京都といえば、京料理や家庭で食べられている「おばんざい」などが有名ですが、その料理に欠かせないのが調味料。京都には、名だたる料亭やレストランから家庭の食卓まで、京都の食を支えてきた老舗の調味料専門店が数多くあります。
老舗の調味料専門店を訪れることで、京都ならではの味や、伝統的な製法を知ることができ、歴史ある店のたたずまいも楽しむことができます。また、京都でしか手に入らないものもありますから、旅の思い出とともに京の味を持ち帰ってみてはいかがでしょうか?
今回は、京都の名水を使って造られる「京・西陣 孝太郎の酢」と、代々からの製法を受け継ぐ「松野醤油」をご紹介します。どちらも昔から変わらぬ味を守りながらも、さまざまなニーズに合わせて開発された新しい商品が魅力で、京都を訪れたらぜひ立ち寄っていただきたい老舗です。
「京・西陣 孝太郎の酢」に行ってみた!
京都、西陣にある「京・西陣 孝太郎の酢」は、創業180年余にもなる老舗のお酢屋さん。周辺には寺社仏閣が多く、昔ながらの街並みの中に店舗があります。茶道の家元が集まるこの地域の地下水は、名水として知られています。
そんな京都の名水を使って、手間ひまかけてじっくり造られる、まろやかで味わい深いお酢や、自分好みのぽん酢を作れる「Myぽん酢体験」が人気のお店です。


添加物や化学調味料を一切使わないで造られる多彩なお酢
「京・西陣 孝太郎の酢」のお酢は、添加物や化学調味料が一切使われていません。そのため、賞味期限は短く、大型のスーパーなどでは取り扱われにくいのだとか。西陣の店舗もしくは、京都の中でも限られたお店で販売されています。

定番の「米酢」、人気の「すし酢」

「京あまり米酢」は、創業以来、変わらぬ製法でじっくりと時間をかけて造られる定番商品。長く京都の人に愛されているお酢です。
さらに「京風すし酢」も人気の商品のひとつ。ほんのり甘く、昆布の旨みが凝縮されているお酢で、炊き上がったご飯にかけるだけで、お寿司屋さんのような本格的な酢飯に仕上げることができます。また、しっかりと昆布の出汁が効いているので、寿司飯だけでなく、ピクルスやお漬物にも最適なのだそうです。
自分好みのぽん酢が作れる「Myぽん酢体験」
「何か楽しいことはできないのか?」と、始められたのがMyぽん酢体験。「京・西陣 孝太郎の酢」では、出汁と果汁の割合を調合して、自分好みのぽん酢を作ることができます。
まずは、どのぽん酢を作るのかを決めます。橙、すだち、ゆずの中から好きな果汁を選びます。

濃厚な出汁に選んだ果汁を入れて、テイスティング。もうちょっと果汁が多いほうが好きだったら、また足していく…、という具合で自分好みのぽん酢を作っていきます。

好みの味になったら、オリジナルのラベルを書いて、瓶に貼ってもらって完成です!


しかも、調合したレシピはお店で保管してくれ、電話で連絡すれば、またその通りに調合してもらえます。

Myぽん酢体験は、1日に4回、貸し切りで行われます。子どもにとっては食育にもなりますし、夏休みの自由研究にされる方も多いそうです。オリジナル感あふれるMyぽん酢は、旅のいい思い出にもなりますね。

【Myぽん酢体験】
・定員… 1~5名(ベビーカーもO K)
・所要時間… 約30分~1時間半
・開催時間… 10時、12時、14時、16時
※要予約(営業日の3日前まで)
【京・西陣 孝太郎の酢】
住所:京都上京区新町寺ノ内上ル東入道正町455
営業時間:9:00~17:00
休業日:第二第四土曜日、日曜祝祭日、盆、正月、GWなど長期休暇あり
「京・西陣 孝太郎の酢」の京風すし酢を使った「簡単ポテトサラダ」のレシピ
ほんのり甘く、旨みのたっぷり詰まった「京風すし酢」を使った簡単レシピを教えていただきました。マヨネーズを使わなくても十分おいしいですが、お好みでマヨネーズを入れてください。

【材料(2人分)】
・じゃがいも(男爵)… 中2個
・人参… 1/4本
・きゅうり… 1/2本
・玉ねぎ… 1/4個
・ロースハム… 2枚
・孝太郎の「京風すし酢」… 大さじ2
・塩コショウ… 適量
・マヨネーズ… お好みで大さじ1
【作り方】
1.じゃがいもとロースハムは、1cmほどのさいの目に切ります。
2.人参は皮をむいて細切り、きゅうりと玉ねぎは薄切りにして塩をふって、しんなりしたら塩を洗い流し、しっかり水分を絞ります。
3.1は耐熱容器に入れ、600Wの電子レンジで4~6分間、柔らかくなるまで加熱します。
4.3をボウルに入れ、マッシャーなどで潰します。
5.4に人参、きゅうり、玉ねぎ、ロースハム、京風すし酢を入れて、よく混ぜ合わせます。
6.塩コショウで味をととのえ、お好みでマヨネーズを入れ混ぜて完成です。
ほかにも「京・西陣 孝太郎の酢」のレシピブログでは、商品を使ったおいしい料理のレシピがたくさん載っています。
「松野醤油」に行ってみた!
京都市の北部にある鷹峯は、緑豊かで、秀吉が築いた御土居や、光悦寺や源光庵といった寺社もあり、自然と歴史が融合した地域。また、おいしい京野菜の産地としても有名です。


そんな鷹峯エリアにある「松野醤油」は、1805年(文化2年)創業の老舗のお醤油屋さん。伝統の味を守り、今もなお手造りで造られています。風味豊かでまろやかなコクがあるお醤油は、地元の人はもちろん、遠方から買いに来る方もたくさんいらっしゃいます。
代々の製法を守って造られるお醤油
「味が変わってしまったら、この味を求めて買ってくれはる人が困らはるでしょ」と、松野醤油のお醤油は、伝統の製造方法を守り、大きな木樽でじっくりと時間をかけて造られています。

店内はいろんなお醤油などがずらりと並び、一口にお醤油と言っても、こんなに種類があるのかと驚きます。


店内の奥の窓から見える大きな木樽は、お店の人に声をかけると、近くで見学させてもらうことも可能だそうです。近くに行くと大きな木樽は迫力満点。お醤油のいい香りが広がります。

人気は濃口醤油や刺し身醤油、万能調味料のつゆ
人気の商品は、本醸造の濃口醤油の「昔づくり こいくち」や刺し身醤油の「昔づくり さしみ」、万能調味料の「つゆ」です。

・「昔づくり こいくち」
本醸造の濃口醤油は、松野醤油に代々伝わる木樽で熟成された風味豊かな醤油。煮炊き物や炒め物などの味付けや、かけ醤油としても使える便利な一品です。
・「昔づくり さしみ」
伝統の大きな木樽で、濃口醤油の原材料、熟成期間の2倍かけて造られた、濃厚で贅沢なお醤油です。刺し身やお寿司のほかにも、赤身のステーキにも合います。
・「つゆ」
松野醤油の濃口醤油に出汁をブレンドした、濃縮タイプの「つゆ」は、お醤油の風味と出汁の旨みが効いた万能調味料です。だし巻き卵や、お吸い物、麺つゆなど、これ1本あれば、味付けが簡単に決まります。
味噌や佃煮なども人気
松野醤油の味噌もファンが多い商品のひとつ。量り売りをしてくれるので、いろんな味噌を試してみるのもいいですね。また、もろみや、柚みそ、金山寺みそなど、そのまま食べられる味噌も多く取り扱われています。


また、松野醤油の濃口醤油(こいくち亀印)で味付けされた、ちりめん山椒や佃煮はお土産としても人気。京都のおばんざいの定番であり、ご飯のお供としても最適です。


松野醤油の「つゆ」を使って作る「京風だし巻き卵」のレシピ
松野醤油の「つゆ」を使えば、簡単に京風だし巻き卵が作れてしまいます。京風のだし巻き卵は砂糖を使わずに、出汁を多めにした、甘くないだし巻き卵です。

【材料】
・卵… 2個
・松野醤油の「つゆ」… 小さじ1
・水… 大さじ2
・サラダ油… 適量
【作り方】
1.容器に水と松野醤油の「つゆ」を入れ混ぜて出汁を作ります。
2.ボウルに卵を割り入れ、ふんわりと混ぜ合わせます。
3.1に2を入れ、混ぜます。
4.卵焼き器に油をひき、温まったら、卵液を少しずつ入れて巻いて完成です。
京都を訪れたら行きたい老舗の調味料店「京・西陣 孝太郎の酢」「松野醤油」
西陣にある「京・西陣 孝太郎の酢」と、鷹峯にある「松野醤油」を紹介しました。どちらも歴史のある老舗です。伝統の味を守りながらも、新しい商品も多く開発されています。
昔ながらの京都の味を感じながら、お好みのお酢やお醤油などを探してみてはいかがでしょうか。

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構成・文・写真(一部を除く)/松田慶子(京都メディアライン)
