科学の常識クイズ①:ネットのデマは、見分けられる?見分けられない?
まず情報の出どころを確認することが大事
何でも調べられるインターネットの世界では、日々、膨大な情報が世界中をかけめぐっています。昨今ではAI(人工知能)が提供する情報もあります。そんな中、正しく、かつ自分が求めている(=必要な)情報を確実に得るのはとてもむずかしいのです。
だから、答えは「かんたんには見分けられない」です。
その情報が真実かデマかを見分けるためには、情報の出どころ、つまり「どこ(だれ)が出した情報なのか」を確認することが必要です。
地震のような災害が起こったとき、SNSで「地震の原因は○○だ」「これは△△地震の前ぶれだ」など、人々の不安に乗じてインパクトの強いデマが流れることがありますが、情報の大もとを確認しましょう。
政府や行政機関、自治体などが出している情報だったら、信頼性が極めて高いといえます。ですが、そもそも政府や行政機関が地震発生からすぐに断定的な情報を出すことはありえません。十分に情報を集め、専門家が解析した上で発表するはずです。

「論理的思考」でデマを見分ける
以前、私が教えている学生から、「アメリカで9・11のテロが起こったとき、標的になったワールドトレードセンタービルで働くユダヤ人がその日だけ欠勤していたって本当ですか?」と聞かれたことがあります。
ユダヤ人はテロを前もって知っていたという陰謀論が出回っていたのです。大勢の人が亡くなって混乱している中で、その日に休んでいた人がユダヤ人だったことをどうやって確認するのでしょう。
だれがその調査をしたのか、本当に調査したのか、疑問を数え上げたらきりがありません。冷静に、論理的に考えればわかるデマもたくさんあるのです。
※この記事は『文系の池上彰が教える 10歳からの科学の常識100』(小学館)の一部から引用・再構成しています。
『文系の池上彰が教える 10歳からの科学の常識100』

文系出身ながら、科学にも強いフリージャーナリストの池上彰さん。科学の常識100項目を科学的考え方、気象、地学、物理、化学、生物、環境問題といった、子どもたちが興味を持つ7つのジャンルに分け、クイズ形式で楽しく紹介します。
理系ジャンルに強くなるだけでなく、論理的思考も養われ、国際情勢や国内ニュースに対して、自分の頭で考える力が身につきます。
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構成/国松薫、HugKum編集部 イラスト/和田ラヂヲ(書籍抜粋)