徳島県鳴門市・大塚国際美術館は一日中遊べる広大な美術館
徳島県鳴門市にある大塚国際美術館を知っていますか?
この美術館は、大塚製薬が中核となる大塚グループが創立75周年記念事業として、1998年にオープンした美術館です。館内には、古代壁画から現代絵画まで、厳選された約1000点の陶板名画が展示されています。
陶板名画とは、大塚オーミ陶業の特殊技術で陶板化された名画のことです。
こう説明すると、「複製品の展示なのか」と思う方がいるかもしれませんが、大塚国際美術館に展示されている陶板名画は単なる複製品ではありません。
なんと、原画の色や大きさまでを忠実に緻密に再現しているのです。中には絵の具の盛りや筆致までも確認できるものまであります。
しかも、「環境展示」といって、古代遺跡や礼拝堂などを、その空間ごと立体的に再現している展示もあります。
2018年の紅白歌合戦で「Lemon」が歌われた「システィーナ・ホール」
「環境展示」のひとつ「システィーナ・ホール」は、昨年の大みそかに放送されたNHKの紅白歌合戦で、米津玄師さんが中継映像で「Lemon」を歌い切った場所として一躍注目を集めたので、印象に残っている人もいるのではないでしょうか。
大量のキャンドルが灯っていた、あの礼拝堂です。
大塚国際美術館には「システィーナ・ホール」だけでなく、複数の「環境展示」があり、そのどれもが圧巻!
一歩足を踏み入れたなら、誰もがその迫力に驚き、感動すると思います。
名画の人物になりきれる「アートコスプレフェス」を開催
この大塚国際美術館で、名画を鑑賞するだけでなく、名画の人物になりきれるイベントが7月17日(水)~11月24日(日)に開催されます。題して「♯アートコスプレ フェス2019 レボリューション」。
イベント開催期間中、館内8カ所に、大人から子どもまでに対応した「フランスの名画」11作品の衣装・全28着が用意されていて、お気に入りの名画の人物に扮して、記念写真を撮ることができます。
以下にある写真は、そのイメージです。アートに興味がある人も、興味がない人も、みんなで楽しめるイベントです。
大塚国際美術館・学芸部の土橋加奈子さんは、このイベントを開催した経緯を次のように教えてくれました。
「アートコスプレは、当初は夏休みに開催するイベントのひとつだったのですが、毎回とても人気で、2017年から独立して展開しています。2017 年は《美術の歴史》、2018年は《ゴッホ》というように毎年テーマを変えて行なっていまして、今年のテーマは《フランス》となっています。コスプレをして名画の人物のマネをすることで、名画をよく観る体験にもつながりますし、まるで絵画の世界に入り込んだような感動も楽しめると毎回とても好評をいただいています」
地元の食材を使ったメニューが食べられる「レストラン・ガーデン」も
大塚国際美術館には、庭園を眺めながらイベントのテーマに合わせたランチや地元鳴門の食材を使ったメニューが食べられる「レストラン・ガーデン」、モネの睡蓮の池をイメージした池を眺めながら軽食がとれる「カフェ・ド・ジヴェルニー」、ゴッホをテーマに彼の名画「アルルのゴッホの部屋」をリアルに再現した撮影コーナーのある「カフェ フィンセント」が設置されており、食事も十二分に満喫できます。
また、オリジナルのミニ陶板をはじめ、ウイットに富んだユニークなオリジナルグッズや、スタイリッシュなアートグッズが手に入る「ミュージアムショップ」も設置されているので、お土産を入手することもできます。
「陶板名画の展示には、柵やロープは設けられていません。だから、どれも近くに寄って観ることができるんです。また、複製陶板なので、お子さんが触れても大丈夫です。館内にはベビーカーも用意していますので、赤ちゃんがいらっしゃるご家族も気軽に訪れていただけたらと思います。おじいちゃんやおばあちゃんといっしょに3世代でいらっしゃるご家族も多いですね」と土橋さん。
土橋さんによれば、「9月までは、モネの《大睡蓮》の展示の外側にある池の睡蓮の花が見ごろ」だとか。この夏休みの家族旅行に、訪れてみてはいかがですか?!きっと心に残る旅になると思います。
「大塚国際美術館」
取材・文/山津京子