「喧々諤々」とは?
読み方と意味
まずは読み方と意味を確認しておきましょう。この言葉は『喧々諤々』と書いて「けんけんがくがく」と読みます。大勢の人がくちぐちに意見を言って騒がしい様子を表す言葉です。
「喧々囂々」+「侃々諤々」=『喧々諤々』?
似たような漢字を組み合わせた言葉に「喧々囂々(けんけんごうごう)」と「侃々諤々(かんかんがくがく)」があります。こちらを聞いたことがある方もいるかもしれません。どちらも大勢が活発に議論をする様子を表しています。
実は『喧々諤々』は「喧々囂々」と「侃々諤々」が合わさった言葉。ふたつが似ていることから混同して生まれた言葉で、以前は誤用とされていました。
しかし誤用が定着した結果、今では『喧々諤々』も大勢の人がくちぐちに意見を言って騒がしい様子を表す語として、辞書にも掲載されるようになりました。とは言え現在でもニュースや教科書などでは「誤用」として扱われることもあるようです※1.2。由来をきちんと覚えてから使うようにしましょう。
※1教育出版 ことばの手引き
※2 NHK放送文化研究所
使い方を例文でチェック!
では、『喧々諤々』の使い方を例文でチェックしていきましょう。

1:ミーティングが喧々諤々として収拾がつかなくなってきたので、一旦休憩をとることにした。
『喧々諤々』とした状態では落ち着いた議論にならないことも多いです。
2:喧々諤々な議論を経験するのも新人には良い機会となるでしょう。
新人では圧倒されてしまいそうな『喧々諤々』な会議ですが、参加すると得るものが多そうです。
3:株主総会の会場が喧々諤々な様相を呈してきた。
株主がそれぞれの立場で意見を主張する株主総会の様子は『喧々諤々』が使えそうです。
類語や言い換え表現は?
では、『喧々諤々』を別の言葉で言い換えたい場合、どのような表現を使うことができるのでしょう。『喧々諤々』に似た表現を探してみました。

1:口角泡を飛ばす(こうかくあわをとばす)
つばを飛ばすほどの勢いで激しく議論することを表す「口角泡を飛ばす」。その勢いから『喧々諤々』と同じ激しい議論が想像できます。
2:丁々発止(ちょうちょうはっし)
激しい議論や意見の応酬を、刀を打ち合う様子に例えた「丁々発止」。『喧々諤々』と同じ状況で使われる言葉です、
3:議論百出(ぎろんひゃくしゅつ)
文字通り、たくさんの様々な意見が出ることを表す「議論百出」。『喧々諤々』と同じく、たくさんの意見が交わされる様子を表しています。
4:舌戦を繰り広げる(ぜっせんをくりひろげる)
やりとりを戦いに例えるほど、激しい議論や言い争いを意味する表現です。『喧々諤々』と同じく、互いの意見が対立し、激しく言い合う状況を表しています。
対義語は?
明確に対となる対義語はありませんが、『喧々諤々』の反対の意味に当たりそうな言葉にはどんなものあるか、さがしてみました。
1:黙殺(もくさつ)
意見を無視する「黙殺」という言葉。『喧々諤々』とは逆に、意見が通らない様子を表します。
2:スルーする
意図的に無視したり、気にせずやり過ごしたりする際に使う「スルー」という言葉。『喧々諤々』と同様、こちらも近年辞書に追加された言葉です。
3:満場一致(まんじょういっち)
その場にいる全員の意見や考えが同じである状態を意味する「満場一致」。議論が噴出する『喧々諤々』とは真逆の様子を表しているといえそうです。
4:異口同音(いくどうおん)
多くの人がみな、口をそろえて同じことを言うことや意見が一致することを表す「異口同音」。こちらも意見が合わない『喧々諤々』とは逆の状態を表しています。
英語表現は?
では、『喧々諤々』は英語ではどのように言い表すことができるのでしょうか。最後に『喧々諤々』の英語表現と言えそうな言葉をご紹介します。

1:heated debate
“debate“という単語は日本でも「ディベート」として議論の際に使われる言葉です。熱くなるという“heated“を合わせると「盛り上がる議論」となり、『喧々諤々』と同じく熱い討論の様子を表します。
2:intense discussion
直訳すると“激しい話し合い“という意味になり、『喧々諤々』と言えそうです。
3:speak with fervour
“熱く語り合う”という意味の表現です。『喧々諤々』な状態を表していると言えそうです。
「喧々諤々」の意味と由来を知って、正しく使いましょう
日ごろ使うことは少ない『喧々諤々』という言葉。議論が盛り上がってきたら、由来も含めて使ってみてください。
あなたにはこちらもおすすめ
構成・文/kidamaiko
