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さあ、江戸の町にショッピングにでかけよう!~『江戸のお店屋さん』シリーズ ほるぷ出版
まるでタイムスリップしたように、江戸時代の大通りに立ち並ぶたくさんの店を、外観に始まり、店内の様子、それぞれのお店の品物などをひとつひとつ見ることができます。それらはまるで図鑑のように解説が添えられ、私たちの見慣れない品も、いつどんなときに、誰が、どう使うのかがわかります。
その楽しいこと!なかには「ぼてふり」など、商いが想像もつかないお店や、ドラマなどで見聞きする「両替屋」「地本問屋」「はたご屋」などもあります。さあ、ページを開いて江戸時代の町へショッピングに行ってみませんか?
各巻の内容は以下の通りですが、巻末には各店の説明に加え、江戸時代をより知るための解説もあります。各巻とも「江戸東京たてもの園」園長を始め、各巻の内容に合わせ素晴らしい専門家が監修なさっています。
『江戸のお店屋さん』 藤川智子/作
紹介されているお店:人形屋、お菓子屋、薬屋、本屋、唐物屋など

『江戸のお店屋さん』その弐 藤川智子/作 谷田有史・小林克/監修
紹介されているお店:袋物問屋、瀬戸物や、太物問屋、そば屋、寺子屋、芝居小屋、木戸番屋、屋台、ぼてふり

『江戸のお店屋さん』 その参 藤川智子/作
紹介されているお店:おうぎ屋、とうふ屋、げた屋、ちょうちん屋、両替屋、髪結床、はたご屋、船・かご・馬、ごらく

江戸時代の子どもの暮らしぶりをのぞいちゃおう~『江戸の子ども』シリーズ 偕成社
『行事とあそび12か月』 菊地ひと美/作
経済が安定し、様々な文化が発展した江戸時代。子どもたちは毎日どんな風に暮らしていたのでしょう。江戸時代の子どもたちの一年を、月々の行事と遊びを追いながら紹介しています。1月お正月、2月初午、3月お雛祭り…10月こたつ開き、11月歌舞伎、12月雪あそび。なかには今はもう、行われなくなった行事や遊びもありますが、多くの行事が400年近くを経た今でも、続いていることに驚きます。今も昔も、日々の生活を愛おしみ、子どもの成長や家族の幸せを祈る気持ちは同じなのでしょう。なんだかうれしくなりますね。

『ちょんまげのひみつ』 菊地ひと美/作
子どもの成長のあかしの一つでありながら、今はほとんど目にすることのないものとして「ちょんまげ」がありますね。江戸時代では、子どもたちは成長に合わせて髪型を変え変身してきたそうです。生まれてから大人(15歳)になるまでの、男の子の髪型の変化を追いながら、男の子の暮らしを覗いてゆきます。巻末にはちょんまげの結い方や、ちょんまげの種類(15種も!)が紹介されていて楽しめます。そうそう、女の子の年齢による髪型の変化も紹介されていますよ。

妖怪小僧が江戸の暮らしをナビゲーター~『絵本江戸のくらし』太田大輔・作 講談社
妖怪小僧をナビゲーターに、今の東京の暮らしと、電気もガスも水道もない江戸時代の人びとの暮らしを比べます。マンションや一戸建てではない長屋の暮らしや、暮しの道具。街の朝の活気や電気のない夜。様々な生業と人々の暮らし。そして恐ろしい火事! それゆえに、漆喰などの技法が発展したというのも興味深い話ですね。
そして、トラックや車の代わりに船や大八車、牛車が輸送の主な手段でした。庶民の楽しみとしては、浮世絵と貸本、そして食べ物屋台! まさに江戸の人びとの暮らしは「よく学びよくあそぶ」だったのですね。巻末には、〈くらしの道具〉・〈江戸のくらしの豆知識〉の掲載。各ページには隠れキャラクターもいますので、探してみてください。同じシリーズで『絵本江戸のまち』『絵本江戸のたび』もあります。

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公立図書館司書とJPIC読書アドバイザーのふたつの立場から子どもの読書推進活動を展開。幼稚園・保育園から中学生まで、お話し会やブックトークの実践とともに、成人への講座や講演を行う。近年は大学にて児童文化財としての絵本の魅力を学生に伝えている。鎌倉女子大学非常勤講師など、幅広く活躍。著書に『0~5歳 子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』『子どもを育てる0歳・1歳・2歳児にぴったりの絵本』(共に小学館)がある