産業廃棄物などからなる「ハザイ」で寿司をつくるアート体験! クリエイティブユニットPalab(パラボ)のインスタレ―ションをご紹介

クリエイティブユニットPalab(パラボ)が主宰する、「回転ハザイ寿司」は、様々な素材の「端材・ハザイ」を選んで寿司を作り、回転レーンに乗せて作品を楽しむ、参加者の数だけアート作品ができる体験型のインスタレーション。お子さんはもちろん、大人も夢中になれるアート体験をご紹介!

「ハザイ」からつくる回転寿司

回転寿司レーンを流れる「ハザイ」から作ったお寿司。

現在、渋谷ヒカリエで行われている「回転ハザイ寿司 ハザイで握り、回転させる体験型インスタレーションConveyor belt HAZAI SUSHI」SHIBUYA WANDERING CRAFT 2024」。「ハザイ」とは、工場などから出る、捨てられるはずの端材(ハザイ)のこと。

参加者自身が、シャリに見立てたスポンジと組み合わせることでお寿司を創作し、回転レールに流すことで、作品となります。自分の作品がアートとなるユニークなアートイベントです。

サンプルとして展示されている「ハザイ」を使ったお寿司。

主催はPalab(パラボ)

「ハザイの回転寿司屋」を主催するPalab(パラボ)共同代表の中里洋介さん。

この「回転ハザイ寿司」を主催しているのがPalab(パラボ)の山野恭稔さんと中里洋介さん。

意図せず偶発的に生まれた端材を集め、それらを「同時並行世界(parallel)の素材」と仮定し、そこから見えてきた世界を描き出す研究所のようなクリエイティブユニットです。

今回の「回転ハザイ寿司」も「ハザイ」の魅力と参加者の想像力がコラボし、新しい価値が生まれる体験型インスタレーションとなっています。

実際にお寿司づくりを体験してみました!

江東区の工場を中心に集められた「ハザイ」が並びます。

メインの展示は会場の入り口のお寿司ではありません。そちらは、あくまでもサンプルでメインは参加者が「ハザイ」を使って作るお寿司。筆者も娘と一緒に体験してみました。

奥の暖簾をくぐると、作業場所にはずらりと「ハザイ」が並び、親子で一気にテンションが上がります。

先に受付でシャリとなるスポンジと入れ物の木箱を受け取り、その上にネタの「ハザイ」をくっつけていきます。

*入場は無料、「ハザイの回転寿司」作りは有料となります。

ハザイのネタはどこから?

様々な形や感触の素材を触って、五感で楽しむことができます。こちらは「ウニ」のネタになりました。

捨てられる「ハザイ」といってもただ「ゴミ」を並べて集めているわけではありません。

江東区内の工場は、紙やゴム、皮や金属などの様々な素材を扱っています。Palabの山野さんと中里さんは、それらの工場を巡り、新鮮な「ハザイ」を収集。なるべく元の形状を保ちながら加工しやすいサイズに揃えていくそうです。

だからこそ、捨てられるはずだった「ハザイ」は素材として復活し、とても魅力的に見えるのでしょう。より、想像力をかき立てられるようで、参加者の方は夢中で「ハザイ」を選んでいました。

「ハザイ」から寿司を作る

次は、集めた「ハザイ」から寿司を作っていきます。ボンドやハサミなど必要な道具は全て揃っているので手ぶらで大丈夫。シャリに見立てたスポンジにネタの「ハザイ」をのせて接着します。

「ハザイのお寿司」が完成!

「ハザイ」から作ったお寿司。右からウニ、イカ、マグロ。

ウニ、イカ、トロができました!

特にイカは透明なビニールのブックカバーを切り取り、ハサミで包丁のスジを入れ、その下にイカの感触が出るように白いゴム状のノリの塊を挟さんだ自慢の一品です。

大人も夢中の「ハザイのお寿司」作り

全く食べ物とは関係のない素材が本当に食材のように見えてきて、とても不思議な体験。会場でも、お子さん以上に保護者の方が夢中になっていました。

Palabの中里さんも、特に子供向けだけに企画しているわけではなく、子供を含め、幅広い年齢の人のクリエイティブな発想を刺激できれば嬉しいと話していました。

つくったお寿司をレーンに乗せて作品の一部にできる

「ハザイ」から作ったお寿司にネタの名前を書いたカードを添えて、レーンにのせます。

最後に、回転寿司レーンに戻り、カードに寿司のネタの名前を書き、「ハザイのお寿司」をお皿にのせて、作品に加えます。寿司カウンターや椅子などは全てPalabの手作りだそう。

参加者が「ハザイ」から作ったお寿司が流れる「ハザイの回転寿司屋」のインスタレーション。

ビデオカメラも設置されて、自分が作った「ハザイのお寿司」がスクリーンに映し出されます。

寿司カウンターに座って、他の人の作品も見ることができて、体験型のインスタレーションの醍醐味を味わえました!

我が家のお寿司のように「ハザイ」とそっくりなお寿司を作る人もいれば、全く別物のお寿司を創る人もいて、とても興味深かったです。

「ハザイ」の原点は面白い!

作った「ハザイのお寿司」は回転寿司レーンに作品として残すか、木箱に入れて持ち帰ることもできます。

捨てられるはずの「ハザイ」を利用し、アート作品を作る体験を通して、ものを大切にしたり、資源の問題に対して意識が高まるとも感じました。

とはいえ、Palabの中里さん自身は、アップサイクルやSDGsなどはあまり意識してはいないとのこと。

「そういった小難しい大義名分があると、堅苦しくなってしまい、結局は面白く無くなってしまう。面白くないと続かないし、本末転倒になってしまう」と話していたのが印象的でした。

「ハザイは面白い!」というのが原点で、それが続いていけば良いだけのことと話してくれました。

9月末からは「日本科学未来館」で開催

会場の入り口にある「ハザイのお寿司」

筆者の体験した渋谷ヒカリエの展示は9月1日までですが、同じ展示が、 9月28日から10月6日の週末(土・日)の4日間、江東区の「日本科学未来館」にて開催予定です。

主催者自身が楽しんでいるからこそ、「ハザイは面白い」の和が広がり、ものを大切に思ったり、再利用の意識などが自然に広がっていくのが、素晴らしい活動だと感じました。楽しみながら、ものに対する意識を変える「回転ハザイ寿司」をぜひ、体験してみてください!

「回転ハザイ寿司 ハザイで握り、回転させる体験型インスタレーションConveyor belt HAZAI SUSHI」SHIBUYA WANDERING CRAFT 2024」

  • 期間:2024年8月24日(土)- 2024年9月 1日(日)(11:00 – 20:00)*最終日は17:00まで 
  •    ※ネタがなくなり次第終了
  • 場所:8/CUBE 1, 2, 3 
  • 料金 :入場無料 ※体験有料 (800円〜2000円・サイズによる)
  • 主催: Palab(パラボ)山野恭稔/中里洋介

「回転ハザイ寿司・日本科学未来館」

  • 期間: 9/28(土)、29(日)、10/5(土)、10/6(日)
  • 場所 : 日本科学未来館 (Miraikan) 7F
  • 体験価格 : 500円

>>>Palabのインスタグラムはこちらから

 

取材・文/Rina Ota

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