さわやかな香りと、鮮やかな緑が特徴のバジルは、イタリア料理やアジア料理のアクセントに欠かせない身近なハーブのひとつですよね。旬は夏。家庭菜園の一つとして、プランターで春から出回りますが、夏まで収穫せずにいると、花が咲き葉が堅くなってしまうので、花が咲く前にどんどん先端の葉を摘んでいきましょう(摘心)。
目次
バジルは用途に合わせた保存方法を
摘んだバジルは、葉がすぐに黒く変色してきます。そこで、フレッシュで使いたい時の保存は、常温・冷蔵・冷凍の方法で紹介します。長期で楽しみたい時は、乾燥バジル・塩漬けバジル・オイル漬けバジルなどの保存方法を紹介します。
バジルの常温保存は水につける
バジルをすぐに料理に使わないときは、少量の水を入れたグラスなどに立てておきましょう。元気がなくなってきていたバジルにも効果的。葉にピンと張りが戻り、復活します。この方法なら常温でも2~3日は元気。
常温保存の注意点
※バジルは水切りし、お水は毎日変えてください。
※バジルは、日本の大葉の仲間。大葉同様、水に葉が触れていると黒く変色してしまうので、茎だけが水に浸かるようにしましょう。
バジルを冷蔵保存するときは乾燥させないこと
バジルは乾燥とともに香りが失わていきます。また、寒さにも弱く、直接冷気が当たると黒ずんでくるので、必ず密閉してください。
冷蔵庫で保存のやり方
葉だけを摘んだ状態でも、茎についたままでも大丈夫。
①水洗いをし、水分をよく拭きと取ります。
②湿ったキッチンペーパーで包みます。
③ ジッパー付きの保存袋などに入れて、空気を抜いて冷蔵庫の野菜室に入れます。
保存期間
この状態で1週間ほど日持ちします。
使い切れないバジルは冷凍保存に
使い切れそうにないバジルがある場合は、冷凍保存もできます。冷凍すると、葉の色も香りも少し弱くなってしまいますが、手軽に保存できるのでおすすめです。
冷凍保存のやり方
葉だけを保存します。葉は、刻んだ状態で冷凍してもOK。
①摘み取った葉を洗って、キッチンペーパーなどで水分をよく拭きとります。
②ジッパー付きの保存袋などに入れて、空気を抜いて冷凍します。
解凍方法
お料理に使う時は、凍ったまま必要な分だけ取り出して、使いましょう。解凍すると色が変わってしまうため、飾りに添えるなどは不向き。煮込み料理や炒め物などにするのが良いでしょう。
ただし、凍ったバジルを揉むと粉々に砕けるので、粉末のトッピングとしてパスタやピザなどに、お料理の風味づけとして利用できます。
保存期限
この状態で、保存目安は約1カ月。
香り長持ち! バジルを乾燥させて保存する方法
香りを長く楽しみたいなら、乾燥させて保存する方法もあります。ドライバジルの香りは、フレッシュバジルとは一味違いますが、とても良い香りです。
天日干しは、晴天が続くときを見計らって作業しなければならないので、ドライバジルを作るときは、電子レンジで作るやり方がおすすめ! 電子レンジなら簡単に乾燥バジルが作れますよ。
乾燥バジルの作り方
①洗ったバジルは水分を拭き取り、耐熱皿にキッチンペーパーを敷き、その上にバジルの葉を重ならないように並べます。
②600wの電子レンジで、1分~1分半加熱します。乾燥しすぎると、鮮やかな色がなくなってしまうので、様子を見ながら時間を加減してください。
もし、茶色くなっても香りはしっかり残っているので、大丈夫です!
乾燥バジルは粉末にすると、使いやすい!
乾燥バジルは、すり鉢ですりつぶして粉末状にしたあと、密封できる瓶などで保存すると使いやすくなります。フードプロセッサーやミルでも粉末状にできますが、粉末になり過ぎてしまうので、すり鉢がおすすめ。バジルのリーフ感が楽しめます。
バジルを漬けて保存するやり方
プランターで大量にバジルが収穫できた場合は、「塩漬けバジル」や「オイル漬けバジル」を作ってみるのも良いでしょう。お料理の幅がさらに広がるうえ、冬でも香り高いバジルが楽しめます。
【1】塩漬けのやり方
①バジル30gを洗って、よく水分を拭き取っておきます。
②100gの塩(粗塩がおすすめ)を用意し、保存容器の底にまず塩→続いてバジル→塩→バジルと重ねていき、フタをして冷蔵庫へ。2日~1週間ほどで塩にバジルの香りが移り、完成。
塩バジルの使い方
とっても簡単! 塩をはたいて使います。ピザなどのトッピングや塩バジルをお肉で巻いて焼いても◎。塩分が気になる場合は、「塩抜き(※)」をしてから、料理に使っても良いでしょう。
※塩抜き方法…熱湯の中に塩漬けバジルを入れ、数秒ですぐにザルにあけ、流水で軽くかき混ぜながら冷ませばOK。味見をしてまだ塩辛いときは、少し長めに水を流して調節してください。
バジルソルトとしても、万能調味料に
塩にも、しっかりバジルの香りが移っているので、「バジルソルト」としてお料理に活用できます。肉、魚、野菜などに一振りするだけで、おしゃれな味に変身。
保存期間
半年~約1年。状態が良ければ、翌年のバジルのシーズンまで楽しめます。
【2】オイル漬けのやり方
①洗ったバジルは、水分をよく拭きとってから、清潔な容器に入れます。
②バジルがしっかり浸かるまでオリーブオイル(エクストラバージン)を注ぎます。お好みで、にんにくや、唐辛子などを入れても良いでしょう。
③フタをして常温保存で、約1週間で香りが移ります。その後は腐敗するのを防ぐため、漬けたバジルを取り出します。取り出したバジルは細かく刻んでパスタやサラダなどに活用可能。
バジルを使ったおすすめレシピ
フレッシュで香りを楽しむイメージがありますが、バジルは油で熱することにより栄養素の吸収率がアップするので、お料理にも活用してみてください。香りを楽しむなら、仕上げの直前に入れましょう。
【1】ハーブディップ
焼き野菜にたっぷりつけて!イタリアン風味が◎。
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
バジル 15枚(大葉や赤じそでも可)
おろしにんにく 1片分
白ワインビネガー(または酢) 小さじ1
オリーブオイル 大さじ3
塩 小さじ1/4(またはアンチョビフィレ 5枚)
こしょう 少々
◆作り方
【1】すべての材料をフードプロセッサーに入れ、よく混ぜる。または、包丁でバジルをみじん切りにし、すべての材料をよく混ぜる。
教えてくれたのは
小山有希さん
料理研究家。元日本料理屋の両親、蕎麦屋の祖父母、元和菓子屋経営の義祖父母を持つ、食業界のサラブレッド。おいしく食べて健康に近づける「医食同源」をモットーとしたレシピに定評がある。1男1女の母。
『めばえ』2016年7月号
【2】生ハムの花のピンチョス
お花畑みたいなオードブル。生ハムの塩気にきゅうりがよく合う。
◆材料
(8個分)
生ハム 8枚
きゅうり 2/3本
マヨネーズ 適量
バジルの葉 小8枚
◆作り方
【1】生ハムは横3等分に切った3切れを横一列に少しずつ重なるように並べ、くるくると巻いて花を作る。
【2】きゅうりはピーラーで縦に縞目に皮をむき、1.5cm幅に切る。
【3】きゅうりの切り口(上側)にマヨネーズを絞り、バジル、【1】をのせる。
教えてくれたのは
市瀬悦子さん
フードコーディネーター。料理研究家。「おいしくて作りやすい家庭料理」をテーマに、書籍、雑誌、テレビ、企業のメニュー開発など、幅広く活躍。NHK(Eテレ)の食育番組では、子ども向け料理を提案し、定評がある。
『めばえ』2017年12月号
文/斉藤和美(フードコーディネーター)、構成/HugKum編集部