分は、腸炎ビブリオ菌の繁殖に適した環境と一致してしまいます。

ただし、この菌には弱点があります。それは真水で洗えば死滅すること。解凍する前に一旦水道水で洗い流すことで、殻についた菌を取り除くことができます。涼しい場所で解凍した後は、安心して口にしてください。

また、完全に解凍せず、中心部が少し凍ったままの状態で食卓に出し、様子をみながら食べ進めることで、さらに安全性が高まります。解凍後は、その日のうちに食べきることも大切です。

衛生法の改定により、調理工程がルール化され、食中毒の件数は著しく減少していますが、「冷凍だから」「茹でてあるから」と、安易に放置し過ぎないように気をつけましょう。

電子レンジでの解凍はNG

冷凍カニをそのまま電子レンジで解凍すると、身がゴムのように硬くなり、ぱさついて臭みも出ます。時間をかけて溶かすことがなによりも大切で、冷凍のまま茹でたり、蒸したりするのも厳禁です。

冷凍カニの解凍

それでは、カニのおいしい解凍方法を確認します。

方法はごく簡単なのですが、時間がかかります。食べたい時間から逆算して、ゆっくりと「低温解凍」で進めるのが最大のポイント。

解凍にかかる時間

生のカニは、食べたい時刻の24時間〜30時間前には準備を始めます。中に味噌が詰まっている分、解凍に時間がかかります。

ボイル済みのカニなら、12時間〜24時間程度をご参考にしてください。

解凍の手順

【1】カニの表面についている、氷の膜がなくなるまで、水道水で洗います。

水道の流水に当てると、すぐになくなります。

この氷の膜は「グレース」と呼ばれ、保存の際の乾燥を防ぐ役目があります。

【2】乾燥を防ぐため、ビニール袋やラップなどに包みます。

【3】甲羅を下向きにして、おいしい味噌が流れ出さないように甲羅で受け止めます。

【4】甲羅の刺でビニール袋が破れることがあるため、水分が漏れ出さないよう、下にはバットを敷いて冷蔵庫へ入れます。

【5】解凍が終わったら、沸かしたお湯を全体にザっとかけます。

解凍を急ぐ場合は氷水解凍

大きめのボウルに氷水をたっぷりと入れ、ビニール袋に包んだカニを沈めます。3~5時間程度で解凍ができます。

注意点

発泡スチロールに入れたままの解凍は、におい移りがあるため、おすすめしません。

また、時間の経過と共にメラニンが作られ、黒く変色することがあります。食べても差し支えはありませんが、できるだけ早くお召し上がりください。

解凍後の食べ方

解凍さえ上手にできれば、あとは簡単です。ごくシンプルに蒸したり、焼いたりしていただきます。

生カニ、解凍後の食べ方

「生食用」の記載がある冷凍カニは、解凍後にそのままお刺身でいただくことができます。お好きな調理法も幅広く選べますよ。

・蒸し方

【1】くれぐれも、蒸す前に解凍を済ませてください。冷凍のまま蒸すことで「やっぱり冷凍ものはおいしくない… 」という感想に繋がってしまい、残念です。

【2】殻に切れ目を入れておくと、調理後に食べやすくなります。関節で切り離し、赤と白の境目にはさみを入れて、取り除きます。

【3】切り口を上にして、沸騰した蒸し器で蒸します。時間の目安は15分程ですが、殻が赤くなるため、判断は容易です。

【4】蒸しあがったらそのまま取り出し、粗熱がとれたらお召し上がりください。急速に冷えると身が固くなるので、自然に冷ますほうがおすすめ。

・フライパン、鍋での蒸し方

【1】深めのフライパン、または鍋に耐熱皿を敷きます。お皿が全部浸からない程度の量で水を入れます。

【2】ザルなどにカニを入れ、【1】のお皿の上に乗せて蓋をします。このまま蒸せば、簡易的な蒸し器として調理ができます。

ボイルカニ、解凍後の食べ方

ボイルカニは、解凍後そのまま身をほぐして食べることができます。ただし、再度茹でて温めることは、味の流出が進みますからおすすめできません。温めて食べたい場合は、焼きガニがおすすめです。

・焼きガニ

【1】魚焼きグリルを温め、カニを並べます。切り口は上を向けてください。

【2】こんがり焼き色がつくまで、焼きます。

カニの万能レシピ

ほぐして食べるだけでもおいしいカニですが、繊細な土佐酢があると、強い旨味がさらに引き立ちます。また、出汁のひき方を覚えておくと万能に使え、殻の旨味まで味わうことができます。

・土佐酢

【材料】

水300㏄
酢150㏄
みりん50㏄
薄口しょうゆ50㏄
昆布10cm角

かつお節 1カップ

【作り方】

【1】鍋にかつお節以外の材料を入れて火にかけます。

【2】沸騰直前で昆布を取り出し、かつお節を加え、火を止めます。

【3】そのままかつお節が沈むのを待ち、布巾などで濾せば完成です。

・カニ出汁

【1】カニの殻、爪の先、甲羅などをサッと水で流します。よく水気を払った後、フライパンで熱してください。または、焼きガニの要領で焦げ目がつかないようグリルで熱してもよいです。

香ばしい香りが立ちます。

【2】殻が浸かる程度の水を加え、加熱します。アクを取りながら弱火で10分程度煮込みます。

ネギの青い部分、しょうがの皮など、臭み消しを入れるのもいいです。

【3】最後にザルで濾してください。ひとつまみの塩を入れることで、保存性が高まります。

味噌汁やスープ、煮物などに使えるカニ出汁がとれました。冷蔵庫で3日程度のうちにお使いください。

ゆっくりと解凍するのがコツ

冷凍カニは、解凍方法で味に天地の差が出ます。流水に浸けてしまうと旨味が流れ出し、電子レンジではパサパサになってしまいます。時間をかけて、ゆっくりと冷蔵庫で解凍するのが鉄則です。

気をつけなくてはいけないのは、腸炎ビブリオ菌。真水で洗えば、心配はありませんから、適切な処理をしておいしく味わってくださいね。

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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)

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