初不動はどんな日?
「初不動」は不動尊という仏様と、特別な縁を結べるとされる日です。不動尊がどのような仏様なのかもあわせて、初不動の意味を解説します。
その年最初の不動尊の縁日
初不動とは、新しい年になって最初の「不動尊の縁日」のことです。不動尊の縁日は毎月28日と決まっており、初不動も例年1月28日に催されます。
縁日は特定の神仏に由来のある日を指し、「有縁(うえん)の日」「結縁(けちえん)の日」が正式名称です。縁日に寺院を訪れると、その場所に祭られている仏様との縁が深くなり、普段よりも多くの御利益が得られるといわれています。
初不動は月ごとに訪れる縁日の中でも、特に御利益が多くあるとされている日です。
不動尊は不動明王のこと
不動尊は仏教の神仏の一人である、不動明王の尊称です。「お不動さん」などとも呼ばれ、広く親しまれている仏様です。不動明王が祭られている寺院も、不動尊と呼びます。
不動明王はヒンドゥー教のシバ神を指す言葉でしたが、大日如来の使者として仏教に取り入れられたとされています。悪を滅ぼしながら修行者を守り、修行を成功させる存在です。右手に剣を持ち、左手には修行者を救うための道具を持っていることが特徴です。
激しく怒っている顔をしており、全身に炎をまとった姿のため、恐ろしい仏様だと思われがちですが、実は災いを取り除き幸福をもたらすとされます。昔から、家内安全・病魔退散・国家安泰など、多くの御利益がある仏様として人々に親しまれてきました。
初不動の日は何をすればよい?
不動明王と縁を結ぶといわれても、どのようにすればよいのか分からない人は多いでしょう。初不動の日の過ごし方について、見ていきましょう。
境内や参道で露店を楽しむ
各地にある不動明王を祭る寺院では、初不動の例大祭が行われます。初不動は盛大に催され、境内や参道などにたくさんの露店が並ぶことも珍しくありません。
参拝の前後で、露店の見物や飲食などを楽しみましょう。その土地の特産品や名物などが並ぶ寺院もあり、地域の住民だけでなく観光客も楽しめます。
有名な寺院は地元だけでなく、遠方から参拝に訪れるたくさんの人でにぎわいます。初不動に合わせて家族で訪れるのもよいでしょう。
普段は見られない不動明王を拝む
初不動に、本尊の特別開帳を行う寺院もあります。本尊は常に公開されているとは限らず、特別なときにしか見られないケースもあります。一般公開されていない本尊を拝観できる機会は少ないため、日程を合わせて参拝するのもおすすめです。
また、誰でも法要に参加できるようになっている寺院もあります。僧侶の読経を聞きたい人や、一緒に祈願をしたい人は参列してみましょう。ただし、寺院によっては事前の申し込みが必要な場合もあるので、事前に確認する必要があります。
初不動の日に訪れたい主な寺院
不動明王を祭る寺院は全国各地にあります。初不動に多くの参拝者が訪れる、有名な寺院をチェックしましょう。
千葉県「成田山新勝寺」
成田山新勝寺(なりたさんしんしょうじ)は、千葉県成田市にある真言宗の寺院です。本尊の不動明王は真言宗の開祖として知られる、弘法大師空海が彫ったもので、堂内に上がって参拝できます。
新勝寺開山のきっかけは、939(天慶2)年に起こった、関東の武将・平将門(たいらのまさかど)の反乱です。戦乱が鎮まるように祈願するため、都から不動明王像とともに派遣された寛朝大僧正(かんちょうだいそうじょう)が、関東を守る場所として開山したと伝わります。
源頼朝や二宮尊徳などの歴史上の人物や、著名な歌舞伎俳優などが参拝していることでも有名です。
東京都「目黒不動尊瀧泉寺」
目黒不動尊瀧泉寺(めぐろふどうそんりゅうせんじ)は、東京都目黒にある天台宗の寺院です。平安時代、比叡山へ向かう途中だった修行中の僧侶が目黒に立ち寄った際、夢に現れた不動明王のお告げに従って、像を彫刻し安置したことが始まりだと伝えられています。
本尊は秘仏とされ、御開帳されるのは12年に1度、酉年のみです。また、本尊前に大きく炎が立ち上がる「護摩(ごま)祈願」が有名な寺院としても知られています。
護摩は厄や災いを払うために、護摩木(ごまぎ)を燃やす秘法のことです。初不動には、護摩祈願を見物しようと、全国から多くの人が訪れます。
目黒不動尊LOVE WEBサイト – 目黒不動尊 泰叡山 瀧泉寺
大阪府「瀧谷不動尊明王寺」
瀧谷不動尊明王寺(たきだにふどうそんみょうおうじ)は、大阪府富田林市にある真言宗の寺院です。平安時代に弘法大師空海が開山し、後に現在の場所に本堂が建立されました。「どじょう不動」とも呼ばれ、多くの人に親しまれています。
「どじょう不動」は、目の病に苦しんでいる人がどじょうを持って参拝し、不動明王に目を治してくれるようにお願いすると、持っていたどじょうの目が身代わりになり、病が治るという信仰が元となっています。
現在も瀧行場にどじょうが用意されており、毎月28日の不動明王の縁日には、どじょうを川に放って祈願する人もいるようです。目の病に限らず、さまざまな願いを込め、どじょうを川に放つ人もいます。
初不動で不動明王の御利益を得よう
不動明王を祭っている有名な寺院では、初不動を盛大に催すことが珍しくありません。初不動の日に参拝すると、普段よりも多くの御利益があるとされています。境内や参道などには露店が出て多くの人でにぎわい、年代を問わず楽しめるでしょう。
不動明王の御利益として有名なものは、家内安全や病魔退散などです。1月28日には、気になる不動明王を祭る寺院に、家族で参拝してみましょう。
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構成・文/HugKum編集部