【2~4歳児の生活リズム】睡眠時間10時間確保の逆算方式で「よく食べ、よく動き、よく寝る」の整え方を伝授!

2~4歳のお子さんをお持ちの方で、毎日の生活リズムがなかなか整わず苦労しているパパママも多いのでは? どんなことを意識すると改善できるのかを、「子どもの健康福祉学」の専門家で、早稲田大学人間科学学術院 人間科学部教授の前橋明先生に伺いました。

生活リズムを整えると充実した毎日が送れる

生活リズムを整えると、夜はぐっすり眠れて、朝はすっきり目が覚めます。そして、日中は元気いっぱい活動ができて、お友だちとも楽しくあそべます。たくさんからだを動かすことで、食事もおいしく食べられるでしょう。

そのような経験は、子どもにとって自信にもつながるはずです。数年後にやってくる小学校生活を考えても、今のうちに生活リズムを整えることがとても大切です。

生活の基本は、日中の食事と活動と睡眠です。2~4歳の幼児期に必要な睡眠時間は10時間以上といわれるので、日中の活動開始時間が決まっていれば、そこから逆算することで、夜は何時までに寝ればよいかがわかってきます。

できそうな部分から改善することで全体にいい影響が

よい生活リズムとは、「よく食べ、よく動き、よく寝る」というサイクルが日々連続している状態です。この3つの要素はすべてつながっているため、どれか一つでも崩れると、サイクルが乱れ、睡眠不足になったり注意力が散漫になったり、心とからだのバランスに悪影響を与えてしまいます。

3つの要素がつながっているということは、どれか一つでも改善されると、生活リズムはよい方向に整っていきます。つまり、「これならできそう」と思えることから始めればよいのです。どんなことならできるのか、ぜひお子さんと一緒に話し合ってみてください。できることから、楽しんで取り組むことが、よい生活リズムの習慣化の秘訣です。

めばえっ子がめざしたい1日のすごし方

活動開始の2時間前に起きて朝食を食べると、午前中から活発に活動できます。夕食も就寝2時間前までに終えられると、スムーズに眠りに入る準備ができるでしょう。

生活リズム向上ポイント

睡眠時間が足りていると、朝すっきり目が覚め、朝食もしっかり食べられます。そうすれば、日中も元気いっぱいにからだを動かして活動ができるので、心地よい疲労で夜はぐっすり眠れます。

生活リズムのよくあるお悩みクリア大作戦

生活リズムを改善する上でありがちな壁を突破する作戦を集めました。ご家庭やお子さんに合う方法を見つけてみてください。

朝の起床・支度がスムーズにいきません

朝すっきり起きて、朝食を食べ、元気よく園に向かうのが理想です。脳やからだが「朝の活動モード」に入れるように、刺激を与えてみましょう!

作戦① カーテンを開けて太陽の光を浴びる

光の刺激は人間の脳を活動的にしてくれます。起きる時間になったらカーテンを開けて、太陽の光を取り込むようにしましょう。自然にからだが目覚めます。

作戦② 朝食前に散歩に行く

5分程度、自宅のまわりを歩くだけでも効果があります。からだを動かすことで、血液循環がよくなります。体温が上がって頭がすっきりし、朝食もおいしく食べられます。

作戦③ 就寝時刻を見直す

睡眠時間が足りていなければ、朝もすっきり起きられないのは当然です。30分でもいいので、就寝時刻を早めるようにしてみましょう。

夜なかなか寝てくれません

夜になったら眠りやすくなる環境づくりが大切です。部屋の照明を薄暗くし、テレビやタブレットなど、光刺激になるものは夕食後に見ないようにします。

作戦① 日中の運動量を増やす

降園後に公園あそびをして帰るのが理想ですが、難しければおうちでテーブルをふいたり、片づけをしたりと、からだを動かすお手伝いをするのも運動のひとつになります。

作戦② 寝る前のルーティンをつくる

リラックスできる音楽を流す、絵本を読むなど、寝る前のルーティンを決めます。電気を消して、ふとんの中で絵本の続きを親子で想像するのもいいですね。

夕食の時間にごはんを食べてくれません

お腹が空いていなければ、いくら食事を並べても食べられないものです。汗をかいて、からだが汚れている場合は、先に入浴をすませるなど食事の時間を遅らせるのもひとつの方法です。

作戦① 食事前にからだを動かす

家族で分担できるなら、食事の準備をしている間に散歩をするなど、運動をしましょう。できる範囲で調理や配膳などを手伝ってもらうのもいいですね。

作戦② 食事に集中しやすい環境を作る

テレビや動画は消して食事に集中できるようにしましょう。その日の食材や献立に関する話をするなど、食事を楽しめるような声かけを心がけます

体力に自信がなく、あそびにつきあうのが苦手です

外あそびをさせたいものの、体力がついてきた子どもと全力であそぶと、大人はヘトヘトに。大人も無理なく、子どもが精いっぱい楽しめるあそびのコツがあります。

作戦① サーキット遊び

「すべり台を1回すべる」「ブランコを10回こぐ」「ジャングルジムの3段目まで登る」など、数種類の運動を1セットにしてくりかえします。「3周回ったら帰ろうね」と回数を決めて、大人は応援と見守りを。

作戦② ミッションを決める

「あそこの壁にタッチして来て」「ボールを転がすから取ってきて」などと、子どもに指令を与えます。「10数えるうちにボールを取って戻ってこれるかな?」など簡単なルールをつけ加えるとさらに楽しめるはずです。

家の中でからだを動かす方法がわかりません

天気が悪い、暑さや寒さが厳しいなど、外あそびが難しい日もありますね。おうちの中でも楽しみながらからだを動かすことはできます。親子のふれあいの時間にもなります。

作戦① 丸太ころがし

子どもは床に寝ている大人のからだを転がすように、押したり引っ張ったりします。子どもが思いっきり力を出せるように、大人はからだに力を入れて勝負します。

作戦② 新聞キャッチボール

新聞紙を2枚用意。1枚は丸めてボールに、もう1枚は筒状にし、手元をしぼってボール入れにします。子どもにボールを投げてもらい、キャッチしましょう。

作戦③ なわ渡り

床の上になわを置き、子どもはその上をなぞるように歩きます。なわをくねくねさせたり、後ろ歩きに挑戦したり、だんだんと難易度を上げていきます。

作戦④ 脚とび

大人が両脚をのばして開脚した状態で座り、子どもに脚の上をとび越えさせて、大人の背後をひと回りさせます。片足とびや後ろとびにも挑戦してみましょう。

こんなときはどうする?

「生活リズム」の改善にまつわる個別のお悩みQ&A

Q.上に年の離れたきょうだいがいて、生活リズムがかなり違う時はどちらに合わせる?

上のきょうだいに合わせると、下の子の就寝時刻が遅くなり、必要な睡眠時間の確保が難しくなります。下の子だけ夕食を早め、すぐに入浴させるなど、それぞれに合わせた工夫が必要です。

Q.保育園で昼寝をしているので、夜眠くならないようです。家庭でできる対策は?

降園後にできる運動をさせて、心地よく疲れさせましょう。園から歩いて帰る、階段を上り下りするほか、お手伝いを頼むなど生活の中でできる活動を取り入れます。

Q.お風呂や食事の時に動画を止めると泣いたり怒ったりします。どうしたらスムーズにやめられる?

動画視聴が習慣化しているのだと思いますが、子どもは新たな習慣を身につけるのも早いものです。「時計の長い針が6に来たら終わりだよ」と、ルールを決めるようにしましょう。

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教えてくれたのは

前橋 明先生
早稲田大学人間科学学術院人間科学部教授。「子どもの健康福祉学」をテーマに研究を続け、特に子どもの運動と生活リズムの関係に注目。講演活動なども行う。

イラスト/山田花菜 文/古川はる香 構成/KANADEL

親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。

再構成/HugKum編集部

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