【世界から大注目のeスポーツ】プロゲーマーにはどうやったらなれる?横浜F・マリノス所属の3選手に「シャドウバース」プロリーグで戦う楽しさ、メンタル管理を聞いた!

小学生の習い事や新しい教育システムとして注目されているeスポーツ。サッカーJリーグ「横浜F・マリノス」では、2018年にデジタルカードゲーム「シャドウバース」のプロリーグに参戦し、現在6名のプロゲーマーが所属しています。そこで、今回はeスポーツの魅力やプロゲーマーになるためにはどうしたらいいのか?など、チームリーダーあぐのむ選手、しーまん選手、バーサ選手の3名にお話を聞きました。

eスポーツってなに?


「eスポーツ」とは、「エレクトロニック・スポーツ(Electronic Sports)」の略で、ゲーム機器を使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称です。eスポーツには、格闘ゲーム(Fighting)、ファーストパーソンシューター(FPS)、マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ(MOBA)、コレクティブルカードゲーム(CCG)、リアルタイムストラテジー(RTS)などさまざまなジャンルがあります。

横浜F・マリノスのeスポーツチームとは

横浜F・マリノスは、サッカーJリーグチーム初として2018年にeスポーツチームを立ち上げ、eスポーツリーグにも参戦を開始。現在に至るまで、様々なタイトルに出場しています。今回取材をしたのは、チームリーダーあぐのむ選手、しーまん選手、バーサ選手の3名です。

あぐのむ選手

【プロフィール】
担当フォーマットはローテーション。小さな頃からカードゲームに親しみ、様々なカードゲームに挑戦。普段は新潟コンピューター専門学校のeスポーツ科で講師をしている。RSPT23-24 4thシーズン優勝。趣味は動画鑑賞、カードゲーム以外で得意なジャンルは格闘ゲーム

バーサ選手

【プロフィール】
担当フォーマットは2Pick。普段は実家(山口県)で、父が営む酒造会社で働きながらプロゲーマーとして活躍。趣味はeスポーツの試合観戦、カードゲーム以外で得意なジャンルはFPS。

しーまん選手

 

【プロフィール】
担当フォーマットは2Pick。普段はSE(システムエンジニア)をしながらプロゲーマーとして活躍。趣味はスポーツ観戦(野球、サッカー等)

「シャドウバース」って?

「Shadowverse」(シャドウバース)は、Cygamesより配信されているスマートフォン・タブレット・PC向け対戦型オンライントレーディングカードゲーム(TCG)。中学生から大学生までの方を対象とした、『Shadowverse』の学生王者を決める全国大会などさまざまなイベントが開催されています。

3人の子どもの頃の共通点は〇〇!?プロゲーマーを目指したきっかけとは

子どもの憧れの職業、プロゲーマーとして活躍する3名はどんな幼少期を過ごしてきたのでしょうか?ずっとゲーム漬け?ではなかったようです!

--子どもの頃に夢中になっていたこと、学校で好きな教科は何でしたか?

あぐのむ選手:現在にもつながっているのですが、小さい頃からカードゲームが好きで当時はデュエマに一番熱中していました。習い事では野球とスイミングをしていて、好きな教科は体育だけが大好きでした(笑)。

バーサ選手:僕は小学生の頃にデュエマ、ポケモンのゲームが流行っていて、よく遊んでいましたね。習い事は、中学校まで野球をやっていました。体を動かすことが好きで、得意な教科は体育でした。

しーまん選手:子どもの頃は外で遊ぶことが多くて、野球を小3から大学までやっていました。好きな教科は、体育と理科、算数など理系の科目が好きでした。

あぐのむ選手:サッカーチームなのに、3人の共通点は野球ですね(笑)。

それぞれの選手に共通するのは、「好きなことを仕事にしたい」

eスポーツでプロを目指す、私達HugKum親世代だと将来なりたい仕事の中に、「eスポーツ選手」というのはありませんでした。どんな気持ちでプロを目指したのか、聞いてみました。

--プロを目指したきっかけを教えてください。

あぐのむ選手:大学卒業に向けて就活が始まった時に、僕は本当に好きなものしか続かない性格なので、自分が好きなゲームで生活ができたらいいなと考えていました。そこで、シャドウバースでお金が稼げるくらいまで頑張ろうと思い、大会に参加しながらライターや動画出演などの活動をしていた時にプロ制度が発表され、これしかない!ということでプロを目指しました。

バーサ選手:もともと役者を目指して東京に上京しました。1年間養成所に通った後、2年くらい劇団に入り活動していたのですが、プロになれるわけではなく自分は何をしているんだろうと悩んでいました。その頃に趣味でやっていたシャドウバースのプロリーグのニュースを知り、自分が熱意を注げるものが役者以外にあるかもしれないと思い、プロを目指しました。

しーまん選手:趣味で始めたシャドウバースでプロになる為に頑張っていたわけではなかったのですが、野球を大学まで続けてきて競技シーンに憧れもありました。プロリーグのニュースを知った時にやってみようと。レベルが高い競技シーンで対戦してみたいと考え、プロを意識するようになりました。

気になるプロゲーマーの練習&1日のスケジュールは?

普段は働きながら、プロゲーマーとして2足のわらじを履き大活躍の3名に、1日のスケジュールや、練習について教えてもらいました。

--みなさん働きながら、どのようにシャドウバースの練習時間をつくっているのでしょうか。

あぐのむ選手:平日は9時から17時半まで仕事をして、帰宅後19時から22時までは練習しています。働いている時間でもシャドウバースのことを常に考えられる環境なので、そこがいまの自分の大きな力になっていると感じています。

練習は時間をきっぱり決めてやるというよりも、好きの延長で続けているという感じですね。自然と毎日やっています。試合直前の1週間前はチームで集まって意見交換したり試合をしたり、それ以外はネットで情報を集めたり、強い人の動画の配信を観たりしています。土日など休みの日も、ほぼ1日中練習をしていますね。

バーサ選手:9時から18時まで仕事なのですが、定時に仕事が終わることがあまりなくて、だいたい21時くらいから夜中1時くらいまで練習をしています。平日は練習時間が少ないので働いている時間もシャドウバースに触れられるようにカードのリストをオフィスのデスクの横においていたり、試合のリプレイを流したりしています。動画は主に自分の負け試合を見て、振り返りをするようにしています。休みの日は、強いプレイヤーを誘って一緒に練習をしています。

しーまん選手:9時から18時まで仕事をして、21時から24時くらいまで練習をしています。仕事の休憩中にもシャドウバースのことを考えたり練習の振り返りをしたりしています。シーズンが近い土日はゲームをして、シーズンオフであれば積極的に外に出て人と関わるようにしています。

プロゲーマーのメンタル管理は?

メンタルが非常に重要になるeスポーツ、みなさんどんなトレーニングをしているのでしょうか?緊張の保ち方なども気になりますよね。

--筋力トレーニング、メンタルトレーニングなどゲーム以外にもトレーニングしていることはありますか?

あぐのむ選手:他のスポーツ選手と違うのは、座っている時間が長いので集中力を保つ姿勢や長時間座っても疲れないような体づくりをしています。マネージャーがメンタルの資格を持っていて、カウンセリングを受けることもあります。

僕は本当にメンタルが弱いことを自覚しているので、いろいろなことを試してきました。試合の時にアドレナリンを出しまくって勝つぞ!って勢いでやると普段のプレイができないので、とにかくニュートラルに大切な試合の時も普段の練習と同じようなプレイをするようにしています。

バーサ選手:僕もメンタルが本当に弱くて、負けたり何か言われたりすると考えてしまう性格なのでSNSを見ないようにしたり、負けた時や何か言われたときはあたまを空っぽにするようにしています。外部的要因を減らすことは大事だなと思っています。

しーまん選手:試合のメンタル調整だけではなく、将来なりたい自分の将来像を意識しながら、目標に向かってどういうモチベーションでやっていくかというようなメンタルトレーニングも受けています。試合では緊張はしますが、メンタルに関しては困ったことはありません。小さな頃からやってきた野球で鍛えられた精神力が活かされていると思いますね。

シャドウバースが上手にプレイできるようになるポイントは?

実際にスマホで気軽にできるシャドウバース。どうしたら上手くなれるのか?プロゲーマーから伝授していただきました。

-シャドウバースが上手になるには、どうしたらいいですか?

あぐのむ選手:最初はとにかく楽しんでやるということが一番大事です。プロレベルの選手を何人か見てきていますけど苦しんでやっていて強い人はあんまりみたことがないですね。結局楽しんでやるからこそ続けられるし、いろんな発想ができるので、楽しんでやれているということにまず自信を持ってほしいです。

その次のステップとして上手になりたいなら、自分が弱いということを自覚しないといけないですね。そこを認識できてからがスタートだと思ってまいます。弱いことを自覚して、幅広い視点で自分のプレイや取り組み方を振り返ることが大切です。

バーサ選手:ランクを上げる、勝率を上げるとか、大会に出て優勝したいなど、自分の中で目標を決めて取り組むことが大事だと思います。目標は勝つことだけに限らず、1日5戦練習するとかでもいいですね。

練習は量より質が大事だと言いますが、その質を高めるのは地頭がいい人。勉強できる方が強くなれるので、学校の勉強もしっかりやりましょう(笑)。

しーまん選手:気づく力がとても大事だと思っています。立ち回りの仕方、カードの評価などいろいろなことに気がつけるようになると、上手になっていきます。また、プレイが上手な人、モチベーションが高い人と友達になって一緒に練習をすると上達するし、さまざまな意見を聞くことができます。

プロゲーマーに聞く!eスポーツの魅力と期待することは?

--eスポーツ、シャドウバースの好きなところ、魅力を教えてください。

あぐのむ選手:eスポーツは、年齢や性別問わず多くの人が挑戦できることが魅力だと思っていて、特にカードゲームは格闘ゲームと比べてフィジカル的な要素が少なく、思考のスポーツなので何年経っても前線で続けられます。

シャドウバースは、スマホでどこでも本格的なカードゲームができるのが革命だなと思って始めました。今でもここは大好きなポイントですね。

バーサ選手:eスポーツは世界が注目している、野球やサッカーと同じスポーツです。プレイする人や規模もどんどん広がっていますし、誰でも目指せる高みの舞台がちゃんと用意されているのが、すごく良いところだなと思います。

シャドウバースの好きなところは、比較的誰でも勝ちやすいことに特化していることです。ゲームなので運もありますが、たくさんの選択肢の中で、ちゃんとプレイができたら勝てるチャンスがあるのが魅力です。

しーまん選手:eスポーツ、シャドウバースは誰にでもチャンスがあるのが魅力だと思っています。敷居が低く、スポーツでチャンピオンになろうと思っても2、3年やったくらいじゃ話にならないけど、シャドウバースだったら頑張れば上を目指せますし、いろんな人にチャンスがある。また、ゲームを知っている人と盛り上がれる、友だちが増えたり繋がりができるのもeスポーツの魅力だと思います。

 

--今後のeスポーツに期待することは、なんですか?

あぐのむ選手:一番期待しているのは教育ですね。私が講師を務める専門学校では、プロゲーマ―になりたいという生徒もいますが、ゲームを通じていろいろなことを学び、社会に出てほしいという想いがあります。

ゲームから学べることって本当に多くて、例えばコミュニケーションであったり、思考力を育んだり、格闘ゲームだったら運動能力も必要です。それらを好きなゲームで楽みながら学べるので、将来的には教育としてeスポーツが認められてどんどん普及していったら嬉しいです。

バーサ選手:日本のeスポーツは世界に比べたら、まだまだ発展途上です。eスポーツのチームが日本でも増えてきましたが、その中でもスポンサーがつくチームは少ないです。eスポーツのイメージがもっと良くなるためには、認知度を高めていくことが必要だと思っています。これから、もっと多くの人にeスポーツをプレイ、観戦してほしいです。

しーまん選手:これからeスポーツの人口はどんどん増えると思いますが、それを盛り上げていくには会社や企業の人たちのサポートが必要です。eスポーツと社会は、まだ距離感があるのでそこを縮めていけたらいいですね。

「RAGE SHADOWVERSE PRO TOUR 23-24」

これからeスポーツに挑戦するお子さんにメッセージをいただきました!

--これからeスポーツに挑戦したい!と思っている子どもたちにメッセージをお願いします!

あぐのむ選手:ゲームが好きなら、そのまま楽しんでゲームを続けてください。そして、もっと上手になりたいと思ったり、競技シーンに興味があれば一度真剣に取り組んでみてください。

僕が子どもの頃はゲームってあんまり認められていなかったので、親にもゲームばっかりしていたら怒られていましたが、いまは真剣にやればプロゲーマーという選択肢もあります。好きなことを極める為に本気で取り組むことは必ず無駄にならないと思うのでぜひ、挑戦してみてください!

バーサ選手:勝つことを楽しんで欲しいなと思います。負けることをちゃんと悔しいと思って、勝つことを楽しいと思っていく人はどんどん成長していくと思っています。eスポーツの世界でもそれがすごく大事で、勝ちに貪欲になっていけば、どこが悪かったというのも自然に見えてくると思うので、勝ちを楽しみながらプレイしてください。

しーまん選手:プロになりたいという視点で言うと、ゲーム以外にもプロになるならコミュニケーションやSNSとの付き合い方なども試されるので、ゲームだけすればいいと思わずにゲームもそれ以外も頑張ってほしいです。

eスポーツを楽しんでみよう!

今回インタビューした選手が活躍する試合は、YouTubeで観戦することができます。プレイだけでなく、応援しながら観戦を楽しんでみるのはいかがでしょうか。横浜F・マリノスの活動は公式ホームページからチェックしてみてください。

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取材・文/やまさきけいこ

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