冷凍野菜のほうが栄養がある? 中国産野菜は安全? まさか!の噂を徹底解説〈ゆーまん博士の最新科学CatchUP〉

科学の世界は日進月歩。パパママの時代の常識が「過去の学説」となっていることも。最新サイエンスを大人たちがキャッチアップすることで、子どもたちの科学センスも磨かれます。「ゆーまん博士」の漫画で、最新科学をキャッチアップしましょう!

「冷凍野菜なんて…」ママはそう言うけれど

冷凍野菜は輸入野菜を使って危険、ゆでてあるので栄養は流れ出てしまう、賞味期限切れの廃棄野菜で作ってあるのでおいしくない……冷凍野菜に悪いイメージのあるリカちゃんママのようなお母さんは多そうです。

本当はどうなのでしょう?  冷凍野菜は生野菜に比べて栄養価が低い?おいしくない?  ゆーまん博士によると、どうやら反対みたいですよ。冷凍野菜のほうが栄養がある?  おいしい?

ゆーまん博士の「説明しよう!」

生野菜より冷凍野菜は安いので、どうも信用できない。安全性や栄養価はどうなってるんだと気になりますよね。

まず安全性です。冷凍野菜で気になるのはその多くを占める中国産野菜でしょう。

20023月に中国から輸入された冷凍ホウレンソウに基準値以上のクロルピリホスという有毒の農薬が使われているのが見つかりました。それが発端となって輸入の時の検査が強化されると、42件の違反が見つかったのです。これが中国毒入りホウレンソウ事件です。

日本では中国野菜の不買運動にまで発展しました。一方、中国国内でも自国の野菜を「毒菜」と呼び、富裕層はこぞって割高な輸入野菜を購入していました。国内外で中国野菜は危険というイメージが定着したんです。

事件を経て、いまや安全に

中国毒入りホウレンソウ事件から20年以上が経ち、2024年の今、中国産野菜の安全性はどうなっているのでしょう?

2002年以降、中国では国を挙げて「無公害食品計画」という食品の安全性向上運動を開始しました。食品の安全に関連する法律を整備、農薬等の使用にも水質基準や残留値などに明確な基準を設けています。中国の国民の食品安全への意識も高まり、有機農法や減農薬野菜の売り上げが飛躍的に伸びているそうです。

日本向けの輸出品は日本企業が中国の農地と専属契約を結び、安全性をチェックして日本へ輸出するケースが増えています。20年以上が経ち、中国野菜の安全性の問題はほぼなくなったと言っていいと思います。

さまざまな種類の野菜がそろう市販の冷凍野菜

栄養はどうでしょうか?  冷凍野菜は加熱した上で冷凍してあります。ゆでて栄養が抜け、さらに解凍で栄養が抜けて、生野菜よりも栄養価がはるかに低いというイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

冷凍野菜を加熱するのは、色落ちを防ぎ、栄養価を維持するため。お湯か高温の蒸気で短時間加熱し、酵素の働きを止めるのが目的です。非常に短時間なので、栄養が流れ出すことはありません。熱の通りは7~8割なので、お浸しなどで食べる時は加熱したほうが食べやすいでしょう。

解凍して栄養は流れ出さないか?  これは問題は氷なんです。自宅の冷蔵庫で野菜を凍らせると、凍らせる時に野菜の中の水分が氷になって、細胞を壊してしまいます。だから解凍すると細胞の中のビタミンやミネラルが、破れたところから流れ出してしまいます。

冷凍食品メーカーはこの問題を解決するため、急速冷凍をします。氷点下以下まで急速に冷やすと氷が大きくならず、細胞を壊すことがないのです。だから冷凍野菜は細胞が壊れておらず、解凍しても栄養が流れ出すことはありません

野菜が一番旬の時期は、一番おいしい上に大量に作物ができます。その時の余った分を冷凍するので、実は一番おいしい時期の野菜が冷凍野菜なんですね。ニンジンのカロチンのように、冷凍で量が増える栄養素もあります。毛嫌いせず、上手に料理に使ってください。

ゆーまん博士のワンポイント

●中国産野菜も今は安心安全

●旬の野菜を急速冷凍で味も栄養もバッチリ

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構成・文/川口友万 漫画/まめこ

参考:「中国産農産物の安全問題と対策」(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokusei/kaigai_nogyo/k_syokuryo/h15/pdf/h15_asia_03.pdf

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