607の島からなる「ミクロネシア」はどんな国? 大自然の魅力と観光スポットを紹介【HugKum世界紀行】

ミクロネシアは、太平洋西部にある600以上の島々からなる国。赤道のすぐ上の広大なエリアに広がり、ヤップ、チューク、ポンペイ、コスラエの4つの州から構成されています。そんなミクロネシアには、どのくらいの島があり、どれだけの人が暮らしているのでしょうか?ミクロネシアの治安情報や観光スポットなどをくわしくご紹介します。

ミクロネシアってどんな国?

太平洋の西側にあり、赤道のすぐ北あたりに位置するのがミクロネシアです。たくさんの島から構成されているこの国は、いったいどんなところなのでしょうか? 場所や人口、面積、治安のことなど、ミクロネシアについてご紹介していきます。

ミクロネシア基本情報

まずはミクロネシアがどこにあって、どんな島が含まれているのか、首都や面積、人口、歴史などの基本情報から見てみましょう。

国名

ミクロネシア連邦

首都

パリキール(ポンペイ島)
以前は同じくポンペイ島のコロニアでしたが、1989年11月からパリキールが首都となりました。

場所

ミクロネシアの場所

ミクロネシアがあるのは、太平洋の西側の赤道より上、東西約2500kmにわたるエリアです。北にグアムやサイパンなどのマリアナ諸島が、東にはマーシャル諸島とギルバート諸島が、西にはパラオとカロリン諸島があります。

日本との時差

2時間(1時間)
ミクロネシアの方が日本より進んでいます。ポンペイ州とコスラエ州は日本より2時間、ヤップ州とチューク州は日本より1時間進んでいます。

面積

700㎢
日本の奄美大島とほぼ同じです。

エリア

ミクロネシアを構成するのは、全部で607の島。行政区分上は全部で4つの州にわかれていて、西側から順にヤップ州、チューク州、ポンペイ州、コスラエ州です。首都のパリキールがあるポンぺイ島は、ポンペイ州です。

人口

114,160人
東京都の人口が約1400万人ですから、ミクロネシアの人口は東京都の人口の1割弱です。

言語・公用語

英語のほか、現地の8言語

通貨

米ドル
1 米ドル=155.75円(2025年12月19日現在)

宗教

キリスト教(プロテスタントとカトリック)

歴史

ミクロネシアの歴史は、1500年代にスペイン人がミクロネシアの島々を発見して訪れたところから始まります。1886年にはスペインが、マリアナ諸島とカロリン諸島の領有権を宣言。1899年にはスペインがミクロネシアの島々をドイツに売却しました。

第一次世界大戦と第二次世界大戦時代は、ミクロネシアは海外の国からの占領を受けることになりました。まず1914年に日本が、パラオやマーシャル諸島とあわせてミクロネシアを占領。1920年には国際連盟から、日本のミクロネシア委任統治が認められました。しかし第二次世界大戦で日本が敗戦すると、今度は1945年から米軍の占領が開始。1947年には国連の太平洋信託統治領として、米国の統治が始まりました。

その後、1965年にミクロネシア議会が発足。信託統治終了後について米国との交渉が行われ、1978年には住民投票によってヤップ、トラック、ポナペ、コスラエの4州で連邦を構成する憲法が承認されたのです。翌1979年からは憲法が施行され、自治政府が発足。1986年には米国と自由連合盟約が発行し、独立しました。

ミクロネシアの国旗は、青色の背景に白の4つの星が描かれたデザイン。青は太平洋を表し、4つの星は国を構成する4つの州を意味します。星が十字のように配置されているのは、南十字星やキリスト教国家であることを示しています。

ミクロネシアの国旗
ミクロネシアの国旗

天気・気候

ミクロネシアは赤道に近い位置にあり、海洋性熱帯気候に属します。気温は1年を通じて27℃とほぼ一定です。季節は4月から12月頃の雨季と、1月から3月頃の乾季に分かれています。特に首都パルキールのあるポンペイ州は、雨の日が年間で約300日と、とても雨が多く湿度も高いです。

ミクロネシアの治安・住みやすさ

ミクロネシアの治安面はどうでしょうか?

治安は比較的安全

ミクロネシアの治安は比較的安全で、外務省「海外安全ホームページ」でも危険情報は発令されていません。ただし強盗や殺人といった凶悪事件が少ないものの、留守宅への侵入やひったくり、置き引き車上荒らしなどは、経済不振などの背景から増加傾向にあります。在住日本人でもそういった被害に遭った人もいるため、十分な注意が必要です。

住みやすさはまずまず

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ミクロネシアには、ぜひ行きたいスポットが数多くあります。

日本から比較的近く治安面でも心配が少ないミクロネシアは、日本からの移民も暮らしており、日本人が住みやすい国のひとつといえるでしょう。

しかし高温多湿の気候であり、水道の水は飲用に適していないことなどから、食中毒、A型肝炎、デング熱などが感染しやすい環境にあります。また十分な医療体制がないため、軽症の場合を除き、ハワイやグアム、フィリピンなどで治療を受けることが多いといったことを覚えておきましょう。

ミクロネシアの見どころ・観光

ナン・マドール遺跡(ポンペイ島)

ナン・マドール遺跡
ナン・マドール遺跡

イースター島のモアイのような巨石文明遺跡が、ミクロネシアにもあります。それがポンペイ島にあるナン・マドール遺跡。ナン・マドールとは「天と地の間」という意味で、6世紀から16世紀までのおよそ1000年をかけて建造されたものとみられています。何トンもあるような巨大な石をどうやって人々が運んできたのか、今でも謎に包まれています。

海底博物館でのダイビング

チューク州の海は「海底博物館」と呼ばれるほどダイビングの人気スポットとして有名です。海底には戦艦や戦闘機、貨物船などが沈んでいて、それらをダイビングで見て回るのが定番です。チューク州の海に沈む船の中には、日本海軍の特設潜水母艦で米軍の攻撃によって海底へ沈んだ「平安丸」もあります。

アンツ環礁(ポンペイ島)

アンツ環礁はポンペイ島にある岩礁で、白い砂浜と透明度の高い海が広がる場所。その美しさは、ミクロネシア一ともいわれています。カラフルな熱帯魚と一緒にシュノーケリングを楽しんだり、ダイビングに行ったりしてもいいでしょう。

メンケ遺跡(コスラエ島)

コスラエ島のジャングルを進んでいった先の、島中部にあるのがメンケ遺跡。ジャングルの中に石が積み上げられた‟祈りの場“が100か所以上ある、不思議な遺跡です。他の遺跡のように王朝の跡がなく、祈りの場が何のために作られどのように使われていたかは謎のままです。

ミクロネシアの特徴・有名なもの

ミクロネシアは日本ともつながりのある国です。そんなミクロネシアの特徴を見てみましょう。

虹が多いレインボーネシア

ミクロネシアの別名は「レインボーネシア」。これはミクロネシアは海洋性熱帯気候で、世界的に見ても雨が多い地域であり、頻繁に虹が見られるから。しかも虹が2重になったり、運がよければ3重や4重の虹になったりする可能性もあるのだそうです。

日系人の割合が世界で一番多い

ミクロネシアは第一次世界大戦中の1914年に日本軍が占領してから、約30年もの間、日本の統治下にありました。そのため高齢者の中には日本語教育を受けた人がいたり、現地でも日本語を由来とする言葉が残っていたりします。日本の血をひいた人はミクロネシアの5人に1人ほどいて、日系人の割合は世界でもトップクラスといわれています。

日本とつながりのある国ミクロネシア

ミクロネシアは日本との関係が深く、かつての統治時代の影響が今も残っています。日本から比較的近く、時差も少ないミクロネシアは、気軽に訪れることができる海外旅行先のひとつです。豊かな自然や歴史的な遺産、そして日系人とのつながりを感じながら、訪れる人々に新しい発見や感動をもたらしてくれるでしょう。次の旅行先として、ミクロネシアをその候補にしてみるのもおすすめです。

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文・構成/HugKum編集部

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