勉強の苦手意識を「耳読書」で克服して東大合格の経験も!オーディオブック「オトバンク」創業者に聞くカギは「脳の処理」

タブレット教材の RISU Japan 代表で『小学生30億件の学習データからわかった 算数日本一の子ども30人を生み出した究極の勉強法』著者・今木智隆さんが、「子どもの学び」について各界の識者と語り合うシリーズ記事。今回の対談ゲストは、オトバンク代表取締役会長で『超効率耳勉強法』『脳がよくなる耳勉強法』の著者・上田渉(上画像・左)さんです。

RISU代表  今木智隆(以下、今木):本日は、株式会社オトバンク代表取締役 会長の上田渉さんにお越しいただきました。

上田渉さん(以下、上田)こんにちは!

今木:上田さんは、「オーディオブック」という耳で聴く読書のサービスを提供する事業に取り組まれています。実は我々2社のオフィスが近所で、僕が教育事業、上田さんが読書に関わる事業と、取り組んでいる内容も関連があるので、ときどきお邪魔させていただく仲でして……。

今回は、オーディオブックとお子さんの学習についてしゃべりたいなと思います。

上田:はい、よろしくお願いします!

オーディオブックとは?

今木:まず初めに、「オーディオブック」とはどういうものなのか、上田さんからご紹介をお願いできますか?

上田:はい。オーディオブックというのは、ナレーターや声優が本を朗読した「聴く本」です。紙の本、電子書籍に続いて、「第三の書籍」として注目いただいています。

オトバンク代表取締役会長で、耳活アドバイザーの上田渉さん。緑内障で失明した祖父の影響と、自身の勉強法としても活用した音声学習をヒントに、オーディオブック事業のオトバンクを創業。

今木:たしか、上田さんのおじいさまが読書が好きなのに目を悪くしてしまって、何とかしてあげたいと思ったのが開発のきっかけでしたよね。

上田:そうなんです。ただ、最近では「タイパ」の観点でも需要が高まっていて、何かをしながら耳で読書を楽しむ「ながら読書」の使い方が特に人気です。家事や移動中などにオーディオブックを聴くことで、耳のスキマ時間を読書時間に変えられます。

私たちが運営するオーディオブック配信サービス「audiobook.jp」も、ここ数年で急速に会員数が増加していて、現在は会員数300万人を超えています。

今木:大人気ですね!  僕は目で読む読書も好きなのですが、耳で聴くスタイルも何かしながらだったり隙間にちょこっとだったり、読書のハードルが下がるところが素晴らしいと思います。

目の読書が苦手な人も、聴く読書ならできる? 違いは「脳のプロセス」

上田:「読書が苦手」という方にもオーディオブックはおすすめです実は、目で読む読書とオーディオブックは、脳における処理のプロセスが異なるんです

今木:ほう!

上田:まずは「読書」という行為を分解してみましょう。

人間は、赤ちゃんの頃に親からたくさん話しかけられることで、まず「音声」で言葉を習得します。その後に、文字を学びます。つまり、人間は最初に「音声」で言語を習得するのです。

今木:音声が先、文字は後からということですね。

上田:したがって、読書をする時の脳の動きは、文字を認識した後に脳内でその文字を音声に変換するというプロセスを経ています。

今木:いったん声に出して、それを聴いてっていうのを全部頭の中でやっている感じですね。

上田:はい。これは脳にとって大きな負担となる作業です。このとき、文字から音声に変換するスピードには個人差があります。先天的な要因も影響し、変換が遅い場合は読書が苦手に感じやすいです。

今木:頭の中の処理が読書の苦手に影響しているんですね! これは驚きました。

上田:一方、オーディオブックの場合、文字を音声に変換するプロセスが不要です。

そのため、普段「読書が苦手」と感じている方が「オーディオブックなら読書できる」と感じるのは、このような背景があるからです。

今木:これはぜひ、読書が苦手と感じる方には試してみてほしいですね。インプットの方法を変えるだけで好きになれるならすごくいいですし、逆に自分に合っていないインプットの方法をしていたせいで本を嫌いになってしまうのは、とてももったいない……

実際に音読を取り入れて、偏差値30からの東大合格の経験も

上田:特に、読書や国語が苦手なお子さんには、オーディオブックにぜひチャレンジいただきたいです。まだ検証段階ですが、オーディオブックを聴くことで、本を読むスピードが上がったり、国語が得意になるケースがみられます

人には「認知特性」があり、目からのインプットが得意な人もいれば、耳からのインプットが得意な人もいます。国語が苦手だったり、本を読むのが得意でないと感じる人は、認知特性が目ではなく「耳」からのほうが得意であることが多いです。そのため、こういった人はオーディオブックのほうが内容が頭に入りやすいです。

今木:僕は小学生向けの塾事業も運営しているのですが、長文を読んで、更に問題に向かい合うとなると時間に余裕がないという課題は本当によく見かけます。目で読む読書が苦手でも、耳で聴くのが大丈夫なら、ぜひ早くからたくさん文章に触れる機会を経験したほうがいいですね。

それに、算数の文章題でも、解き間違えてしまうお子さんに、一度文章を音読してもらうと、問題の意味が分かって正解できるケースも多いんです。目で見て理解するのが苦手でも、音声ならわかるというのは、やはりあるのだなと思います。

上田:さらに、倍速以上でオーディオブックを聴くことに慣れると、言語処理のスピードも上がります。その結果、目で読むスピードも向上して、読書への苦手意識も薄れていく可能性があります。

今木:それは面白いですね! 聴くことでトレーニングもできるのか……。

上田:弊社社員の子どもにも実際の事例があるんです。

小学校3年生の子どもが国語が苦手で、成績がなかなか振るわなかったそうです。そこで、オーディオブックを聴くことを毎日の習慣にしてみたそうです。その結果4倍速で聴けるようになり、国語への苦手意識も薄れていき、最終的には模試でトップ10に入るようになりました。

今木:4倍ともなると、これは劇的な変化ですね! というか……上田さんも似たような経験がありましたよね?

上田:はい。実は僕、高校3年生の時の模試の偏差値が30だったんです。どうしても東京大学に入りたかったのですが、先生にも見放されている状況で……。

様々な勉強方法を自分で模索する中で、音読を取り入れてみたところ成績が伸びるようになり、結果晴れて東大に合格することができました。この体験がオーディオブック事業の創業につながっています。

子ども向けの作品はどんなものがあるの?

今木:ここまでお話を伺ってきて、お子さんにもぜひオーディオブックを使ってもらいたいなと思うのですが、子ども向けの作品もあるんでしょうか?

上田:はい、「audiobook.jp」でも多数取り揃えています!  年齢層によって、おすすめのジャンルがあるのでご紹介します。

まず小学校低学年のお子さんには『心やさしく賢い子に育つ みじかいおはなし366』( 小学館刊)、『頭のいい子を育てるおはなし366』(主婦の友社刊)。また、『小学生なら知っておきたい教養366: 1日1ページで身につく!』(齋藤孝著 小学館刊)など。1話あたりが短いので無理なく集中して聴いてもらえると思います。

今木:親が読み聞かせるかわりに、親子で一緒に聞いたりしてもよさそうですね。

上田:中〜高学年になってくると、より物語的な作品が楽しめそうです。たとえば、『モモ』(ミヒャエル・エンデ著、大島かおり訳、岩波書店刊)や『はてしない物語 』(ミヒャエル・エンデ著、岩波書店刊)などはいかがでしょうか。

ほかにも、小学館から刊行されているジュニア文庫シリーズも楽しい作品がたくさん揃っています。お子さん自ら聴いてくれるような作品が多いのではないかと思います。

今木:なるほど。このあたりの本って、けっこう分厚いですよね。それで「大変そう」と感じてしまい、なかなか読む気になれないお子さんもいると思うんです。あと、習っていない漢字が出てきて読みづらいとか。そういった、せっかく読みたい気持ちがあっても、ちょっとだけハードルが高いなというときにもおすすめですね。

対談ホストの今木智隆さん。算数教材のRISU Japan 代表で、30億件のデータから「効果的な学習」を指南。7歳の男の子の父親でもある。

上田:中学受験では「新書」から出題があることもあるので、受験を控えている場合には「新書」ジャンルの本を聴いてみるのもいいかもしれませんね。

今木:それは役に立ちそうですね。硬めの文章に耳から慣らしていくこともできるかもしれません。

読書や国語の苦手でお悩みの方にとても有益なお話を伺えました。本日はありがとうございました!

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対談者プロフィール

上田 渉 | (株)オトバンク 代表取締役 会長
株式会社オトバンク代表取締役会長。日本オーディオブック協議会常任理事。耳活アドバイザー。東京大学経済学部経営学科中退。2004年にオトバンクを創業し、代表取締役に就任。自身が受験時代の勉強法として活用した音声学習もヒントに、オトバンクを創業。会員数300万人のオーディオブック配信サービス「audiobook.jp」を運営。著書は『超効率耳勉強法』『脳がよくなる耳勉強法』等多数。
今木智隆 | RISU Japan株式会社 代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザ行動調査・デジタルマーケティング領域専門特化型コンサルティングファームのビービット入社。金融・消費財・小売り流通領域クライアントなどにコンサルティングサービスを提供し、2012年から同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japanを設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、のべ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。日本国内はもちろん、シリコンバレーでもハイレベル層から、算数やAIの基礎知識を学びたいと、アフタースクールなどからのオファーが殺到している。

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小学生30億件の学習データからわかった 算数日本一の子ども30人を生み出した究極の勉強法

文響社より2023年7月6日刊行

協力/RISU Japan株式会社、 構成/HugKum編集部 

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