【小児科医監修】子どもの副鼻腔炎(蓄膿症)はどんな病気?気になる症状・原因・治療法や注意点を詳しく解説。

お子さんが、鼻汁や青鼻が出ている状態が長く続いているなら、一度、副鼻腔炎の可能性を考えてみてもいいかもしれません。今回は、子どもの副鼻腔炎の症状や治療法、注意点などを、北浜こどもクリニック院長・北浜直先生に教えていただきました。

子どもの副鼻腔炎(蓄膿症)とは?

副鼻腔炎(ふくびくうえん)とは、副鼻腔の粘膜が炎症を起こし、膿をどんどんつくってしまう状態のことです。副鼻腔炎には、急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎があります。急性副鼻腔炎の場合は、30日未満で治まるもの、慢性副鼻腔炎は「蓄膿症(ちくのうしょう)」とも呼ばれ、90日以上続くものと定義されています。また、慢性副鼻腔炎には、好酸球性副鼻腔炎というのもあります。
子どもの副鼻腔炎は、風邪をひいた結果、急性副鼻腔炎になることが多くみられます。

子どもの副鼻腔炎の特徴

そもそも副鼻腔とは、頰、両目の間、額の下の骨の中にあり、空洞になっている部分で、粘膜でおおわれています。そこと、それぞれの鼻の中がつながっています。副鼻腔炎は、その副鼻腔が炎症を起こす病気です。特徴としては、黄色や緑色のどろりとした鼻汁(びじゅう)が出ます。

子どもの副鼻腔炎の原因

副鼻腔炎の原因は、ウイルス感染や細菌が原因で起こると言われています。また、慢性副鼻腔炎のひとつ、好酸球性副鼻腔炎は、アレルギーが原因とされています。

子どもの副鼻腔炎は治らない?

子どもの副鼻腔炎は、成長過程で自然に治るということもあります。しかし、蓄膿がひどい、鼻茸がある、アレルギー性鼻炎がひどい場合は、治りにくいことも。

子どもの副鼻腔炎の体験談

0~12歳のお子さんがいるママやパパに、子供の副鼻腔炎についてアンケート。体験談を教えていただきました。

「花粉症がひどくなって副鼻腔炎を発症したことがある。なかなか鼻炎が治らず悪化した模様。しばらく耳鼻科で治療した。それからは鼻炎がひどくならないうちに早めに耳鼻科に行くようにしている。」(40代・愛知県・子ども1人)
「保育園でもらった風邪が長引いてなった」(30代・広島県・子ども1人)
「症状はあまり無かったが、耳鼻科で蓄膿症と言われた」(40代・神奈川県・子ども3人)

子どもの副鼻腔炎(蓄膿症)の症状

副鼻腔炎の症状は、どろりとした鼻汁が出るだけではありません。そのほかにどのような症状が出るのか、お教えします。

副鼻腔炎2
副鼻腔炎(蓄膿症)の症状とは?

鼻汁が出る

最初は、水っぽいさらさらとした鼻汁ですが、副鼻腔に分泌物や膿がたまると、ねばっこくて、黄色や緑色などの色のついた鼻汁がたくさん出ます。

鼻が詰まる

ウイルスに感染して粘膜が腫れたり、鼻汁が貯留することにより、鼻腔とつながっている穴がふさがれて、鼻づまりを起こします。鼻が詰まることで、匂いがわかりにくくなることもあります。

熱が出る

副鼻腔内に細菌が感染すると発熱し、37〜38℃の高熱が出ることもあります。

頭痛がする

頭がぼーっとしたり、頭痛を伴う場合もあります。また、痛いのは頭だけでなく、頰の奥に痛みが出ることもあります。

咳が出る・止まらない

後鼻漏(ごびろう)といって寝てるときなどに膿が喉に落ち、咳やゼロゼロする(痰がからんだような咳)原因となります。この症状は、喘息と見間違われることもあります。

目やにが出る

副鼻腔炎による鼻粘膜の腫れがおきると、涙の回収が不十分になってしまいます。そうすると、涙目や目やにの症状が出ます。

口臭がする

鼻汁が悪臭を放ち、それが口臭の原因となることもあります。

顔が腫れる

合併症で蜂窩織炎(ほうかしきえん)になると、頬や目が腫れることがあります。

子どもの副鼻腔炎(蓄膿症)の治療法

一般的な薬でもよくならない場合は、以下のような治療法があります。

抗生物質で治療する

慢性副鼻腔炎の場合は、マクロライド系の抗生物質を用いて治療することもあります。この抗生物質には、副鼻腔の炎症をやわらげ、鼻汁や痰を抑えるのに効果があります。

鼻の吸引や洗浄

鼻汁を吸引したり、炎症が起こっている鼻腔を洗浄して膿を取り除き、細菌量を減らします。

ネブライザー

ネブライザーは、薬を細かい霧状にして噴射する装置です。ノズルを鼻に入れて薬を吸入します。この治療法は、薬が直接炎症を起こしている部分に届くのが特徴です。また、内服薬にくらべて薬の量が少なく済みます。そのため、副作用が少ないのもメリットです。

鼻茸を切除する

「鼻茸(はなたけ)」と呼ばれる鼻の中にポリープがある場合は、手術でその部分を切除します。これは、内視鏡を使って行うので、痛みも出血も少なく、患者への負担が少ない手術です。手術の内容は、鼻茸の切除に加え、炎症によって閉じてしまった副鼻腔と鼻腔を広く開通させます。また、膿や腫れた粘膜を取り除く処置も行われます。

どのタイミングで小児科を受診する?

鼻汁や鼻づまりがあり、よくなる気配がない場合は、なるべく早めに小児科や耳鼻咽喉科で受診するようにしましょう。

副鼻腔炎(蓄膿症)の注意点

副鼻腔炎になったとき、してはいけないこと、気を付けるべきことをご紹介します。

プールは控えめに

膿のような黄色い鼻汁が出ているのであれば、プールに入るのはあまり好ましくはありません。プールの消毒液が鼻やのどの粘膜を傷めてしまう場合もあるので、控えめにしておいたほうが無難です。

風邪をひかないように

風邪をひかないようにすることも大切です。風邪をひくことで、副鼻腔炎を繰り返してしまいます。もし、風邪をひいてしまったら、こまめに鼻をかむようにしましょう。このとき、片方づつ、ゆっくり、やさしく鼻をかみます。強くかむと中耳炎になることがあるので、注意してください。

中耳炎に注意

副鼻腔炎になると、中耳炎が起きやすくなることも。これは、鼻やのどについた菌、ウィルスが耳菅を通って中耳に入ってしまうためです。色のついた鼻汁が出ていたら、中耳炎にも気をつけてください。

長引く鼻水・鼻づまりは病院へ

子どもの副鼻腔炎は、早期発見、治療により、治りやすくなります。この記事に書いてあるような症状がお子さんに認められた場合、すぐに病院へかかりましょう。

記事監修

北浜 直|小児科医

神奈川県川崎市・北浜こどもクリニック院長。
1976年生まれ、埼玉県出身。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。2006年からは山王病院の新生児科医長務める。2010年に北浜こどもクリニックを開院。2012年医療法人社団ペルセウス設立。The Japan Times誌の「アジアのリーダー100人」に、2015年から3年連続選出されている


文・構成/HugKum編集部

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