「夜郎自大」とは?
読み方と意味
まずは読み方と意味を確認しておきましょう。この言葉は『夜郎自大』と書いて「やろうじだい」と読みます。
実は大したことがないのに、世間知らずで自分の力量を知らずにいばることや、そのさまを表す言葉です。
「夜郎自大」の由来・語源
『夜郎自大』の由来は紀元前の中国にあります。
当時中国大陸で強大な帝国を築いていた漢(かん)という国の武帝という皇帝が、南部地域の小さな国々を征服しようとしていました。その手始めに夜郎国(やろうこく)に使いを送ったときのことです。
漢の大きさを知らなかった夜郎国の王は、使者に対して 「漢とわが国と、どちらが大きいのか」と尋ねました。
もちろん、漢のほうが強大なのに決まっているのですが、夜郎国の王は国外の事情について全く知らなかったので、こんな質問をしてしまったのです。
このことから、世間知らずでいばっている人々のことを「夜郎自大」(夜郎、みずからを大となす)と言うようになりました。
使い方を例文でチェック!
では、『夜郎自大』の使い方を例文でチェックしていきましょう。

1:県で一番の投手と言われて調子に乗っていたが、甲子園では自分が夜郎自大だったことを思い知った。
甲子園で全国屈指の好投手と投げ比べると、『夜郎自大』を実感することでしょう。
2:学生の間は夜郎自大で過ごせたが、社会人になるとそうはいかないと実感する。
学校を卒業し、社会でさまざまな年齢性別の人と出会うと『夜郎自大』と感じることも増えそうです。
3:町では神童と言われていたが、今思うと夜郎自大で恥ずかしい。
周囲の人が優しかった頃の自己評価は『夜郎自大』とも考えられそうです。
類語や言い換え表現は?
では、『夜郎自大』を別の言葉で言い換えたい場合、どのような表現を使うことができるのでしょう。『夜郎自大』に似た表現を探してみました。

1:井の中の蛙大海を知らず(いのなかのかわずたいかいをしらず)
『夜郎自大』と同じく、狭い範囲の中だけで生活し、外の広い世界や多様な知識について理解がない状態を指すことわざです。
2:夏の虫氷を笑う(なつのむしこおりをわらう)
冬まで生きられないがために氷を信じられない虫のことを表した言葉で、『夜郎自大』と同じく、広い世界を知らないだけでなく、その存在を信じられず受け入れられない様子を表しています。
3:お山の大将
『夜郎自大』と同じく、狭い範囲の中で自分が一番だと得意になっている人を表す言葉です。
4:針の穴から天を覗く(はりのあなからてんをのぞく)
『夜郎自大』と同じく、自分の狭い見識で大きな物事について勝手な判断を下す様子を表す言葉です。
対義語は?
では、『夜郎自大』の反対の意味に当たりそうな言葉にはどんなものがあるのでしょうか?
1:分をわきまえる(ぶをわきまえる)
自分の地位や身の程をよく知り、出すぎたことをしないようにする様子の「分をわきまえる」という言葉。『夜郎自大』とは逆の意味と言えそうです。「分」を「ぶ」と読むことに注意。
2:謙虚(けんきょ)
自分を偉いものと思わず、すなおに他に学ぶ気持ちがある態度の「謙虚」。こちらも『夜郎自大』とは逆の性格を表す言葉です。
3:大局観(たいきょくかん)
物事全体を俯瞰して、その状況や成り行きを的確に捉える能力や、そのように捉えた見方を表す「大局観」。こちらも『夜郎自大』とは逆の様子を表す言葉です。
英語表現は?
では、『夜郎自大』は英語ではどのように言い表すことができるのでしょうか。最後に『夜郎自大』の英語表現と言えそうな言葉をご紹介します。

1:be foolishly conceited
直訳すると“愚かな自惚れ“となり、『夜郎自大』と同じく自分の力量を過大評価している人に対して使われる言葉です。
2:ignorant of the world
“世間知らず“という意味があり、『夜郎自大』とも訳せそうです。
3:act with arrogance and recklessness
“横柄に軽率に振る舞う”という意味の言葉で、こちらも『夜郎自大』と言えそうです。
「夜郎自大」の意味と由来を知って、正しく使いましょう
日ごろ使うことは少ない『夜郎自大』という言葉。意味を覚えて使ってみてください。
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構成・文/kidamaiko

