「尿路感染症」ってどんな病気?原因や対処法、予防法を解説【小児科医・金井正樹先生監修】

「尿路感染症」という病気をご存知ですか?子どもの泌尿器系感染症の原因や対処法、予防法などを小児科医の金井正樹先生にお聞きしました。

Q:息子が熱を出し「尿路感染症」と診断されました。耳慣れない病名だけれど、どんな病気?

A「膀胱炎」など泌尿器系の感染症の総称です。

尿路感染症は、尿路(尿の通り道)に細菌が侵入して炎症が起こる病気。不調や不快感を言葉でうまく伝えられない年齢の場合、症状が進むまで病気に気づけないことも少なくありません。

尿路感染症はどんな病気?

腎臓でつくられた尿は、腎臓の一部であるにためられ、を通って膀胱へ。そしてから排泄されます。腎盂~尿道のどこかに細菌による炎症を起こすのが、尿路感染症です。

炎症を起こした部位によって「膀胱炎」「腎盂炎」などと呼び分けますが、部位が確定できない場合、「尿路感染症」と診断されます。

尿路感染症の原因は?

尿道から入ってきた細菌によって起こります。

原因となる細菌の80~90%は大腸菌です。通常、尿路は無菌ですが、尿の量が減ったり抵抗力が落ちたりしていると、菌が侵入して尿路感染症を引き起こすことがあります。子どもの場合、膀胱から尿管に尿が逆流することがあり、これも尿路感染症の原因になります。

どんな症状が出る?

感染した部位によっても異なりますが、3歳前後なら急な発熱で気づくことがほとんどです。

年齢が上がると、排尿時の痛み、尿の回数が増える、発熱、だるさ、脇腹や腰、背中の痛みなど(感染した部位によって症状が異なる)も訴えるようになります。2歳以下の場合は、発熱が主な症状。機嫌が悪い、食欲がない、、など、かぜに似た症状が見られることもあります。

病院に行くタイミングは?

子どもの場合、排尿時の不快感などを言葉でうまく伝えられないことも。放置すると症状が進んでしまうので、かぜの症状が見られないのに高熱が出た場合は、尿路感染症の可能性も考えて早めに受診しましょう。治療が遅れると、腎臓の機能に後遺症が残ることもあります。

どんな治療をするの?

病院では、結果がすぐにわかる尿検査を行います。検査結果と症状から尿路感染症と診断されると、飲み薬が処方されます。高熱が出ているときは、尿管や腎盂の炎症が重症化している可能性があるため、血液検査も行います。結果によっては、数日~1週間ほど入院治療が必要です。

自宅で気をつけることは?

体調に応じて普通に生活して構いませんが、治療中は水分を十分にとり、排尿を促しましょう。体内に菌が残っていると再発してしまうので、処方された薬は医師の指示に従って飲みきりましょう。

予防のためにできることは?

おもな原因である大腸菌の感染を防ぐためには、陰部を清潔に保つことが有効。

ひとりでトイレに行ける女の子には、排便後には前から後ろへ拭くことを教えておきます。また、おしっこを我慢すると尿の逆流が起こりやすくなるため、正しい排尿の習慣をつけましょう。子どもの排尿時の様子や回数を気にかけておくことも、早期発見に役立ちます。

記事監修

金井正樹|小児科医

東京都八王子市・金井内科医院院長。「国立小児病院」、米国の小児病院などで小児外科の臨床・研究を行い、2008 年より現職。診療科目は内科、小児科、小児外科、外科。保育園の園医、小・中学校の校医も務める。

『めばえ』2019年9月号 イラスト/小泉直子 構成/野口久美子

親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。

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