ポインセチアはどんな花? 特徴を解説
クリスマスが近づくと、街では赤く色づいたポインセチアをよく見かけることでしょう。実は、赤く色づいている部分は、花ではなく葉です。ポインセチアの特徴を見ていきましょう。
赤く色づく「葉」が美しい植物
ポインセチアはメキシコの山地を原産地とし、12~2月ごろを中心に花が咲く、樹高10~60cmの低木です。定番の赤やピンク以外に白や黄色もあり、10~3月に色づく品種もあります。
特徴は美しく色づく部分が花ではなく、「苞(ほう)」「苞葉(ほうよう)」といわれる葉であることです。ポインセチアの花は、苞葉の中央にあるブツブツした小さな部分になります。
また、ポインセチアの花言葉は「祝福」「幸運を祈る」「清純」など、聖夜にまつわる言葉が多いのも特徴です。
ポインセチアの育て方
正しい手入れと管理を行えば、色鮮やかなポインセチアを長く楽しめます。ポイントは水のやり方と適温を維持することです。詳細を見ていきましょう。
水やりと温度管理がポイント
水やりのコツは「与えすぎない」ことです。きれいな花にはつい手を掛けすぎてしまいがちですが、葉がしおれていても土が湿っていれば水やりは我慢しましょう。
乾きすぎると葉が黄色く変色して落ちてしまうので、土の表面が乾いてきたら鉢底から流れ出るまでたっぷりと水をやります。ただし水のやりすぎは、根腐れの原因となるので注意が必要です。
冬は日当たりのよい室内に置いて、室温が10℃以上になるようにします。新芽が出てきたら室外に出し始めます。ポインセチアは急な温度変化で葉を落としてしまうので、徐々に慣らしていきましょう。
秋になって最低気温が15℃を下回るようになったら、室内に戻します。
季節による管理方法
ポインセチアは温度管理が大切な植物です。気温変化が大きい日本では、特に夏場の高温に注意しなくてはなりません。
梅雨時など雨の多い時季は、雨を避けて軒下などに置きます。夏場は半日陰に置いて、午前中のみ日が当たるようにしましょう。ベランダなど熱を持ったコンクリートに置く場合は、スノコやレンガを敷くとある程度熱を防げます。
夏場の水やりは日中を避けて、朝と夕方に行いましょう。日中に水やりすると土中の水温がお湯のように上昇するためです。さらに、枝を切って形を整えることで、ポインセチアのボリュームが増します。
ポインセチアをきれいに咲かせるコツ
ポインセチアをきれいに咲かせるには、「剪定・植え替え」と「短日処理」を行うことがポイントです。それぞれのやり方を解説します。
5月ごろ「剪定・植え替え」
ポインセチアは1~2年に一度植え替えをすると、根詰まりが起こりにくくなり、長く楽しめるようになります。
まず、一回り大きな鉢を用意して鉢底ネット・鉢底石を敷き、3分の1くらいまで用土を入れておきましょう。ポインセチアは節を三つ以上残すようにして、枝を切り落とします。不要な枝を減らすことで、脇芽に栄養が行き渡り成長が進みます。
剪定して小さくなったポインセチアを鉢から取り上げる際は、根を傷めないように丁寧に扱ってください。傷んでいる根は取り除いておきましょう。
新しい鉢にポインセチアを置き、残りの用土を入れて馴染ませます。最後に、充分に水をやり、日当たりのよい場所に設置します。
9月ごろ「短日処理」で鮮やかな色づきを促す
短日処理とは、人工的に光が当たらない時間を増やすことで、開花時期を調節することです。
ポインセチアは短日植物といって、1日のうち光の当たらない時間が12時間以上にならないと開花しない植物です。クリスマスシーズンにきれいなポインセチアを楽しむためには、9~11月ごろに40~50日ほど短日処理を行うとよいでしょう。
夕方5時から翌朝8時ごろまで、ポインセチアに段ボールなどを被せて、光が当たらない環境を作ります。コツは完全に光を遮断することと、毎日欠かさず続けることです。葉が色づいたら短日処理を終了します。
ポインセチアの人気品種
ポインセチアの品種の見分け方は、苞の色と柄、葉の形や株の大きさなどで、1,000~1,500もの種類があるといわれています。人気の品種を見ていきましょう。
ウインターローズ
苞が縮れて重なり合っている様子が、バラの花のように見えることから名付けられました。少し縮れた苞が八重咲きの花のように重なり合っていて、ボリュームがあります。
ポインセチアの数多い品種の中でも定番の品種で、色は赤やピンク以外にも白・斑入りなどバリエーションが豊かです。ベルベットのような質感が豪華で、部屋を一気に華やかなムードに変えてくれるでしょう。
プリンセチア ローザ
プリンセチアは、サントリーフラワーズが品種改良に成功したポインセチアの新しい品種です。「プリンセスのような華やかな印象」と「ポインセチア」を組み合わせて名付けられました。2009年に日本フラワーオブザイヤー「最優秀賞」を受賞しています。
ピンク系の「ピンクホワイト」「ホットピンク」、斑が入った「ロゼマーブル」「スノールージュ」など数多く展開しています。
「プリンセチア ローザ」は華やかなピンクの苞が、八重咲きの花のように重なった豪華なポインセチアです。ブーケのようなかわいらしさもあり、プリンセチアの中では、比較的新しい部類に入ります。
レモンスノー
レモンスノーは、黄色い苞が特徴の珍しい品種です。レモン色に白みがかった苞が美しく、ポインセチアの中でも人気品種といえます。
赤と黄色のコントラストを楽しむために、赤やピンクのポインセチアとセットで購入する人も多いようです。ぬくもりを感じさせる黄色を取り入れることで、寒い冬の室内を暖かく見せられるでしょう。
プリンセチア クリスタル*スノー
雪のように白い苞が特徴のプリンセチアです。緑の葉の上に積もった雪の結晶のように見えることから、クリスタル*スノーとネーミングされています。
他のプリンセチアよりも株が大きい傾向にあり、ずっしりとしたボリューム感で豪華な演出ができます。室内でホワイトクリスマス気分を堪能してみてはいかがでしょうか。
ポインセチアの害虫対策におすすめのグッズ
ポインセチアで最も発生しやすい害虫は「オンシツコナジラミ」で、植物の周りを飛び回って被害をもたらします。下記に紹介する商品を参考に、薬剤を効果的に使用して害虫を予防しましょう。
害虫駆除に「カダンスプレーEX」
フマキラーのカダンスプレーEXは、浸透移行性の薬剤(チアメトキサム)の作用でアブラムシ類やコナジラミ類を寄せつけません。予防効果は1カ月程度です。
葉から吸収された薬剤がポインセチアの隅々まで行き渡り、葉裏に潜む害虫も駆除できます。その一方で、植物に優しい活力成分が配合されているだけでなく、たとえば野菜の場合などは収穫前日にも使えるほど安全な薬剤です。
アオムシ対策に「STゼンターリ顆粒水和剤」
ポインセチアの葉が食されていたら、原因はアオムシであることが多いようです。STゼンターリ顆粒水和剤は、アオムシなどチョウ目害虫に効果があります。
有機JAS規格(オーガニック栽培)でも使える天然成分を採用しており、地球環境への影響が小さく、植物に優しい薬剤です。アオムシ駆除に効果があるのは、天然微生物(B.t.菌)由来の有効成分です。
薬剤散布後、害虫駆除までには時間を要しますが、食害はすぐに被害防止ができます。水に溶けやすい顆粒水和剤なので、使いやすい点も助かるでしょう。
クリスマスシーズンを彩るポインセチア
ポインセチアは、何といっても赤と緑のクリスマス・カラーが特徴的です。しかし、赤以外にもピンクや白・黄色など多様な色や、柄が入った品種もあります。
赤系のポインセチアに白や黄色のポインセチアを組み合わせてディスプレイすれば、コントラスト効果が出て、より一層華やかさが増すでしょう。さまざまなポインセチアを飾って、クリスマスシーズンの室内を豪華に演出してみるのも一つの楽しみ方かもしれません。
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構成・文/HugKum編集部