発達がゆっくりな娘。姉たちと同じ私立小学校に入学させたいのですが、専門医からは支援学校をすすめられて…【愛子先生の子育てお悩み相談室】

子育ては日々悩みの連続ですね。保育者歴半世紀あまり。常に子どもに寄り添い、ママたちからの信頼も厚い自主幼稚園「りんごの木」の柴田愛子さんが、豊富な経験を元に、悩めるお母さんにアドバイス。

発達がゆっくりな娘。姉たちと同じ私立小学校に通わせたいのですが…

58ヶ月の娘は、発達に遅れがあり、知能テストでは3歳程度という診断を受けました。「年少児」ということになりますが、私から見ると、おしゃべりの内容や発音などが未熟でそのレベルには達していないと思います。滑舌良く話せないので、言ったことが相手に伝わりません。家族や幼稚園の担任など身近な大人は.娘の発した音を聞き取り、なんとなく大体のことはわかるようになっているという感じです。

2人の姉が自由な教育の私立の小学校に通っており、障害児も受け入れているので、この子もその小学校への就学を考えていました。しかし、発達クリニックの医師は、娘みたいなタイプは支援学校の方が、個別にできる喜びが増えて自信になると言うのです。また、暴れたり、立ち歩いたりというような感情のコントロールが効かないタイプではないので、普通級に入ると、静かに座っていられるため、わかっていないことを見過ごされてしまうことになりかねない。数も数えられなく計算もできないと、将来的に社会生活に支障がでる。親としてできることを増やしてやれる環境を与えることが大事ではないかとも言われてしまいました。

娘は、歩き始めは2歳6か月と遅かったのですが、今はよく走り、サッカーも好きな活発な子です。幼稚園でも、先生の指示が理解できなかった時は、友達に聞いたり、みんなの行動をみて真似してやってみたりと、遅れをとりながらも、さほど困ることはないようです。この子なりに成長しているので23学年遅い成長なんだと思っているのですが。愛子先生は、娘みたいなタイプの子どもには就学についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。

一番大事なのは、本人の気持ち。愛されている自信があれば、どんな子も自己肯定感の高い子に育つことができます

あなたの迷われる気持ちはすごくわかります。我が子のことだけに尚更迷われる。遅れているからこそ、親の対応で左右するのではないかと責任も感じる。だけど、私は、答えは、そのお子さんにあると思います。

 「支援級の方ができる喜びが増えて自信になると言われました」とありますが、今、できない事で本人は劣等感を感じていますか?幼稚園では、わからない時は、先生や友達に聞いたりできるのですよね。お子さんには、困ったときに表現し、助けを求める力があります。

机上の勉強は、その後の生きる力になっていくとお思いですか? 生活の中で獲得していくものが多くあります。社会生活をしていく上で必要な生活指数は、上がっていきます。わからないことを、本人がわかりたいと思っていないことを、強要して納得するのは大人です。

今、お子さんがお姉ちゃんたちと一緒の学校に行くと信じているのなら、先生が迎えようとしてくれているのならそれで、いいのではないでしょうか?

どの子に対してでもそうですが、先を予測して転ばぬ先の杖を用意することを私はいいと思っていません。転んだときに手をさしのべれば、本人が立ち上がります。なので、今後、お子さんが辛そうだったり、もっとわかりたいと思っている様子が見られてからでも遅くないと思います。

お子さんの専門家は親。尊重すべきは本人の気持ち

一番大事なのは周りから愛されていることです。困ったときに気づいてくれる人がいること。困ったときに「困った」と言えること。それが社会に出て行ったときに一番大事なことではないですか?私はどんなに障害があろうと自己肯定感の高い子に育つことができると思っています。愛されている自信に勝るものはありません。

家族で手を掛けて育てていけばいいじゃないですか。できなかったことが出来るようになったとき、誉めればいいじゃないですか。まだ、年少さんレベルなら発展途上です。可能性は無限です!

クリニックには「きょうだいみんなと同じ学校に行きたいと思っているようなので」くらいに伝えたらいかがですか?専門家は専門分野のベストを尽くそうと思います。当たり前ですけどね。でも、お子さんの専門家は親です。そして、尊重すべきは本人の気持ちです。

 

記事監修

柴田愛子|保育者・自主幼稚園りんごの木代表

保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて半世紀。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。親向けの最新刊に『保育歴50年!愛子さんの子育てお悩み相談室』(小学館)がある。

構成/Hugkum編集部 イラスト/海谷泰水

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