「退っ引きならない」ってどう読むの? どんな状態? 使い方・類語・対義・英語表現までを解説

ピンチの時に使われる『退っ引きならない』という言葉。 この記事では『退っ引きならない』の読み方や意味から、語源、類語、対義語、英語表現までをご紹介します。

「退っ引きならない」とは?

読み方と意味

まずは読み方と意味を確認しておきましょう。この言葉は『退っ引きならない』と書いて「のっぴきならない」と読みます。避けることもしりぞく(引く)こともできず、身動きがとれない様子を表すことばです。

「退っ引きならない」の由来・語源

『退っ引きならない』は「退く(のく)」と「引く」を合わせた「退き引き(のきひき)ならない」という言葉が語源になっています。「退く」も、「引く」も、逃れること、よけることを意味する表現。両方をまとめて、どうにもならないことを示します。

追い詰められて、前に進むことも後ろに退くこともできないような進退窮まった状態を意味します。

自分ではどうしようもないことにも使われる

『退っ引きならない』は、自分の意志や能力では避けられない事態・状況に直面している場合にも使います。

例えば自然災害や病気、法律による制約など、個人の力ではどうにもならない状況、また、日常生活においても冠婚葬祭や行事、家族との約束や期限など、避けられない事柄に対して使われることもあります。

使い方を例文でチェック!

では、『退っ引きならない』の使い方を例文でチェックしていきましょう。

1:退っ引きならない用事があるので、欠席します。

どうにか調整しようと頑張ったけれど、どうしても変更できない用事には「退っ引きならない」を使います。

2:予想外の円安で、事業が退っ引きならない状態に陥った。

企業努力だけではどうしようもない経済情勢を表す際にも、「退っ引きならない」が使えます。

3:不用意な発言で, 大臣は退っ引きならない立場に追い込まれた。

発言を撤回しても謝罪してもその地位が危ぶまれる状態は、まさに「退っ引きならない」立場と言えるでしょう。

類語や言い換え表現は?

では、『退っ引きならない』を別の言葉で言い換えたい場合、どのような表現を使うことができるのでしょう。『退っ引きならない』に似た表現を探してみました。

1:進退窮まる(しんたいきわまる)

どうすることもできない窮地に追いつめられる意味の「進退窮まる」。前にも後ろにも進めないお手上げ状態を表す言葉として「退っ引きならない」の意味を説明するときによく使われます。

2:抜き差しならない(ぬきさしならない)

「抜き差し」は、鞘から刀を抜き出すことと、さやに戻し入れること。どちらもできないほど緊迫した様子を表す「抜き差しならない」は『退っ引きならない』と同様、身動きができない様子を表しています。

3:にっちもさっちも行かない

物事が行き詰まり、身動きのとれないさまを表す「にっちもさっちも行かない」。こちらも『退っ引きならない』と似た言葉と言えます。

4:前門の虎、後門の狼(ぜんもんのとら、こうもんのおおかみ)

前には虎、後ろは狼に挟まれ、身動きが取れない様子は1つの災いを逃れても、また別の災いにあうたとえ。『退っ引きならない』と同じく、自由な動きができない状態と言えるでしょう。

5:やむを得ない

他にどうすることもできない仕方がない、あきらめるしかない、といった意味の「やむを得ない」。『退っ引きならない』と同じく、自分の意志や能力ではどうにもできない状況を表す際によく使われる言葉です。

対義語は?

『退っ引きならない』の反対の意味を表す言葉にはどんなものがあるのか考えてみました。対になる対義語は存在しないため、語のニュアンスから逆の意味になりそうな言葉を集めました。

1:縦横無尽(じゅうおうむじん)

どの方面にも妨げられることなく、自由に物事を行う様子の「縦横無尽」。身動きが取れない『退っ引きならない』の反対の意味と言えるのではないでしょうか。

2:思う存分(おもうぞんぶん)

満足がいくまで、思いきり、という意味の「思う存分」。追いつめられて動けない状態の『退っ引きならない』と逆の状態と言えます。

3:悠悠自適(ゆうゆうじてき)

世間のことに煩わされず、のんびりと自分の思いのままに暮らすことを表す「悠悠自適」。さまざまな要因で自由にできない『退っ引きならない』とは反対の言葉と言えそうです。

4:選り取り見取り(よりどりみどり)

好き勝手に選べ、豊富な選択肢がある様子を表す「選り取り見取り」。自分ではどうすることもできない状態の『退っ引きならない』の反対の言葉として挙げられるのではないでしょうか。

英語表現は?

では、『退っ引きならない』は英語ではどのように言い表すことができるのでしょうか。最後に『退っ引きならない』の英語表現をご紹介します。

1: be unavoidable

「避けられない、逃れられない、やむを得ない」という意味の”unavoidable”という単語。現在形のbeをプラスすることで、『退っ引きならない』状態に近い表現と言えそうです。

2:Stuck between a rock and a hard place

直訳すると「岩と硬い場所の間で立ち往生する」。まさに『退っ引きならない』状況を表す表現です。

3:be boxed in

「箱の中に閉じ込められたかのように」という表現。身動きが取れない様子を表す言い回しです。『退っ引きならない』の英語表現と言えそうです。

4:A compelling reason

”compelling”は、「どうしようもない、強制的な、抵抗し難い」という形容詞。A compelling reasonは「抵抗し難い理由」となり、『退っ引きならない』と同じく、自分の意志では避けられない様子を表している言葉です。

「退っ引きならない」の意味と由来を知って、使ってみましょう。

身動きが取れない様子を表す『退っ引きならない』。時と場合によって、うまく使ってみてください。

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構成・文/kidamaiko

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