知ってますか?本当の「子どもの味覚」の育て方【人気幼児食のお弁当「子どもの食卓」に聞く“笑顔ごはん”のヒント1】

「子どもの食卓」は、完全無添加、こだわり抜いた旬の食材とできる限り調味料を使わずに仕上げた幼児食のお弁当を作っています。一日100食限定のお弁当は、毎日即完売と大人気。代表の権 寛子さんは、自身の子どもの食事で悩んだ経験をもとに「子どもが笑顔で食べられる食事」を追求してきました。試行錯誤の末、見えた答えはとてもシンプル。毎日の子どもの食事で悩むお母さんに寄り添う、目からウロコのヒントを教えてもらいました。

子どもは大人の約2倍の「味覚」をもっています

私は、食とはまったく無縁の、金融関係の会社で働く会社員でした。食事に興味を持ったのは、はじめての子どもが生まれてからです。そこからスイッチが入って「子どもの体にいい食事」を意識して、一生懸命に栄養学を勉強しました。でも、どんなに一生懸命料理を作っても、子どもはなかなか食べてくれない。当時は「こんなにあなたのためを思って作っているのに、どうして?」と悩んでいました。

家では絶対にんじんを食べなかった娘が、蒸しただけのをパクッ

ある日、現在「子どもの食卓」のお弁当監修をしている、うすいの料理を食べる機会がありました。テーブルにほくほくと蒸されたにんじんがあったのですが、家では絶対ににんじんを食べなかった娘が、ひとりで半分もぺろっと食べてしまったのです。本当に驚きました! そこで私もひと口食べてみたら、味付けはほとんどしていなかったのに、ほんのり甘くてしみじみ美味しかったんですね。そのときです。「子どもにとっての“おいしい”って、大人の“おいしい”と違うんだ!」と気がつきました。

大人が「おいしい」と感じるものは、味覚ではなく「視覚」による効果も大きく影響するそうです。色が鮮やかで盛り付けが華やかで……いわゆる“インスタ映え”する料理ですね。それに対して、子どもは大人の約2倍の味覚を持つと言われ、3歳くらいまでの子どもなら「味覚」だけで「おいしい」を感知できるそうです。ですから、「甘味・塩味・旨味・酸味・苦味」の5味をたくさん経験することが大切だと思います。

食材の味を引き出してくれるのは、「蒸しただけ」「ゆでただけ」などシンプル調理

それまでの私は、野菜は細かく刻んでハンバーグや餃子にいれたり、食べやすいようにと砂糖で味をつけたり、薄味にするために大人より調味料の量を減らしたり……といった方法で料理を作っていました。でも、「蒸しただけ」「ゆでただけ」のような、びっくりするほどシンプルな料理が、実は食材の味をいちばん引き出してくれるのです。そして、子どもは素材そのもののうまみを味わえるんですね。

疲れたら、おにぎりとお味噌汁でいい。親子で笑顔で食べるのがいちばん

これは当時の自分にも伝えたいことなのですが(笑)、子どもの食事を、難しく考えることはないのです。「こうあるべき」「こうでなくてはいけない」というものが多いと、お母さんもへとへとになってしまいますよね。

大切なのは、お母さんも子どもも笑顔でいっしょに食べることだと思います。疲れたら、おにぎりと、サイコロ状に切った野菜をいれたお味噌汁でもじゅうぶん。野菜のうま味はもちろん、味噌のたんぱく質も補完できます。いりこで出汁をとればカルシウムも摂れますね。味噌は発酵食品なので、胃腸にもいい影響を与えてくれます。

素材の味だけで「おいしい」がわかる子ども時代に、本当の「味」を教えたい

最近の子どもたちの食生活を見ていると、「あまじょっぱい」食事に慣れ過ぎているように感じるんです。過剰な塩分や糖分で、高校生の生活習慣病が話題になるなど、「甘くて、しょっぱくて、やわらかい」現在の食スタイルの弊害が気になりますね。

素材の味だけで「おいしい」がわかる子ども時代。この繊細さを、たくさんの食材で経験して、磨いてあげたいものです。調味料でごまかさない、本当の「味」がわかるって、素晴らしいことですよね。

子どもの食卓

無添加で旬の素材を活かした幼児食のお弁当を提供している。利用者の強い要望に応えて、保育園や幼稚園の給食の監修も手がけている。無添加のため、時節柄、現在はお弁当の提供を一時休止して、冷凍食品を開発中。取り扱い店舗はFBとインスタグラムで案内。20食以上注文すれば都内23区内ならば配達してくれる。

 

お話をうかがったのは…

権 寛子さん(「子どもの食卓株式会社」代表)

自然栽培・オーガニックの野菜や旬の素材を中心に、無添加の幼児食のお弁当を販売(夏期間はお休み)。現在、よりたくさんの親子に届ける「冷凍お惣菜」の準備に大忙し。ワークショップなどを開催し、ママたちに子どもの食事の大切さを伝える活動も行う。3歳と1歳の子どものママ。

取材・構成/三宅智佳

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