クリスマスツリー用の木には何を選ぶ?「ツリーは生木派」のための、おすすめ品種と手入れ方法

クリスマスツリーに使われる木といえば、モミの木です。クリスマスツリーにモミの木が使われるようになった背景はもちろん、代用できる木なども紹介します。生木の選び方や手入れ方法も確認し、クリスマスの準備に役立てましょう。

クリスマスツリーがモミの木なのはなぜ?

クリスマスツリーにモミの木が使われるようになった理由には、さまざまな説があります。主な理由を見ていきましょう。

冬でも葉を落とさない生命力が信仰の対象に

モミの木が採用された理由として考えられるのが、厳しい寒さの中でも青々とした葉を広げる常緑樹であることです。

モミの木を含む常緑樹は、古代ゲルマン民族の間で永遠の生命の象徴とされていました。もともとはカシの木を崇拝していた古代ゲルマン民族が、モミの木を飾るようになったのにはキリスト教の宣教師が関係しているという説があります。

宣教師がキリスト教を広めるためにカシの木を切り倒した際、すぐ近くにモミの木が生えてきたそうです。そのため、クリスマスツリーにモミの木を使うようになったといわれています。

生命力のシンボル、モミの木

ただし「クリスマスツリーには必ずモミの木を選ぶ」というルールはありません。モミの木が自生していない地域もあるので、常緑樹ならクリスマスツリーに代用できるとしています。

クリスマスツリーに使う木の選び方

クリスマスツリーに生木を使うなら、木の選び方を知っておくことが大切です。木の大きさと枝・葉のボリュームに分け、選ぶポイントを解説します。

木の大きさ

家の外に飾るか、屋内に設置するかで木の大きさを選びます。屋内に設置する場合は大人が立った状態で、全体の2/3ぐらいの位置に目線がくる木を選ぶとよいでしょう。

クリスマスツリーを外に飾る際には、植え方にも注意が必要です。例えばモミの木だと、地面に植えると高さ20m以上になり、30mを超えることも珍しくありません。自宅の庭に植えるのは現実的とはいえないため、鉢植えがおすすめです。

屋内外を問わず、広さ・高さに余裕のあるスペースに木を飾りましょう。特に小さな子どもがいる場合は、倒したりぶつかったりする恐れもあるので、人の出入りが多い場所は避けるといった配慮も大切です。

枝や葉のボリューム

「どのような雰囲気のクリスマスツリーにしたいか」で、枝や葉のボリュームを決めます。

豪華な雰囲気を演出したいなら、枝の本数が多く、葉の密集した木を選びましょう。たとえ枝が多くても、黄色くなった葉や落ち葉の多い木は避けたほうが無難です。サイズが大きい木ほど葉が少ないとスカスカした印象になってしまうため、枝と葉のバランスも重要です。

シンプルにまとめたい場合は、枝葉の少ない木を選ぶ手もあります。寂しい印象にならないよう、オーナメントの飾り方を工夫するのもおすすめです。

クリスマスシーズンには、さまざまなサイズや種類のツリー用生木が出回る

クリスマスツリー用の木の手入れ方法

生木のクリスマスツリーは長く使えるというメリットがある一方、手入れは欠かせません。剪定・植え替え・水やりなど、生木に必要な手入れを確認しましょう。

剪定や植え替えは必須

モミの木をはじめとするマツ科の木は大きく育つ傾向にあるため、剪定が不可欠です。ある程度大きくなると高所作業になるだけでなく技術も必要なので、専門業者に依頼する方がよいでしょう。

小さいうちに自分で手入れをする場合は、剪定ばさみを使って長い枝や形のよくない枝を根元から切ります。枝を切った部分から細菌が入ってしまう恐れがあるため、使う前に剪定ばさみの刃を火であぶり、熱消毒しておくことが重要です。

なお、剪定の際には木の頂上を切って「芯止め」をし、高さを抑えるようにしましょう。すでに大きくなっている場合は無理をせず、専門業者に任せるのが無難です。

特にモミの木を鉢植えで育てるときは、定期的な植え替えも必要です。木が成長しているのに鉢が小さいままだと、根を伸ばせずに詰まってしまう可能性があります。木の弱体化につながるケースもあるため、1~2年に1度は一回り大きい鉢へ植え替えましょう。

水やりはたっぷりと

乾燥に弱い木が多いため、鉢植えのこまめなチェックも不可欠です。鉢植えの土が乾いてきたら水をたっぷりと与え、乾燥を防ぐことが大切です。表面がぬれていても、土の中まで水が入っていないケースもあるので、鉢底からあふれるぐらいを目安にしましょう。

基本的に肥料は不要ですが、木が弱っている場合は3〜5月に化学肥料を与える手もあります。なお、モミの木を地植えで育てる場合、猛暑が続いて土が乾いたとき以外は、基本的に水やりの必要がありません。

害虫対策も必要

アブラムシなどの害虫によって、木が枯れてしまうケースもあります。害虫を見つけたら、葉を取り除いたり殺虫剤を使ったりして対処することが大切です。

同時に、葉水や剪定といった害虫予防の対策も必要です。葉水は植物の葉に水をスプレーすることを指し、水を嫌う虫への対策になります。乾燥防止や、ホコリなどの汚れ落としにも役立つので、水やりに追加しましょう。

また、枝や葉が密集するほど蒸れやすくなるため、害虫が寄り付く可能性も高まります。剪定で余分な枝や葉を切ることで風通しがよくなり、害虫はもちろん、病気の予防も期待できます。

モミの木以外も!クリスマスツリー向けの木

モミの木のほかにも、クリスマスツリーに適した生木があります。「モミの木が手に入らない!」という人は、代わりに使ってみてはいかがでしょうか。

ウラジロモミ

葉の裏が白く見えることからその名が付いた「ウラジロモミ」は、日本特産のモミの木です。美しい見た目もあり、日本ではクリスマスツリーに使われることが多い傾向にあります。

成長すると自然に円錐形になる点も、クリスマスツリーに適した特徴です。形を整えなくてもよいのがメリットですが、枝や葉が密集していると蒸れやすくなります。

枝が伸び過ぎたときには、軽く剪定するとよいでしょう。また、成長すると高さが30m以上になるので、地植えにする場合は検討が必要です。

ウラジロモミ

ドイツトウヒ

ヨーロッパで、クリスマスツリーによく使われているモミの木の仲間です。らせん状に付いた葉は針のような形状で、暗めの緑色ですが光沢があります。形が整いやすく、剪定はほとんど必要ありません。

暑さや寒さに強いため屋外への設置も可能で、ウラジロモミより育てやすいといわれています。一方で成長が早く、ウラジロモミと同様に大きくなる傾向にあります。一定の大きさになった時点で「芯止め」をし、高さを抑えるのがおすすめです。

オウシュウトウヒの名もあるドイツトウヒ。欧州のクリスマスツリーとしてよく使用される Heinz Seehagel,Wikimedia Commons(PD)

ゴールドクレスト

ヒノキ科のコニファーの一種です。コニファーは松ぼっくりのような球形や楕円形の実がなる裸子植物(種子となる部分が露出している植物)の総称で、マツ・スギも含まれます。

ゴールドクレストは明るい緑色の葉が特徴で、自然に円錐形になるためクリスマスツリー用として人気です。ホームセンターなどでも販売されており、手軽に入手できます。ただし、日本の気候でも5mを超えるほど成長する可能性があるため、地植えする場合は注意しましょう。

ミニ鉢タイプから背丈を超えるトールツリーまで、多様なサイズを入手しやすいゴールドクレスト

エゾマツ

北海道内に分布するマツの一種で、アカエゾマツとともに「北海道の木」に指定されている木です。

モミの木に比べると成長が遅く、それほど大きくならないとされていますが、天然のエゾマツだと30~40mに育つケースもあります。

同じく北海道に多いトドマツが「おとこまつ」と呼ばれるのに対し、エゾマツは主枝が垂れ下がり優しい印象になることから「おんなまつ」と称されます。寒さに強くて丈夫なため、クリスマスツリーにもおすすめです。

エゾマツ

今年は木のクリスマスツリーで楽しもう

クリスマスが近くなると、さまざまなクリスマスツリーが販売されます。人工のクリスマスツリーは設置や飾りつけがしやすいのがメリットですが、生木のクリスマスツリーには人工とは違った趣があります。

鉢植えなら比較的手入れが簡単な上に、翌年以降も使えるので少しずつ愛着もわいてくるでしょう。今年は生木のクリスマスツリーを飾り、イベントの雰囲気を盛り上げてみてはいかがでしょうか。

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構成・文/HugKum編集部

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