バチカン(ヴァチカン)市国基本情報
「バチカン(ヴァチカン)」という言葉を耳にしたことがある方が多いでしょう。これは「バチカン(ヴァチカン)市国」という国のことで、世界で最も小さな国です。まずはバチカン市国の場所や首都、面積、人口、気候などの基本情報から見てみましょう。

国名
バチカン(ヴァチカン)市国
首都
バチカン(ヴァチカン)
場所
バチカン市国があるのは、イタリアの首都ローマ北西部。ここにバチカンと呼ばれる丘があり、そのエリアがバチカン市国です。つまりバチカン市国の周囲はイタリアで、イタリアとバチカン市国の間では国境を超えるという意識はあまりなく、自由に行き来できます。

日本との時差
7時間。つまり、日本のほうがバチカン市国より7時間進んでいます。
面積
0.44㎢。日本の皇居が約1.15㎢ですから、バチカン市国の面積は皇居の半分ほどしかありません。
エリア
バチカン市国には、行政区画はありません。
人口
2018年10月のデータで、バチカン市国の国籍を持っている人は615人。これに、バチカン市国の国籍はないもののバチカン市国に居住する人が205人いて、合計の人口は820人です。

言語・公用語
ラテン語(公用語)、外交用にはフランス語、通常業務ではイタリア語がよく使われています。
通貨
ユーロ。1 ユーロ=172.37円(2024年7月15日現在)
宗教
キリスト教(カトリック)
歴史概略
バチカン市国の歴史は、紀元64年頃にイエスの使徒ペテロがバチカンの丘に葬られたことから始まります。その後、4世紀(329年)にペテロの墓の上にサン・ピエトロ聖堂が建設されました。そして、この場所がキリスト教徒にとっての巡礼地として発展していき、バチカンは「教皇領」としてその支配範囲を広げていきました。
この教皇領は、19世紀中ごろまでにはイタリア半島中部に広大な支配地域をもっていましたが、1860年にイタリア王国が成立すると教皇領の北部地域の大部分が、のちには、残っていた南部のローマ市とラティウム地方もイタリアに併合されることとなりました。
しかし1929年に、イタリアとローマ教皇庁との間でラテラノ条約と呼ばれる条約が締結され、イタリア側がバチカン市国を独立した国家として承認したのです。
国旗

バチカンの国旗は、黄色と白色の縦のストライプがデザインされています。黄色と白は、教皇庁の衛兵の帽子に由来するといわれています。また白い部分には、ペトロがイエスから授けられた「ペテロの鍵」が描かれています。
天気・気候
バチカンの気候は、ローマと同じで地中海製気候に属しています。夏は湿度が低く、からっとした暑さになります。また冬にはコートやジャケットが必要ですが、それほど冷え込むようなことはありません。
バチカン市国の治安・住みやすさ

バチカン市国を訪れるのなら、治安面が気になるところです。バチカン市国の治安や住みやすさはどうでしょうか?
治安は良好
外務省「海外安全ホームページ」によると、バチカン市国で危険情報は発令されていません。テロ事件や反政府武装組織の活動なども確認されていないため、安全に旅行を楽しめるでしょう。
ただし、バチカン市国は世界的にも有名な観光地のひとつです。しかもカトリック信仰の中心地であることから、観光客に紛れてテロリストが入り込んだり、テロの標的となったりする可能性も否定できません。世界的に見ても、観光地やイベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関はテロの標的になりやすく、そのような危険があることは理解しておきましょう。
またイタリアのローマやミラノといった観光地では、置き引き、ひったくり、スリといった事件が多く、日本人観光客も多く被害に遭っているため十分な注意が必要です。
住みやすさは良好
バチカン市国は世界的に見て比較的治安が良い国であることから、住みやすさの点でも良好といえるでしょう。
バチカン市国の見どころ・観光
バチカン市国は、国全体が世界遺産に登録されている唯一の国です。そんな中でも、ぜひチェックしておきたい見どころや観光スポットをおさえておきましょう。

バチカン市国のシンボルとなっている観光スポットが、サンピエトロ大聖堂。ここは世界で最大の大聖堂で、カトリック教会の総本山でもあります。外観の大きさに驚くかもしれませんが、荘厳で歴史を感じさせる圧倒的な雰囲気は素晴らしいの一言です。内部には、ミケランジェロが描いた『ピエタ』などが飾られてとても豪華です。
サン・ピエトロ広場
サン・ピエトロ大聖堂の前にあるエリアが、サン・ピエトロ広場です。大きな円柱が円を描くようにずらりと並び、その雰囲気は圧巻。広場にたどりつくために320段もの階段を上らなければいけませんが、上った先にはその疲れを吹き飛ばすような景色が待っています。

バチカン宮殿・バチカン博物館
サン・ピエトロ大聖堂の隣にあるバチカン宮殿は、ローマ法王が住まいとする場所です。かつては修道院のほか、巡礼者のための宿泊施設などが用意されていましたが、現在はローマ法王の住まいとなり、さらにその大半はバチカン博物館として使われています。

バチカン博物館には、古代エジプト時代のものからルネサンス期のものまで、幅広い時代と地域の芸術品が展示されています。
サンタンジェロ城

サン・ピエトロ大聖堂と城壁上の通路でつながっているサンタンジェロ城。現在は博物館になっていて、歴史上のさまざまな工芸品などが展示されています。歴史を感じさせる城では、ぜひカメラに納めたいフォトジェニックなスポットがあちこちにあります。
バチカン庭園

バチカン市国の中心部にある美しい庭園が、バチカン庭園です。噴水や美しい彫刻などがあるなか、さまざまな植物が植えられ、四季によって異なる表情を見せてくれます。バチカン市国の観光地はどこも人気ですが、この庭園は緑に囲まれた静かなエリアのため、ほっと一息つくのに最適です。
バチカン市国の特徴・有名なもの
バチカン市国は、ローマの中にある小さな国。周囲一帯をローマで囲まれていますが、独立した国家として認められています。そんなバチカン市国の特徴をご紹介しましょう。

世界一小さな国
バチカン市国は世界一小さな国。東京ドーム8個分にも満たない大きさです。さらに人口を見ても、世界で最も少ない国なのです。バチカン市国は「世界で面積が小さな国ランキング」「世界で人口が少ない国ランキング」のトップに君臨する存在です。
カトリックの中心地で、ローマ法王の住まいがある
バチカンは、世界中にいるカトリック教会信者の中心地です。もともとイエスの使途ペテロがバチカンの丘に葬られたことから、聖地となっているのです。
また、バチカンはローマ法王が暮らしていることでも知られています。サン・ピエトロ大聖堂の隣にあるバチカン宮殿で、会議などの執務を行っています。
バチカンのスイス衛兵
ルネサンス風の制服や長斧を用いた儀仗が有名で、観光客にも人気のスイス衛兵。

バチカンのスイス衛兵は、1506年にローマ教皇とバチカン市国を守る近衛兵として創設されました。1527年のローマ略奪で多くの犠牲を出しながら教皇を守ったことで知られています。以来、厳しい採用基準を満たしたスイス人男性によって担われ、現在も儀礼的な役割と実際の警護任務を担っています。
世界で一番小さな国バチカン市国
世界には、アメリカや中国のように広大な国土を持つ国がある一方で、東京ドーム8個ほどしかない小さな国も存在します。それがバチカン市国。そんな小ささは世界でもよく知られている存在で、イタリアのローマを訪れる旅行者の多くはバチカンにも訪れています。
治安が良く世界中から多くの観光客が訪れる国ですから、ヨーロッパを訪れる機会があればバチカンにも足をのばしてみてはいかがでしょうか。
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文・構成/HugKum編集部