著書・監修書累計300万部超えの脳科学者が伝授!! やる気にさせる! 成績が上がる! 10歳からの勉強法

「毎日の宿題。やらなきゃ!と思うけど、やる気が出ない」「得意科目はあっという間に時間がたつのに、苦手科目は長く感じる」それは脳が働いているか、いないかの違いです──著書・監修書累計300万部超えで、脳科学者で小児科医でもある加藤俊徳さん。1万人以上の脳を診断した経験を生かし、脳の特徴や個性に合わせた勉強法で、小学生の有名私立中学校への受験勉強を指導してきました。最新刊『10歳からの脳タイプ別勉強法』の中でも、子どもたちの自己肯定感を高める勉強法を伝授しています。今回は小学中高学年向けの疑問に答えながら、脳をやる気にさせる勉強法について伺いました。

※ここからは『10歳からの脳タイプ別勉強法』(世界文化社)の一部から引用・再構成しています。

頭を働かせるために、まず8つの脳番地を知ろう

頭がよく働くようになるために、まずは「8つの脳番地」の特徴を知ることから始めましょう。

脳の中にはとてもたくさんの神経細胞があって、同じ働きごとにグループをつくっています。私はそのグループを8つに分けて、脳番地と呼んでいます。

「聞く力」の脳番地
耳で言葉や音楽、そのほかの音を聞く働きをする。

「見る力」の脳番地
目で見る働きをする。後ろの部分はふつうに見るとき、前はよく見るときに使う。

「動く力」の脳番地
体を動かす働きをする。走ったり、字を書いたり、しゃべるという動きもこの力が担当。

「伝える力」の脳番地
しゃべったり、ジェスチャーでほかの人に伝えたりする働きをする。

「吸収する力」の脳番地
覚えたり、思い出したりする働きをする。

「わかる力」の脳番地
見たり聞いたりしたことを整理して、理解する力。

「考える力」の脳番地
考えたり決めたりする働きを担当。勉強の集中力を高めるのもこの力が担当。

「気持ちを知る力」の脳番地
相手の気持ちを感じたり、喜ぶ・怒る・泣く・笑うなど自分の気持ちをつくり出す働きをする。

働いていない頭を働かせるにはどうしたらいいの?

「集中していて、時間がたつのがはやい」「たくさんの問題がスラスラ解ける」「好きな科目はもっとやりたくなる」──これは8つの力が協力してイキイキ働いている状態。ほかにも、姿勢がよくなったり、質問をしたくなったりするときは、頭がしっかり働いています。

勉強するとき、「時間が長く感じる」、「よそ見をしたくなる」というのは、脳の8つの力がうまく動いていないということ。つまり、頭が働いていないというサインです。

では、働いていない頭を働かせるにはどうしたらいいのでしょうか?

それは体を動かすこと。
「動く力」が他の力も引っ張ってくれ、頭全体が働くようになるのです。

歩いたり、走ったりするような運動だけじゃなく、鉛筆を持って手を動かしたり、声を出したりすることも、すべて「動く力」が関わっているので、「体を動かすこと」です。

「テスト問題が解けない」というときも、やはり頭は働いていません。

でも「できない」を「できる」に変えるときが、人間がいちばん頭を働かせようとするとき。つまり、まちがい直しはもっとも頭が働くのです。
Aという答えが間違っていたら、Bという正しい答えに変えてそれを身につけようとする──まちがい直しは頭が良くなる近道なのです。

Q.100点満点のテスト、自分なら最高で何点取れる?

①100点満点を取れる!
②80点くらいのことが多いから、90点まで上げられるかな。
③いつも平均点以下だしな…せいぜい50点とか?

A.みんなが100点満点を取れる!

さて、3つの中から、あなたはどれを選びましたか?
100点満点を取れるって思った人も、どうせ自分なんか…って低い点数を答えた人も、100点満点のテストなら、みんなが満点を取れる可能性を持っているんです。

とはいえ、勉強が苦手な人は、100点は遠すぎてイメージできないかもしれません。これまでに大人から「きみにはできないよ」って言われたことがあるかもしれません。

でも、他の人からできないって言われても、そんなことは信じなくていいのです。
どうしてかというと、脳は一生成長し続けるし、自分で変えていくことができるから。

とくに10歳前後から、脳は急激に成長していきます。それまでに育ってきた、聞く・見る・動く・伝える力を土台にして、考える力など他の力もぐんとのびる時期なのです。

自分の脳を知り、脳に合った学び方をすることで、テストの点数を上げたり受験に合格したり、なりたい自分に近づくことができるのです。

脳は自分で変えられる!

「脳は成長する、変えられる」例として、おもしろいお話を紹介します。

スポーツ選手は毎日体を動かすから「動く力」の脳番地が発達しています。
しかし、現役を引退した後にスポーツ解説者となり、テレビなどでしゃべる機会が増えたら……MRIで撮影した脳の画像を見てみると、なんと「動く力」よりも「伝える力」の脳番地がぐんと成長していたんです。

なぜこんな変化が起こるかというと、脳は「繰り返しやること」が「得意になる」という特長を持っているから。つまりくり返すことで、だれでも何でも得意になれるんです。

8つの脳番地は「そうなんだ!」「できた!」が大好き

脳は、新しいことを知って、「そうなんだ、おもしろい!」という気持ちになったり、まちがえた問題をやり直したとき「できた、うれしい!」という気持ちになったりするのが、大好きです。

「好きこそものの上手なれ」──好きなことは熱心に、自分でくふうして学ぶから、上達がはやいという意味。好きなことだと頭はよく働きます。

自分の頭がよく働き、好きなことや得意なことから勉強を始めるとどんどん自分の力を伸ばしていくことができます。

頭がよくなる音読法をやってみよう!

さて、みなさんに頭がよくなるとっておきの方法を紹介しましょう。

それは「音読」です。
音読は8つの脳番地を同時に働かせることができる、とっても効率のいい勉強法なのです。

国語の宿題で、毎日のようにやる人も多いかもしれません。音読で頭がよくなるなら、もうとっくに天才になってるよ!と、疑う声も聞こえてきそうです。

でも、宿題の音読を「めんどうくさい」と思って早口だったり、ダラダラ読んだりしていると、効果は出ません。

次の二つのやり方が8つの脳番地が働く読み方です

①助詞強調音読法
「は」「が」などの助詞を、大きな声ではっきり読んでみよう。
→自分の声を脳で聞く力が強くなります。またたくさんの言葉を覚えやすくなります。

②ゆっくり音読法
下の文章を30〜40秒で音読しましょう。

だれかに聞いてもらうつもりで、自分では遅いかなと感じるくらいゆっくり、そして大きな声で読みましょう。
ストップウォッチを使って時間を計ってみましょう。
→話の内容を覚えやすくなります。時間の感覚が身につきます。

人間の脳は、右側と左側で働きがちがいます。子どものころは、右側の働きが強く、大人になるにつれて、左側が強くなっていきます。
重さも変わります。10歳から18歳くらいまでの間に、脳は約150グラム重くなります。みんなの脳は、これからぐんぐん成長します。

Q.勉強にやる気が出ません

①やる気が出たときにがんばるほうがはかどるから、やる気が出ない日は休む。
②「問題集を開くだけ」でOK!
③ 1問解いて、または1文読んだだけで、「勉強できた」ことにする。

A.「問題集を開くだけ」でOK!

やらなきゃってわかっているけど動けない……それはあなたがなまけ者だからではありません。
脳はできるかどうかわからないことは、すぐに行動に移せないからです。

「やろうと思ったらすぐに動ける」ようになるためには、「自分が『できること』に気づく」のが大切。
脳が「できる」と知っていることは、すぐに始められます。

まずあなたは、どんなことならすぐに動けますか?
勉強を細かく分けて、何ができるか探してみましょう。

「できること」に気づけると、「もっとできる」ようになる

やる気が起きないときは、できないことを無理やりやろうとするのではなく、自分の中でいちばん早くやれることを探し、とにかく体を動かしましょう。
そうすれば「動く力」が働いて、もっとやる気を生み出してくれます。すると、できないと思っていたことも始めやすくなるのです。

そして、同じくらい重要なのが、できることをくり返すこと。
1回できたからといって、1回きりでやめてしまうと、せっかく脳が「これはできる!」ってやる気と行動をつなげる道をつくってくれたのに、それが消えてしまうのです。

やればやるほど、「できた!」という記憶が強くなって、しだいに「めんどうくさい」と思わなくなり、すばやく実行に移せるようになっていることに気づくはず。
すると、次のステップに進むことができ、できることが少しずつですが、確実に増えていきます!

「自分ができることを自覚する」ことはとっても大事なことなので、覚えておきましょう。

Q.勉強中、わからない問題が出てきた。どうしよう?

①気晴らしをした後、じっくり考えよう。
②ちょっとだけあまいものを食べて、集中力復活!
③立ち上がって、うで立て1回!

A.立ち上がって、うで立て1回!

問題がわからないときに、座っていられず、思わず立ち上がったことはありますか?
じつはそれは脳にとって、とても自然なこと。
問題を解こうとする力は、「動く力」と同じで、そこに働いてもらおうとしているんです。

脳がつかれたときはブドウ糖をとるといい、ともいわれますが、あまいものを食べると次に集中できるまでに時間がかかってしまいます。

だから、解けない問題が出てきたら、その場でうで立てふせを1回!
授業中やテストのときは難しいですが、家で勉強しているときは、ぜひ試してみてください。

Q.勉強の計画を立てても三日坊主です……

①あきらめて、気が向いたときに集中すればOK!
②勉強の量をうんと減らして計画を立てる。
③毎朝5分、体を動かすことを続ける。

A.毎朝5分、体を動かすことを続ける!

当初は「これならできる!」って決めた計画なのに、いざ始めてみると、なかなか計画通りに続けられない……決めたことを守るって、なかなか難しいですよね。

勉強をいつどれくらいやったかを記録しておくと、計画を立てるときに「これならできる」という量を決めやすくなります。

決めたことを毎日きちんとできる習慣を身につけるためには、少し早起きして、毎日、ほんの3分や5分でいいから体を動かしてみましょう。
軽い体操でも音読でもかまいません。

体を動かすなんて、勉強と関係ないんじゃない?と思う人もいるかもしれません。

でも、朝起きて軽く体を動かすことで、「動く力」が目覚めます。
すると、わかる力や考える力も働き出して、勉強にも取りかかりやすくなります。
朝、「動く力」のエンジンをかける習慣ができると、日中も同じように勉強する習慣を身につけやすくなるのです。

すわる時間を減らし、足をたくさん動かそう

勉強はすぐ集中力が切れるのに、ゲームはずっと集中できる。いったいどうしてでしょう?

それは、ゲームには「こうなる!」というゴールがすでに用意されているからということが大きいです。

ゲームでは得られない楽しさや、こうなりたいと思えるゴールをイメージできるようになると、勉強もゲーム以上に集中し、計画通りに進められます。
そのためには「動く力」をたくさん使いましょう。

すわる時間を減らして、足を使って体を動かすと、脳の8つの力もよく働きます。

行動して、たくさん見聞きして、いろいろな人と話をして、「知るのがおもしろい!」「わかった、うれしい!」と感じるものをたくさん見つけてみましょう。

※ここまでは『10歳からの脳タイプ別勉強法』(世界文化社)の一部から引用・再構成しています。

10歳からの脳タイプ別勉強法』(世界文化社)

著者/加藤俊徳 発行/世界文化社 ¥1,650 税込

「聞いて覚える? それとも見て覚えるタイプ?」「じっと座って勉強するのが向かないタイプは?」「予習の効果が出やすいタイプは?」自分の脳を知り、脳の使い方を攻略して、成績アップにつなげよう!
著書・監修書累計300万部超、脳科学者で小児科医でもある加藤俊徳先生が教える、10歳からの勉強法。子どもが自らの「得意」「できた!」に目を向け、伸ばしていく方法を伝えます。自分に合った勉強法がわかる「脳しんだん」付き。

加藤俊徳(かとう・としのり)
株式会社脳の学校代表。小児科専門医。医学博士。加藤プラチナクリニック院長。 昭和大学客員教授。米国・ミネソタ大学で脳画像研究に従事。加藤式脳画像診断法を用いて、1万人以上を診断・治療。脳を機能別領域に分類した脳番地トレーニング法を開発。自らの体験からひらがな音読困難症状を改善する「脳活性助詞強調 おんどく法」を考案。著書・監修書は『一生頭がよくなり続けるもっとすごい脳の使い方』(サンマーク出版)など累計300万部を超える。

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構成/国松薫

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