雛人形を片付ける日は決まっている? 気になる「婚期が遅れる」俗説や片付け方法・注意点をチェック

雛人形を片付ける時期が遅くなると、娘の婚期が遅れるという話は有名です。俗説ではありますが、気になる人もいるのではないでしょうか。雛人形を片付けるタイミングと上手なしまい方、保管方法などをチェックしましょう。

雛人形はいつ片付けるべき?

3月3日の桃の節句が過ぎた後、雛人形をどれくらいの期間飾っていてよいのか、悩む人もいるでしょう。片付けの時期や、婚期にまつわる俗説の由来について紹介します。

明確な片付け時期は決まっていない

雛人形はひな祭りが終わってから、あまり時間を置かずに片付けるのがよいとされています。ただし「この日までに必ず片付けなければいけない」という、明確な時期は決まっていません。

ひな祭りの翌日が無理ならその翌日でも構いませんし、時間をかけて飾ったのだから、できるだけ長く飾っていたいと考えても間違いではないのです。

地域によっては4月に入っても飾っている場合もあり、個人の判断に委ねられる部分が大きいというのが実際です。季節外れの印象を与えたくなければ、桃の節句が過ぎてから2週間程度を目安に片付けるとよいでしょう。

雛人形を飾る時期

雛人形を飾る時期は、節分が終わったころから2月半ばごろが目安とされています。片付ける時期と同様に、飾り付け始める日にも特に決まりはありません。

しかし、桃の節句が迫ってから慌てて飾るのはよくないとされます。前日に雛人形を飾るのは「一夜飾り」といって縁起が悪いので、避けられる傾向にあります。

遅くても、ひな祭りの1週間前くらいまでには飾るとよいでしょう。なお、毎年2月18日、19日ごろにある二十四節気の「雨水(うすい)」の日に雛人形を飾ると縁起がよいとされます。

片付けが遅いと婚期が遅れるといわれる理由

雛人形を片付ける時期が遅いと、娘の婚期が遅れるといわれるのはなぜでしょうか。

昔は他家に嫁いだ娘に対し、親が「片付いた」と表現することがありました。諸説ありますが、雛人形を長い間飾っておいて片付けないことと、娘の婚期が遅れることをかけてこのような俗説が生まれたとされています。

また、行事が終わったのに、いつまでも雛人形を出しておくのはだらしないという考えもあり、戒めのために作られた話である可能性も否めません。

その他、雛人形は子どもに降りかかる災いの身代わりであり、厄をはらう意味で飾っているため、早く片付けたほうがよいと考える人もいます。

雛人形を片付けるタイミング

いつでもよいとはいえ、雛人形の片付けには向いていない日もあります。雛人形を片付けるおすすめのタイミングについてチェックしましょう。

湿度の低い晴れの日がおすすめ

雛人形を片付ける時期に見当をつけたら、次はよく晴れて湿度が低い日を狙いましょう。雛人形は湿気に弱い性質があるため、雨の日や湿度が高い日に片づけると湿気ごとしまい込んでしまうことになり、湿度が高い場所を好むカビや虫が発生するおそれがあります。

翌年に飾ろうとしたときに、シミやカビなどに悩まされることのないよう、カラッと晴れた日に片付けることが大切です。

もし片付けると決めた日に、雨が降っていたら延期しましょう。雛人形を楽しむ期間が延びたと、前向きに考えることがおすすめです。

迷ったら啓蟄の日に片付けよう

雛人形を片付けるタイミングを決めかねている場合は、「啓蟄(けいちつ)」の日を目安にしましょう。啓蟄とは、雨水と同様に春夏秋冬を二十四に分けた二十四節気の一つであり、春の陽気が感じられるようになってきた時期にあたります。

啓は閉じていたものが開くという意味があり、蟄は土の中にいる虫のことです。毎年3月6日から3月20日ごろに訪れ、雛人形を飾るとよいとされる雨水の次の節気に該当します。

前の節気で飾ったものを、次の節気がやってきたタイミングで片付けることになるので、理にかなっているといえるでしょう。

雛人形を片付ける方法やコツ

 

雛人形にはさまざまな種類があり、屏風や提灯などの付属品が多いタイプも少なくありません。手順やコツを押さえて、効率よく片付けましょう。

片付け前のお手入れや注意点、あると便利なアイテムなどを紹介します。

片付ける前の雛人形のお手入れ

雛人形は何度も買い替えるのではなく、娘が成人するまで長く飾るものです。片付ける前に丁寧にお手入れをすると、美しい状態を維持しやすくなります。

手に皮脂や汚れがついている状態で触ると、雛人形が汚れたり傷んだりする原因になるので、作業を開始する前に手を洗いましょう。より厳重にしたい場合は、布手袋などをつけると安心です。

雛人形を手のひらに乗せるように持ち、羽ばたきや筆などで優しくホコリを払います。付属品の台や屏風、提灯などの飾りも点検し、汚れを見つけたら柔らかい布で拭き取りましょう。

お手入れ後に入っていた箱へ戻す

ホコリや汚れなどを落としたら、雛人形を包んでいた紙で顔を包み、入っていた箱に戻しましょう。戻す前にしばらく箱を開けておき、中に湿気がたまっていない状態で収納します。

人形がたくさんあると箱を間違えやすいので、入っていたものの名前を書いておくか、写真を撮っておくなどすると安心です。

箱と雛人形の間に緩衝材を入れ、出し入れする際に動いて傷つくことを防ぎましょう。ただし、あまりに多くの緩衝材を入れると、逆に人形を圧迫して傷つけることがあるので、無理に入れないようにします。

小さな飾りは、出し入れの間に紛失してしまうことがあります。なくさないように、まとめて小箱や袋に収納してもよいでしょう。

片付けに便利なアイテム

片付けの際には、雛人形を包む和紙や布、防虫剤があると便利です。顔の部分を紙で包むことで、破損しにくくなります。

元々雛人形を包んでいた和紙を紛失したり、汚したりした場合、書道に使う半紙やティッシュペーパーなどで代用して構いません。薄くて柔らかい紙で包んだ上から、さらにキッチンペーパーなどで包むと安心です。

人形用の防虫剤を一緒に入れると、虫に食われる心配が減ります。防虫剤が雛人形に直接触れないように、緩衝材や包み紙の隙間をうまく使いましょう。

雛人形の保管方法

雛人形は工芸品であり、高価なものも少なくありません。中には、子から孫へ、さらにその子へと引き継いでいきたいと考える人もいるでしょう。

長く使用するには、適切に保管することが大切です。雛人形の状態を美しく保つための保管方法を紹介します。

雛人形に適した保管場所や収納箱

雛人形は風通しがよく、直射日光が当たらない場所で保管しましょう。風通しが悪いと湿気や虫の被害を受けやすくなりますし、日光が長時間当たる場所では日焼けが心配です。

湿気や寒暖差が少なく、虫の害を受けにくい場所での保管が好ましいといえます。例えば、たんすやクローゼットの上段、屋根裏やロフトなどがおすすめです。

また、雛人形を収納する箱は、湿気・虫・カビなどを防ぎやすい桐箱が理想的ですが、紙の化粧箱や段ボール箱でも構いません。

年に1回虫干しを行う

日本の高温多湿な気候では、条件がよい保管場所を見つけても、湿気がたまるのを完全に防ぐのは難しいでしょう。そこで、年に1回程度「虫干し」をすると、雛人形をよりよい状態で保管できます。

9~10月ごろの湿度が低く晴れた日に、箱から人形や飾りを取り出し、6時間程度外気に触れさせましょう。このとき、直射日光や空調の風が当たらないように注意します。

中の空気を入れ替えるため、保管用の箱のふたも、開けた状態にしておくことがおすすめです。

雛人形はできるだけ早めに片付けよう

雛人形を片付ける時期や、飾り始める時期に明確な決まりはありません。長く飾っていると娘が婚期を逃すとの俗説もありますが、気にならなければ独自の判断で片付ける日を決めましょう。

美しい状態を維持するためには、よく晴れて湿気の少ない日を選び、ホコリを取り除くなどのお手入れをしっかりと行うことが大切です。余裕があれば、子どもと一緒に片付けてもよいでしょう。片付けの大切さや、お手入れの方法を教えるよい機会になるはずです。

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構成・文/HugKum編集部

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