7月第3土曜日は勤労青少年の日
勤労青少年の日は、毎年7月の第3土曜日です。これは、厚生労働省が勤労青少年福祉法で定めた記念日となっています。いったいどんな日なのか、これから解説していきます。
いつから始まったの?勤労青少年の日の歴史
勤労青少年の日の「勤労青少年」とはなにか、また、どんな歴史があるのか解説します。
勤労青少年とは?
まずは「勤労青少年」とはなにかについて見てきましょう。
ときは1970年代前後。このころに「勤労青少年」と呼ばれていたのは、義務教育を終了した中学校卒業後すぐに都会に出て、会社やお店などに集団就職して働く若い人でした。15歳くらいの若い人が親元を離れるのは、とても大変でした。さらに賃金も安く、技術・技能も働きながら身につけなければならなかったため、苦労も多かったようです。
こういった勤労青少年の福祉に関する原理を明らかにし、職業指導の充実、職業訓練の奨励、福祉施設の設置などの措置を目的として、「勤労青少年福祉法」が1970年に施行されました。
設置された福祉施設とは、いまでも各自治体にある「勤労青少年ホーム」です。このホームで仕事以外の時間に同年代の人と交流したり、余暇を楽しんだりしていました。ホームで知り合った男女が結婚することも、よくあったようです。
勤労青少年福祉法によると、「心身の成長過程において勤労に従事する者であり、とくに将来の産業および社会を担う者」を「勤労青少年」としています。
勤労青少年の日の歴史
勤労青少年の日は、1970年に勤労青少年福祉法が施行されたことで作られた記念日です。勤労青少年福祉法では、毎年7月の第3土曜日を「勤労青少年の日」と定めています。
勤労青少年の日は、なぜ毎年7月の第3土曜日になったのでしょうか。
毎年7月の第3土曜日となった理由にはいくつかあります。1つめは、4月から働き始めた勤労青少年が精神的につまづきやすいのが、働きだして3か月目であること。そしてもう1つの理由が、お盆の帰省時期に合わせたことです。
1966年には、勤労青少年が親元のいる故郷への帰省に役立つよう「勤労青少年旅客運賃割引」という制度がスタートしました。この制度は原則年2回、鉄道やバス、船などの帰省旅行運賃を割引するというものでした。この制度を利用するには、条件や決まりがありました。
条件
・15歳以上20歳未満であること
・労働基準法の適用があり、かつ、労働基準監督機関が監督権を有している事業または事務所に雇用されていること
・就職するために住居を移転したもの
決まり
・お盆または年末年始の帰郷旅行であること
・居住地最寄駅と帰郷先最寄駅との間を、順路により鉄道等を利用して往復する旅行であること
・片道の乗車(船)区間が、100kmを超える場合の旅行
この制度は勤労青少年たちにとってとてもよい制度でしたが、勤労青少年の数が減ったことにより、2011年に廃止されました。
なぜ勤労青少年の日が必要なの?
勤労青少年の日が設けられた理由は、
・働く若者の福祉について広く国民の関心と理解を深めること
・働く若者が社会人、職業人として健やかに成育しようとする意欲を高めること
と勤労青少年福祉法に記載されています。
またこの日には「国および地方公共団体は、勤労青少年の日にふさわしい事業が実施されるように努めなければならない」ということも法律で定められています。
勤労青少年の日は移動記念日
記念日には、毎年何月何日と日にちが決まっているものと、毎年日にちが移動する「移動記念日」の2種類があります。
勤労青少年の日は、毎年7月の第3土曜日となっている移動記念日で、毎年日にちが異なります。2024年の7月の第3土曜日は、7月20日です。
勤労感謝の日との違いは?
勤労青少年の日と同じく、「勤労」とつく記念日に「勤労感謝の日」があります。これらは似ているように感じますが、どこが違うのでしょうか。
勤労感謝の日は、11月23日の祝日です。勤労感謝の日には「勤労をたっとび、生産を祝い、国民がおたがいに感謝しあう日」という意味があります。
いっぽう、勤労青少年の日の目的は「働く若者の福祉について広く国民の関心と理解を深め、社会人、職業人として健やかに成育しようとする意欲を高めること」です。
また勤労青少年の日は移動記念日で、祝日ではありません。勤労感謝の日は、毎年日にちが決められた祝日です。そこにも違いがあります。
勤労青少年の日にまつわるイベント
勤労青少年福祉法には「勤労青少年の日には、国および地方公共団体は、その日の趣旨にふさわしい事業が実施されるように努めなければならない」とあります。そのため、各自治体や団体でさまざまなイベントが開催されます。開催される日は、勤労青少年の日でないこともあるようです。
ここでは、毎年開催されているイベントをご紹介していきましょう。
全国高等学校定時制通信制体育大会
全国高等学校定時制通信制体育大会は、全国高等学校体育連盟や、全国高等学校定時制通信制教育振興会などが主催する体育大会です。
この大会は定時制・通信制に通う高校生によるスポーツの祭典で、「もう一つのインターハイ」と呼ばれています。毎年8月に行われ、陸上競技や自転車、卓球、ソフトテニス、柔道、剣道、バレーボール、バスケットボール、サッカー、バドミントンのスポーツを競います。
若者を考えるつどい2024
「若者を考えるつどい」は、勤労青少年躍進会や日本勤労青少年団体協議会が主催するイベントです。実施しているのは、「働くってなんだろう」というエッセイのコンテストです。以下のテーマから1つを選んでエッセイを書きます。応募資格は15歳以上の人です。
1仕事・職場から学んだこと
2私を変えたあの人、あの言葉
3仕事を通じてかなえたい夢
このコンテストの表彰式や受賞者交流イベント(グループ・ディスカッションなど)が、「若者を考えるつどい」で行われます。
若者を考えるつどい2024
開催日:2024年10月13日
開催場所:Three Eight Nine MITAKA(東京都三鷹市)
各自治体のイベント
勤労青少年の日に行われる各自治体のイベントには、「勤労青少年の記念事業」「勤労青少年フォーラム」「勤労青少年の日 記念大会」などが過去にありました。これらのイベントでは、若手リーダーや地域活動に貢献した優良勤労青少年を表彰したり、人間関係を良好なものにするために欠かせないコミュニケーションスキルの向上を目的にした講座が開かれたりします。また働くことについてのグループディスカッション、講演会、フォーラムなども行われます。
また各地にある勤労青少年ホームで、交歓会が行われることもあります。交歓会では勤労青少年ホームの利用者が集まり、スポーツ大会などを通じて交流して友情をはぐくみます。
勤労青少年の日には子どもと労働について語り合ってみよう
あまり多くの人に知られていない「勤労青少年の日」。この日は、各自治体や団体で勤労青少年にふさわしいイベントやプログラムが実施されることが法律で義務付けられています。全国高等学校定時制通信制体育大会や「若者を考えるつどい」などが行われ、若者が働く意義や楽しさを共有し、成長をサポートする機会となっています。
家庭でもこの日を機に、子どもと労働について語り合い、働く将来について考えてみてはいかがでしょうか。
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構成・文/HugKum編集部