【東大卒教育アドバイザーが教えます】「うちの子、やる気がない…」そんなときは“To Do ビンゴ”! 宿題やタスクをゲーム感覚で楽しくクリア♪ 小さな成功体験が次のやる気へと

『10歳からの“勉強”こうりゃく! 頭がよくなる88ワザ』の著者で、東大卒の教育アドバイザー・清水章弘さんの執筆による好評連載。第4回は、子どもの「やる気」を楽しく引き出すための、おすすめのワザを紹介します。

いわゆる「やることリスト」とはひと味違う

「宿題しなさい!」「早く準備して!」毎日、お子さんに何度言っても動いてくれない…そんな悩み、ありませんか?「やるべきことはわかっているはずなのに、どうにも体が動かない…」、これは大人だけでなく、実は子どもたちも感じていることなんです。

習い事や学校の宿題、お手伝いなど、子どもたちの毎日にも「やらなきゃいけないこと」は意外とたくさんあります。無理やり「気合と根性」でやらせようとしても、親子ともに疲れてしまったり、かえってやる気をなくしてしまったりすることも少なくありませんよね。

そんな悩みを、ゲーム感覚で楽しく解決する画期的なアイデアがあります。それが “To Doビンゴ”。以前、僕がやっていたラジオ番組で、お笑い芸人「たんぽぽ」の川村エミコさんが教えてくれました。

To Doビンゴは、普通の「やることリスト」とは違います。まるでゲームのように、お子さんが「やりたい!」と前向きに取り組める仕組みです。やり方はとってもシンプル。

小5の生徒の塾での使用例

①マス目を用意する

まず、紙に「3×3」のマス目(9マス)を書きます。お子さんの「やること」の量に合わせて、「4×4」など、マス目を増やしても大丈夫です。

②「やること」を書き込む

そのマス目に、今日お子さんにやってほしいこと、お子さんが取り組むべきことを一つずつ書き込んでいきます。ひらがなやカタカナ、簡単な言葉で書いてあげると、お子さんにもわかりやすいですね。

③できたら丸をつける

「やること」が一つ終わるごとに、対応するマスに丸をつけます。

④ビンゴ達成!

縦、横、斜めのいずれか一列がそろったら「ビンゴ!」です! お子さんと一緒に「やったー!」と盛り上がって、次のビンゴをめざしましょう。このシンプルなルールの中に、お子さんの「やる気」を引き出すための面白い工夫が隠されているんです。

To Doビンゴが「やる気」を引き出す秘訣:子どもを動かす仕掛け

To Doビンゴには、子どもを動かすいくつかの楽しい仕掛けがあります。

1. ゲームみたいで楽しい! 「できた!」の喜び

To Doビンゴの一番の魅力は、やっぱり「ゲーム感覚」で楽しめること!

子どもはゲームや遊びを通して成長していきます。ビンゴという明確な目標があることで、「何をすればいいか」がはっきりとわかり、マスが埋まっていくのが目に見えるので「あとこれだけ!」という達成感が湧いてきます

一つひとつの「やること」をクリアするたびに、「できた!」という小さな成功体験が積み重なり、それが「もっとやりたい!」という次の行動への「やる気」につながっていくのです。

2. 「最初の一歩」を軽くする魔法:エンダウド・プログレス効果

ちょっと難しい言葉ですが「エンダウド・プログレス効果」というものがあります。これは、目標に進んでいる感覚を持つことが、より一層の努力を引き出すというもの。「千里の道も一歩から」と言うように、最初の一歩さえ踏み出すことができれば、その後は意外とはかどることも少なくないのです。

ToDoビンゴのタスクに、2~3個容易にクリアできるものを作っておき、初動に勢いをつけてみてください。特に「真ん中」のマスを賢く使うのがポイントです。

ビンゴの「真ん中」のマスは、縦・横・斜めのどのビンゴにもつながりやすい特別な場所です。「これならすぐできる!」と思える、いちばん簡単な課題を入れましょう。例えば、「ランドセルの中を整理する」「鉛筆を削る」「今日の宿題の準備をする」など、数分で終わるような「小さなやること」がおすすめです。

「鉛筆を削る」でマス目ひとつクリア!

3. 課題は「小さく」分割する: 一つのマスは「10分以内」に

各マスに書く「やること」は「10分以内」で終わるもの、場合によっては「数分」でパッとできるような「小さいやること」に設定することがポイントです。

例えば、「宿題の漢字を10個書く」「お手伝いで靴をそろえる」「今日のドリルを1ページだけやる」など。このように「やること」を細かくすることで、「大変そう…」という気持ちが減り、最初の一歩を踏み出すハードルがグッと下がります。

「問題集9ページ」は、3ページずつ3つの課題に分割するなど、同じ内容や教材であっても、分量が多い場合には積極的に分割するようにします。個数が増える場合は、マス目を「4×4」や「5×5」に増やすのもいいでしょう。逆に課題が9個もないときは、ボーナスとして「〇」だけ書いておきましょう。

ビンゴを達成したらもらえる「ご褒美」を、あらかじめ決めておくのもおすすめです。例えば、「動画を見る時間を1分延長する」「好きなおやつを一つ食べる」など、「ちょっとうれしい」くらいのものに設定するのがポイントです。

To Doビンゴは、学習だけにとどまらず、様々な場面で活用できます

・お手伝い:お風呂掃除の一部、洗濯物をたたむ、自分の部屋のおもちゃを片付ける、ゴミをまとめるなど。

・習い事の練習:ピアノの練習を15分する、サッカーのリフティング練習をする、書道の課題を1枚書くなど。

・忘れ物防止:明日の時間割をそろえる、ハンカチとティッシュを準備する、必要なものをカバンに入れるなど。

「いろいろ工夫して使ってみてください」と清水先生。

To Doビンゴは、単なる「やることリスト」ではありません。それは、ゲームの楽しさと「できた!」という達成感で、日々のやるべきことを少し楽しくする工夫です。さあ、今日からご家庭でTo Doビンゴを始めてみませんか?

最新著書『10歳からの“勉強”こうりゃく! 頭がよくなる88ワザ』

清水先生の、初の小学生向けの本が発売中! 勉強のやり方、集中力や暗記力をUPするワザ、やる気の出し方、緊張やイライラの対処法、計算力や読解力の上げ方、理科や社会がもっと楽しくなるポイント…などなど。「面白い!」「やってみよう!」と思える88個のワザが、イラスト付きで楽しく紹介されています。

子どもだけではなく大人も楽しく読める1冊、ぜひ手に取ってみて。

前回の連載はこちら

自由研究って何をしたらいいの? 子どもの「問いを立てる力」を伸ばすチャンスに、親ができる3つのサポートを紹介! 《vol.3》
自由研究の難しさ「何をすればいいかわからない!」 いよいよ夏休みが目前に迫ってきました。夏休みの宿題、特に「自由研究」に頭を悩ませる...
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勉強を「好き」または「得意」にする88個のワザを、《勉強こうりゃく》《メンタルこうりゃく》《算国理社をこうりゃく》の3つにわけて紹介!

例:先生の「つもり」で勉強すると効果アップ/雨の日は記おく力が3倍あがる!?/音楽をきくなら勉強する「前」/心があれたらセルフ実きょう中けい/図形センスがあがる部屋の「間取り図」/4コママンガで物語文&作文の練習 など

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子どもの「勉強って楽しい!」のために親ができること

記事執筆

清水章弘 教育アドバイザー

1987年、千葉県船橋市生まれ。私立海城中学高校、東京大学教育学部を経て、同大学院教育学研究科修士課程修了。中学高校時代に生徒会長、サッカー部、応援団長、文化祭実行委員などを経験しながら東京大学に現役で合格。自身の時間の使い方や効率的な勉強法を体系化し、「勉強のやり方」を教える塾プラスティーを起業。現在は東京・京都・大阪で運営。創業以来、公教育支援を続けており、青森県三戸町教育委員会の学習アドバイザー等を務めてきた。

著書は『東大式ふせん勉強法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など13冊。累計40万部を突破、海外翻訳も多数。TBS「ひるおび」YTV「情報ライブ ミヤネ屋」MBS「よんちゃんTV」コメンテーター、北海道テレビ「イチモニ!」などに出演。朝日新聞・朝日小学生新聞で執筆・連載中。プライベートでは2児の父。

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