イスラエルとイランの衝突が終了
2025年6月24日、トランプ大統領がイスラエルとイランの完全かつ全面的な停戦を発表しました。この停戦は、12日間にわたる両国間の激しい軍事衝突を終結させるためのもので、トランプ氏の仲介による大きな外交的成果として注目されています。
しかし、停戦直後から双方による攻撃の応酬が報告され、その安定性や今後の中東情勢には不透明な要素が残っています。

停戦合意の背景と経緯
イスラエルとイランの対立は、宗教的・政治的な対立に加え、イランの核開発を巡る緊張が背景にあります。2025年6月13日、イスラエルがイランへの攻撃を開始し、6月21日にはアメリカがイランの核施設を攻撃しました。
この攻撃はイランに核開発を諦めさせる目的で実施されましたが、主要設備は完全には破壊されておらず、計画を数カ月遅らせるにとどまったとされています。
トランプ大統領はカタールの仲介を通じて停戦を働きかけ、6月23日に合意を発表。翌24日午後1時(日本時間)から、イランが先に攻撃を停止し、12時間後にイスラエルが戦闘を停止する手順で、24時間後に軍事的応酬が終結する計画でした。
両国は国内向けに勝利を強調しましたが、合意の具体的な詳細は明らかになっていません。
停戦は守られているの?
停戦発効直後、イスラエルがイランのミサイル発射を理由にテヘランのレーダー施設を空爆しましたが、イランはこれを否定するなど、双方が停戦違反を非難し合う事態となりました。
トランプ氏は特にイスラエルに自制を求めましたが、それ以降、現時点で大規模な攻撃は止まり、テルアビブやイランの都市では日常生活が戻りつつあるという見方もあります。それでも、両国の深い不信感から、停戦の持続性には疑問が残ります。

イランの核開発が進めば緊張が高まる可能性も
今後の中東情勢はどうなっていくのでしょうか。トランプ氏はイランとの協議を計画していますが、イランは核開発継続の姿勢を崩していません。停戦は一時的なもので、核開発が進めばトランプ政権が再びイランへの空爆を行うなど緊張が高まる可能性があります。
また、イスラエルとイランの敵対関係は根深く、停戦が一時的な休戦に終わる可能性があります。イスラエルはイランの核をめぐる小さな動きにも敏感で、軍事手段をためらわないでしょう。
今後も引き続き、中東をめぐる軍事的緊張が続くことになりそうです。
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記事執筆/国際政治先生
国際政治学者として米中対立やグローバルサウスの研究に取り組む。大学で教壇に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。