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6月21日は「フルーツカービングの日」
果物の外皮や実に繊細な彫刻を描くアート、フルーツカービング。それを振興するための記念日が、6月21日「フルーツカービングの日」です。例年この日は「夏至」となることが多く、フルーツのみずみずしさやアートの華やかさが夏のイメージにぴったりということで定められました。
「カービング」とは「削る」という意味。フルーツカービングでは果物・野菜を花のように切り分けたり外側に模様を彫ったりと、ナイフを使って装飾を刻みます。
フルーツカービングの歴史は約700年前のタイから始まったと言われており、宮廷で王様に捧げる食事を美しく飾る方法のひとつとして、果物や野菜を美しくカッティングする技が広まりました。
ナイフ1本で花などの模様を刻むフルーツカービングは見た目の美しさだけでなく、食べやすく切り分けるなどの目的からも「おもてなしの技術」として研ぎ澄まされてきました。タイでは小学校の授業でカービングを実践するほど、伝統的な工芸として知られているのです。

フルーツカービングはもったいない?
美しいフルーツカービングの作品を見たとき、「せっかくのフルーツがもったいない…」と感じる方もいるかもしれません。確かに食べる部分を削ったり、飾るだけになってしまったりするイメージからそうした感想を持つのは自然なことです。
フルーツカービングのはじまりは王宮という特別な場で豪華さや美麗さを彩るものでした。しかし、その普及につれて実用的な工夫や配慮も広まっているのです。
例えば彫刻を外皮などの食べない部分にとどめたり、彫り取った可食部をジャムやスムージーにしたりとSDGs的な工夫を奨励している方もいます。
またフルーツカービングの在り方にも配慮が深まって、パーティーなどですぐに食べるものとして当日にカービングしたり、練習用や紹介用として作った作品は写真におさめた後で食べるなど、今は「見る」と「食べる」を両立する考えが普及しています。
フルーツカービングは初心者でもできる?

「フルーツカービング」として紹介される作品には繊細な彫刻が施されており、自分で作るのは無理! と感じる方も多いでしょう。しかしフルーツカービングは、特別な才能や長年の経験がなくても、初心者から気軽に始められるものなのです。
まず、フルーツカービングの図柄は精緻なものに限りません。お花型のニンジンやウサギさんリンゴなどのちょっとした飾り切りの延長からも挑戦できるものなのです。果物の外皮に簡単な線や図形を彫るだけでも、見た目の楽しさが得られます。
YouTubeなどにも初心者向けの動画が多数公開されており、自宅でプロの技を真似しながら学べます。失敗しても大丈夫、自宅で食べてしまいましょう。もちろんよくできた作品はおうちの食卓にも。いつもの食事やデザートに楽しさをプラスしてみませんか?
フルーツカービングのメリット、向いている人

フルーツカービングは食卓を華やかにするだけでなく、今まで馴染みがないといった方にも始めやすい趣味なのです。そのメリットや、おすすめポイントを紹介します。
手軽に始めることができる
フルーツカービングに必要な道具は、専用のナイフだけ! 初心者向けのカービングナイフは高くても3,000円程度のものが多く、手軽に始めることができます。材料となるフルーツもスーパーで売っているものでかまいません。最初は硬くて切りやすいリンゴなどを選ぶと良いでしょう。
インターネット上の動画を見ながら挑戦することで、より気軽にコツを学ぶことができます。興味が深まればお近くのカービング教室でのステップアップも可能です。
華やかな食卓を演出
カービングのひと手間を掛けたフルーツで、日々の食事を華やかに。特に色のハッキリしたフルーツを使えば簡単な図柄でも見栄えがして見た目を楽しめます。
少し特別な日の食事やデザートに添えることで華やかさをプラスしたり、会話を弾ませたりと、楽しい時間を過ごし思い出作りにも役立つでしょう。

日常に取り入れる
フルーツカービングは特別なイベントやおもてなしのためのもの、というイメージもあるかもしれません。しかしその技術は、実は毎日の食卓や日常の料理にも大いに役立つのです。
例えば、野菜が苦手なお子さんに、飾り切りした野菜で興味を持ってもらうという手も。また、お弁当にちょっとしたフルーツや野菜の飾り切りを加えるだけで、見た目がぐんとアップし食欲も刺激されるでしょう。パーティーシーンの豪華な飾りにこだわらず、ちょっと切り方を変えるだけの簡単ワザでかまいません。
ニンジンをかわいい形にカットしたり、薄く剥いたキュウリを丸めて花形にしたりと、気軽な飾り切りも見た目で楽しく、食べておいしい技術の一つなのです。

フルーツをまるごと楽しむ
最近ではスーパーで手軽に買える便利なカットフルーツが一般的になりました。だからこそ、フルーツカービングで「まるごと」フルーツを味わう楽しみを取り入れてみませんか?
例えば、大きなスイカやメロンを一玉まるごといただいたとき。どうやって食べ切ろう……と悩むこともあるでしょう。そんなときにフルーツカービングが活躍します。果肉をくり抜いて、皮をバスケットの形にカービングすれば、豪華なフルーツバスケットの完成です。
くり抜いた可食部は、そのままおいしく食べるのはもちろん、食べきれない分はあらかじめ切り分けて冷凍保存したり、スムージーやゼリーの材料にしたりと、無駄なく有効活用できます。

フルーツカービングの始め方
フルーツカービングを始めてみたいと思っている方へ、必要なものと簡単な始め方を紹介します。
材料
材料となるフルーツは近くで買えるものでかまいません。初心者向けに入手しやすく加工しやすいという点からはリンゴがおすすめです。フルーツではありませんが大根・キュウリも同様に適しています。
慣れてきたら、レリーフカービング(皮への彫刻)に向いているオレンジやグレープフルーツ、大きめですが色のコントラストが鮮やかなスイカという選択肢もあります。
道具
フルーツカービングの主役となる道具はナイフ(カービングナイフ)です。フルーツカービング用のナイフにはさまざまな形がありますが、初心者はまずL字型(タイカービングナイフ)か、刃先が細いストレート型のナイフを選ぶのが良いでしょう。刃が薄く、小回りが利くので繊細な作業に向いています。
最初は高価なものでなくてもかまいません。持ちやすく、刃がしっかりしているものを選びましょう。

やり方
材料と道具が揃えば、デザインを決めて、カービングを行うだけです。本や動画を参考に簡単な模様を選び、失敗を恐れず彫ってみましょう。
カービングナイフは、鉛筆を持つように握るのが基本。力を入れすぎず、刃先を使ってフルーツの表面を撫でるように、ゆっくりと動かすのが最初のコツです。
独学でも始めることはできますが、全国各地で行われているカービング教室に通うのもおすすめです。費用はかかりますが、道具の選び方や使い方、力加減をより安全に学ぶことができます。
全国のフルーツカービング教室10選
フルーツカービングは、全国各地で学ぶことができます。カルチャースクールや専門のアトリエなど、さまざまな形式の教室があるのでライフスタイルに合わせて選んでみましょう。
北海道・東北
アトリエクルール(北海道)
札幌で少人数制レッスンを行っている「アトリエ クルール」。初心者向けから、自由なテーマでの製作までお手伝い。
参考:https://atelier-couleur.net/
はすのはねスクール仙台(宮城県)
仙台市に位置する「はすのはねスクール仙台」では多彩なハンドメイド教室を開講中。カービング講座に加えて、併設のカフェでフルーツを楽しめる教室です。
参考:https://ameblo.jp/hasunohanecarving/
関東
ARUNADA-アルナダ-(埼玉県)
「ARUNADA」は川越市にあるカービング教室。初心者から本格的なレッスンまで受講可能、1回限りの体験レッスンもあるので安心です。
カービングルームふわり(東京都)
丁寧なマンツーマンレッスンが特徴の「カービングルームふわり」。オンライン教材としてレッスン動画も販売しており、好きなテーマを選んで学ぶことができます。
カービングスタジオエス(東京都)
カービング歴25年の講師が教えるカービング教室。単発で通える教室レッスンや添削付きのオンラインレッスンで気軽に始められます。
参考:https://www.carving-studios.com/
中部
Thai Carving Nana(愛知県)
瀬戸市を中心に数か所の会場で開かれているカービング教室。タイで学んだ講師から少人数制レッスンが受けられます。
参考:https://thaicarving.web.fc2.com/
近畿・中国
Atelier RIN(大阪府)
タイのカービング技法を使いつつ、西洋風・日本向けのデザインを積極的に取り入れたカービング教室です。「贈り物を作りたい」といった要望にも応えるオリジナルレッスンも人気。
Atelier Ruang -アトリエ・ルアン-(兵庫県)
神戸・元町駅近くのアトリエ・ルアン。習熟度に合わせたコース受講で楽しくレベルアップできます。季節に合わせたワークショップの開催も魅力的。
Bai Mai(広島県)
ハンドメイドがお好きな方必見、心が華やぐ雰囲気のカービング教室。ブーケ制作レッスンやパーソナルカラー診断も手掛ける講師が丁寧にお手伝いします。
九州・沖縄
サンシャインスクール(福岡県)
久留米市でカービングをはじめとする講座が受けられるカルチャースクール。気軽な趣味として学ぶのはもちろん、生徒の国際コンテスト受賞歴もある本格派です。
参考:http://www.oshiroiya.co.jp/
フルーツカービングの資格・ライセンス
フルーツカービングを趣味として続けるうちに、さらにスキルアップを目指したい、将来的に講師として活躍したい、といった目標を持つ方も少なくありません。そうした方のために、フルーツカービングにはさまざまな資格やライセンスが存在します。
日本カービング普及協会フルーツカービング検定
日本で広く知られているカービングの認定団体です。体系的なカリキュラムと検定試験を提供し、3級~1級検定、マスター/グランドマスター、および講師資格の認定を行っています。
https://www.japan-carving.com/qualification/
日本タイカービング協会 タイカービング技能検定
タイカービングの技術向上を目指すすべての人を対象に、フルーツ&ベジタブル技能検定試験を実施しています。初心者でも挑戦可能な初級・中級・上級試験があり、さらに上級試験合格者は講師認定のための試験を受けることができます。
http://www.japan-tca.org/skill_test.html
フルーツアカデミー 各種コース
プロとして仕事をするためのフルーツアーティスト認定コースをはじめ、各種コースを開講。フルーツのカービング実技はもちろん、旬や栄養などフルーツの全般的な知識を学べるコースが用意されています。
https://fruitacademy.jp/

おいしいアート、フルーツカービング
フルーツカービングは日々の食卓を華やかに彩る、まさに「食べられる芸術」です。6月21日の「フルーツカービングの日」をきっかけに、この世界へ一歩踏み出してみませんか?
特別な道具や技術がなくとも、身近なフルーツとナイフ一本から気軽に始められます。家族の笑顔を増やしたい方から新しい趣味でリフレッシュしたい方まで、誰もがその楽しさを実感できるはず。ぜひフルーツカービングを通して、楽しくおいしいアートに触れてみましょう。
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文・編集/HugKum編集部
