絵本の中でピカチュウの仕掛けが転がる!?
ピカチュウの仕掛けが絵本の中をコロコロコロ。運指や本を傾けることによって「動くボール」をさまざまな形に転がして遊ぶ『ぴかぴか とことこ』。この絵本を作ったのは「赤ちゃんラボ5.0」でも知られる東京大学・開一夫教授です。(過去のインタビュー記事はこちら)
開教授といえば、ベストセラーとなった赤ちゃん絵本『もいもい』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)や「シナぷしゅ」(テレビ東京系列)の監修を手がける、まさに赤ちゃん研究の第一人者。『ぴかぴか とことこ』は、そんな開教授だからこその「赤ちゃんが反応しやすい工夫」が詰め込まれた絵本となっているのです!
絵本をつくった人
赤ちゃんは複数の感覚を統合することが大好き!
開 教授:絵本の基本は、視覚と聴覚の対応関係を構築することです。視覚は目で見ること、聴覚は読んでもらっている音声を耳で聞くことですね。
この『ぴかぴか とことこ』では目と耳だけでなく、自分の「指」を使ってピカチュウのボールを転がします。そうすることにより、視覚・聴覚に加えて、触覚や運動感覚との「対応づけ」を行うことができるのです。
開 教授:赤ちゃんは複数の感覚を統合することが大好きです。
お母さんやお父さんと一緒に絵本を目で見て、声を聞きながら、ピカチュウを指で動かす。それによって、たくさんの感覚を刺激することができるのです。この点が『ぴかぴか とことこ』の大きなポイントです。
はっきりした「形」、リズミカルな「音」、鮮やかな「色」、そして……
赤ちゃんが認識しやすいよう工夫した配色に、シンプルではっきりした形と音、そして読者のほうを向いたピカチュウ。ページをめくるごとに、ピカチュウの数はだんだん増えていきます。
ページの表面にはニスが引いてあり、少しの力でピカチュウのボールが滑らかに動く設計に。指で動かすのはもちろん、本を傾けると勢いよくコロコロコロ!とピカチュウのボールが転がっていきます。
何度も試行錯誤を重ねて、赤ちゃんが反応しやすい絵本を目指したこの絵本には、見開きいっぱいに赤ちゃんの「大好き」がつまっているんです。
さらに、この絵本にはもうひとつポイントが。
開 教授:絵本の中にはピカチュウのボールが「かくれる」仕掛けも入っています。触っていたボールが途中で「かくれたり」「またあらわれたり」するんです。
目で見て、手で触っていたものが「消えて」しまうことは、赤ちゃんにとっては「不思議」なこと。赤ちゃんの「不思議」を刺激する仕掛けも注目です。
ママ・パパ世代が親しんだ「ピカチュウ」
開 教授:ピカチュウは、今のお母さん・お父さん世代が小さな頃から親しんできたキャラクターです。
お母さん・お父さんがピカチュウを笑顔で見ているのを、赤ちゃんはしっかりと観察するでしょう。好きなイラスト(キャラクター)の継承ですね。
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いかがでしたか?
赤ちゃんが夢中になる工夫が詰まった仕掛け絵本『ぴかぴか とことこ』。書店でピカチュウと目が合った際には、ぜひお手に取ってみてください。
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まるいボールを指でコロコロ、本をかたむけてコロコロ。「ピカチュウのボール」があちこちに転がる0・1・2歳向けの仕掛け絵本。東京大学・開一夫教授(赤ちゃんラボ)とともに、赤ちゃんの視覚や聴覚、触覚に働きかけるようにつくられています。
ISBN/978-4-09-735359-1
構成・文/小学館 児童創作編集部
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