目次
あの食材も揚げちゃう⁉︎ ご当地天ぷらがおもしろい!
天ぷらは、世界中で知られる日本を代表する料理のひとつで、海外から来る観光客にも大人気の日本料理です。具材はエビやさつまいも、野菜、魚などバリエーションが豊富であることも天ぷらの魅力ではないでしょうか。
日本全国には、その土地ならではの食材を使った天ぷらがあります。中には、地元の人にとっては食べ慣れた定番の天ぷらであっても、他の都道府県から見ると「それを天ぷらにしちゃうの⁉︎」と驚くものもありますよね。そんな日本全国、ご当地天ぷらをチェックしていきましょう。
青森「南部せんべい天ぷら」
「南部せんべい」とは、小麦粉と塩、水を練って焼いたもので、青森や岩手の北部で広く食べられています。その南部せんべいに、衣をつけて油で揚げたのが、南部せんべいの天ぷらです。
衣をつけて油で揚げることで、中のせんべいは、しっとりもちもちとした食感になるそう。程よい塩味があって、そのまま食べられることも多いですが、醤油をつけて食べるのもおすすめだそうです。
岩手「ビスケットの天ぷら」
岩手県の中西部に位置する西和賀町の郷土料理「ビスケットの天ぷら」は、その名のとおり、ビスケットを天ぷらにしたものです。西和賀町の冬は、雪深く外出するのも一苦労。そのため、日持ちするビスケットを天ぷらにして食べたのが始まりだといわれています。
ビスケットを揚げる際のてんぷら粉には、米粉を使うのが特徴で、それは小麦粉よりも米粉の方が身近だったためなのだそう。米粉を使うため、衣はもちもちとした食感になります。
福島・長野「天ぷらまんじゅう」
福島の会津地方、長野、岐阜、東京の一部地域では、まんじゅうを天ぷらにして食べる風習があります。お彼岸やお盆の際、仏前にお供えして、固くなったまんじゅうを美味しくいただくために、衣をつけ揚げて食べたのが始まりだといわれています。
まんじゅうのあんは、こしあんが定番で、熱を加えることで甘さが増すそうです。また、天ぷらまんじゅうは、「おやつ」としてではなく、醤油をつけて「おかず」として食べられています。
大阪「紅しょうがの天ぷら」
紅しょうがを薄く切って、衣をつけ、揚げたもので、大阪や奈良、和歌山など、主に近畿地方で広く食べられています。関西のスーパーなどのお惣菜コーナーでは、必ずといっていいほど売られているんです。
もともと紅しょうがは、梅干しを漬けたあとに残った梅酢を捨てるのはもったいないと、それにしょうがを漬けて作られたもの。関西人の「もったいない精神」から生まれたものともいえます。
香川「金時豆の天ぷら」
香川には、余った煮物を天ぷらにする風習があるそう。その中でも代表的なものが「金時豆の天ぷら」です。薄力粉や強力粉を水で溶いたものに甘く煮た金時豆を入れて、お玉などにのせ、かき揚げのようにして揚げます。
「うどん県」として知られる香川では、この金時豆の天ぷらをうどんに入れて食べられることが多いそうです。うどんの出汁の塩味と、煮豆の甘さがマッチして、病みつきになるといわれています。また、おかずとしてはもちろん、おやつ感覚でも食べられているんです。
広島「ホルモン天ぷら」
「ホルモン天ぷら」は、広島県西区福島町で生まれたB級グルメです。昔、この地区には食肉処理場があり、市場には出回らないような新鮮なホルモンが手に入りました。そこで生まれたのが「ホルモン天ぷら」です。サクサクの衣に、中のホルモンは、新鮮でプリプリした食感で絶品だと評判なんです。
今でもホルモンの天ぷら専門店は、福島町にしかないそう。お店では、ホルモンの天ぷらと一緒に、まな板とナイフがでてきて、好みのサイズに切って食べるスタイルがとられています。
熊本「サラダちくわ」
ちくわの穴にポテトサラダを詰めて天ぷらにしたものです。「ちくわサラダ天」や「ちくわのポテト天」などと呼ばれています。「美味しいものと、美味しいものを組み合わせると、さらに美味しいものができるだろう!」と、お惣菜メーカーによって考案された天ぷらだそう。
今ではおかずとしてはもちろん、おやつやおつまみなどの定番になっていて、熊本の子どもから大人までに大人気のメニューです。
沖縄「もずくの天ぷら」
天ぷらは、沖縄県民のソウルフードといわれ、県内には多くの天ぷら専門店があります。その中でも、もずくの天ぷらは、沖縄ならでは食材を使った天ぷらです。沖縄の天ぷらならではの、もちもちした衣の中から磯の香りが広がります。
揚げたても美味しいですが、実は冷めても美味しいといわれていて、ビールなどのおつまみにも最適です。
作ってみた! 沖縄の「もずくの天ぷら」
天ぷらといえば、サクっとした衣が特徴ですよね。しかし、沖縄の天ぷらの衣はちょっと違うんです。衣は、もちもちした食感で見た目はフリットに近いでしょう。それは衣に卵を入れるためです。
また衣には、すでに塩などで味がつけてあるため、天つゆなどをつけなくてもしっかり味がします。また沖縄では、天ぷらにはウスターソースをつけて食べることが多いそうです。
では、沖縄のご当地天ぷら、もちもちのもずくの天ぷらを一緒に作って行きましょう。
材料(作りやすい量)
・もずく… 200g(水分を切った重さ)
・にんじん… 1/4本
・たまねぎ… 1/4個
・薄力粉(a)… 大さじ3
・揚げ油… 適量
<衣>
・薄力粉(b)… 50g
・片栗粉… 小さじ1
・卵… 2個
・顆粒だし… 小さじ1
・塩… 小さじ1/2
作り方
1.もずくはサッと水で洗い、水気をしっかりと切って、食べやすい大きさにカットします。
2.にんじんは千切り、たまねぎは薄くスライスします。
3.ボウルに1と2を入れ、小麦粉(a)を入れ、よく混ぜます。
4.別のボウルで衣の材料を入れて混ぜ、3を加えて全体によく馴染ませます。
5.鍋に油を入れ、180度まで温めます。
6.3を食べやすい大きさにまとめ、油で揚げたら完成です。
ご当地天ぷらがおもしろい
どのご当地天ぷらが気になりましたか? 地元では当たり前に食べられている天ぷらでも、他府県から見るとびっくりするものもありますよね。しかし、どれも美味しそうで試してみたくなります。旅行で訪れたときに食べてもいいですし、また自宅で作ってみるのも楽しいかもしれません。
こちらの記事もおすすめ
構成・文・写真(一部を除く)/松田慶子(京都メディアライン)