「子どものお手伝いに報酬」はアリ?ナシ? 今どきのお手伝い事情と親の思いをアンケートで深掘り!【HugKum総研】

子どもにとって、お手伝いをして受け取ったお小遣いは特別なご褒美であり、小さな自立の一歩でもあります。 一方で、親の立場から見ると「家族の一員として当然すべきことに報酬は必要なのか」「金銭でモチベーションを高めるのは教育的にどうか」など、さまざまな思いが交錯します。今回は、お手伝いの実態と報酬に対する考え方についてのアンケート結果をもとに、それぞれの選択に込められた、親たちの思いを読み解きます。

【調査概要:調査期間/2025年3月14日~4月15日 調査対象/0歳~12歳のお子さんをもつ保護者 183人】

今どきの「子どものお手伝い」事情を探る

“必要なときにお願いするスタイル”が主流

まず、「お子さんに決まった仕事を手伝わせていますか?」とアンケートを取ったところ、いちばん多かったのは「決まった仕事はないが、必要に応じて手伝わせている」という回答でした。

調査対象:183 人(複数回答、無回答含む)

次に「決まった手伝いをさせている」が多く、「決まった仕事を手伝わせていない」と回答した人がもっとも少ない結果となっています。

多くの家庭ではお手伝いをあらかじめルール化しているわけではなく、そのときの状況に応じて子どもに頼むスタイルが主流であることがわかります。日常的に決まった仕事を任せている家庭は、全体の約4分の1にとどまりました。

子どもが取り組みやすい“食事関連”の家事が中心に

では、実際にどのようなお手伝いをしている家庭が多いのでしょうか。
アンケートでお手伝いの内容を尋ねたところ、「食事の片づけ」「配膳」「掃除」など、日々の暮らしにかかせない家事が多くあがりました。

調査対象:183 人(複数回答、無回答含む)

特に食事まわりは、片付けや配膳など子どもにとって取り組みやすい作業が多く、お手伝いとして頼む機会が自然と増えるようです。

全体的に、日常の家事のうちのちょっとしたことを子どもに任せるようなお手伝いが、多くみられました。

報酬を渡す家庭は少数派? アンケートで見えた実情

では、そうしたお手伝いに対して、報酬を渡してしている家庭はどのくらいあるのでしょうか。

調査対象:183 人(複数回答、無回答含む)

アンケート結果では、「あげない」と答えた家庭が66人ともっとも多く、「あげることもある」が56人、「いつもあげる」は14人にとどまりました。

お手伝いに報酬を常に渡している家庭は、全体の約7%で、じつは少数派のようです。一方で、「あげることもある」といった柔軟な対応をしている家庭も、多く存在していることがわかりました。

「報酬は必要」派の声──“働いた分の対価”は学びのチャンス

お手伝いに対して「報酬を渡している」と答えた家庭は、どのような理由で報酬を渡しているのでしょうか。

家事労働も立派な仕事であると認識してもらうためには悪くないと思う。(東京都/女性)
・まずはキッカケを作ることによって、いずれは当たり前になることを望んでいるからご褒美は必要に感じる。(山梨県/男性)
お金や経済について学べる機会だと思う。(岐阜県/女性)
・子どものモチベーションに繋がるのであればたまにはあげてもいいかなと思っています。(愛知県/女性)
・お金の知識や将来お金を得る対価として仕事をすることの勉強になると思う。(愛知県/女性)

報酬を与えることを通して、「働くこと=対価がある」という感覚や、お金の価値について考える機会にしたいという教育的な視点がうかがえます。モチベーションを高めるきっかけとして、お小遣いを渡すという選択をしているご家庭があることがわかります。

「報酬は不要」派の声──“やって当たり前”の精神を育てたい

一方で、お手伝いに対して「報酬は渡さない」と答えた家庭では、どのような理由があるのでしょうか。

・家のことを手伝う、一緒にやることは当たり前のことだと思ってほしい。(東京都/女性)
・協力してこなすもので、報酬ほしさにやるものではない。(京都府/女性)
・家事は誰もがやらないと生きていけないことであり、報酬をもらってやるものではない。(岐阜県/男性)
・報酬のためではなく、相手のことを想ってお手伝いをおこなってほしい。(千葉県/女性)
・仕事を手伝うというより、一緒に仕事をすることや、新しいことができるようになるのが面白いようなので、特に報酬をあげることも考えていないし、子どもも欲しがらない。(北海道/女性)

家族の一員としての責任」や「思いやりの心」を育んでほしい──そんな願いから、報酬を渡さないという選択をしている家庭が多く見られました。お手伝いは自分の役割としてやるものだと伝えたい、という親の思いが感じられます。

“お手伝い”を豊かな時間にするために

お手伝いに対して報酬を渡すべきかどうか――。どちらが正解ということはなく、大切なのは、「お手伝いが子どもにとってどんな学びとなるか」「親子でどう向き合うか」を一緒に考えていくことなのかもしれません。

報酬があるからこそ達成感を感じられることもあれば、「ありがとう」というひと言が何よりのごほうびになることもあるでしょう。そのどちらにも共通しているのは、子どもの成長を願う、あたたかな愛情なのかもしれません。

それぞれの家庭らしい「ありがとうのかたち」を見つけながら、お手伝いの時間が、親子にとって楽しく、心豊かな学びのきっかけになるといいですね。

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構成・文/牧野 未衣菜

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