【シングルファーザー奮闘記】ひとり親でも、ひとり親だからこそ。あえて僕が娘に対して守ってきたこと

シングルファーザーとして、日々の子育てから学んだこと、感じたことを発信してきた著者。その奮闘記は、育児に関わるすべての人を励まし勇気づけてきました。今回はわが子に「あえて厳しいことを言う」という場面について考えてみました。

シングルファーザーとして守り続けてきたこと

妻が癌と分かってから1ヶ月で他界。突然のことに戸惑い、先が見えない状態でした。それでも、私達2人をいろんな方々が支えてくれたおかげで、娘は順調に成長しています。現在は高校生になり、学校生活も楽しめているようです。

以前の奮闘記をご覧になってくださった方はご存じかもしれませんが、今に至るまでに色んな出来事がありました。嫌だったことや辛かったこと、そしてたくさん失敗したこと・・・。

特に娘への接し方に関しては、何度も失敗したり、悩んだりしました。「~ました」と言ってしまいましたが、現在も「失敗したり、悩んだり」しているので現在進行形です・・・(笑)。

でも、あきらめずに継続してきて良かったと思うことがあります。今回はその中の1つについてお話しさせてください。

それは娘に対して「厳しいことを言い続けてきた」ことです。

子どもを褒めて伸ばす?

今の時代は「子どもは褒めて伸ばす」という言葉を、子育てに関するテレビ番組や本などで良く耳にしますよね。

子どもは褒められることで、自己肯定感が上がるでしょうし、それによって自分に自信を持てるようになるなど、たくさんのメリットがあるといわれていて、多くの方が積極的に取り入れているのではないでしょうか?

僕もこの考えは正しいと思いますし、否定するつもりはありません。僕自身も子どもが小さい頃から、娘が良い行動をしたら褒めることを心掛けてきました。

でも、僕の場合は、褒めたことよりも厳しいことを言ってきた数のほうが確実に多いと思います。

厳しいことを言った後は悩む・・・

娘を褒めた後に悩むことはありませんが、厳しいことを言った後は・・・

・強く言い過ぎていないか?

・感情的になってなかったか?

・伝え方に問題はなかったか?

・自分の機嫌が悪かったことで言わなくてもいいことを言ってないか?

などと振り返り、よく悩んでいました。特に伝えたことで、涙する娘を見るときはいつも心苦しかったですね。実際に失敗した伝え方をしてしまったり、言わなければよかったと後悔したり・・・。

こんなふうに思うことは、今でも良くあります。自分の心が病みそうになり、厳しいことは今後一切言わないようにしようと考えたこともありました。

また、人によっては、ひとり親だからこそ子どもを不憫に思う気持ちから、叱るべき場面でもつい甘やかしてしまったり、厳しい言葉を避けたりしてしまうこともあるかもしません。

でも僕自身は、娘に対して厳しいことを言い続けてきて良かったと思えるようになってきました。

厳しいことを言ってくれる人が少ない時代

その理由は娘に対して厳しいことを言ってくれる人が、娘の周りにあまりいないと感じたからです。

これは娘や子ども達に限ったことではなく、大人でも「私の周りには厳しいこと言ってくれる人がたくさんいる」と自信を持って答えられる方は数少ないのではないでしょうか?  僕自身も「僕にはたくさんいます」とは、答えられません。

昭和から平成の前半頃までの時代は、相手のためを思うからこそ、あえて厳しい事を遠慮なく言う人がいろんな関係性の中で多かったように思います。例えば、友人、学校の先生と生徒、会社の上司と部下の関係など。僕の場合は、近所のおばさんやおじさんにも、そんな人がいました・・・(笑)。

しかし今の時代は、相手に嫌われたくないから、恨まれたくないから、すぐにムキになる面倒な人だと思われたくないなどの理由で、どんな関係性においても厳しいことを言う人は減少している傾向にあるのではないでしょうか。

これは同時に、自分の弱点や悪い面を認識するチャンスが失われ、それを改善する機会が少なくなっているともいえます。

子どもも大人も、指摘されたり叱られたりすることは好きではないでしょうが、言われなければ気がつかないことってたくさんありますよね。それらをすぐに直すことができなくても、少なくとも知っていれば直せる可能性はあるし、周りの人と付き合う中で気をつけることができるはずです。

だからこそ、親の僕だけでも、娘に嫌われることを恐れず、遠慮なく苦言を呈すことができる存在でいたいと考えるようになりました。そして娘には、僕の指摘をもとに改善に繋げていってほしいです。

おそらく、娘は「そんな考えはやめて欲しい! 逆にもっと褒めてくれ!」と思っているかもしれませんが・・・(笑)。

厳しいことを言える存在でいる

ここまで僕が思うことを述べさせていただきましたが、僕の考えや子育てが正しいとは決して思っていません。逆に僕が娘に厳しいことを一切言わないで接していたほうが、娘は今より心豊かでいろんな才能を開花させていたかもしれません。でも正解は誰にも分からないですよね。

だからこそ、子育ては今の時代によいとされている方法や風潮だけにこだわることなく、それぞれの子どもにとって「親がどんな存在であるか」を自分自身で考えることが大事だと思います。

その上で今の僕は、これからも娘に対して厳しいことを言える存在であり続けようと思います。

でも下記の話で書いたような炎上は嫌なので、伝え方と話の聴き方を工夫しながら・・・(笑)。

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*  *  *

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。すべての親子が幸せになりますように!

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文・構成/ひまわりひであき ※写真はイメージです。

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