子どもの盗撮被害が増えている?
子どもの盗撮被害はなぜ増えているのでしょうか? 現在起こっている盗撮犯罪の傾向や、学校生活における危険性の高さなどを確認していきます。
盗撮の被害は分かりにくい
近年はスマートフォンや隠しカメラによる子どもの盗撮被害が増加しています。自宅近くでも、小さな子どもが一人でいれば盗撮される可能性があります。
盗撮は、被害が分かりにくいという点でやっかいな犯罪です。公園などで保護者のふりをしてスマートフォンを向けていても、周囲の人には盗撮に見えないでしょう。特に海やプールなどの水遊びをするときは要注意です。
盗撮を防ぐには、下着などが見えないよう工夫することが効果的です。小さな子どもなら、スカートの下にスパッツをはかせたり、膝下のズボンを選んだりするのがおすすめです。
学校の教員や医師が加害者となるケースもある
盗撮事件では、加害者が学校の先生や塾・スポーツクラブの指導者である事例も珍しくありません。学校にいるから、先生だからといって安心はできないということです。
特に狙われやすいのは、トイレや教室で着替えるときです。医師が学校の健康診断を悪用するケースも起こっています。
対策の一つとして、やはり保護者の防犯意識の高さをアピールするのが有効です。常に保護者の目が光っていれば、加害者は手を出しにくくなるからです。
クラブなどで子どもが泊まりに行く場合、保護者は同行するスタッフの身元について確認するのもよいでしょう。
同じ学校の生徒が加害者になることも多い
同じ学校の生徒が盗撮の加害者になることも増えています。よくあるのは、同じクラスの女子に対して性的興味を抱いた男子が盗撮するケースや、男子のグループ内で立場の弱い生徒に盗撮を強要するケースです。
例えば、以下のような盗撮事件が起こっています。
●更衣室として使われる教室に、盗撮用の学習タブレットが設置されていた
●修学旅行に行った際、旅館で入浴中に盗撮された
●高校のトイレに設置した小型カメラで盗撮された
痴漢加害者や小児性加害者などの治療を専門にしている斉藤章佳氏が2021年にまとめたところによると、盗撮加害者の30%は10代のうちに盗撮を始めていました。10代の加害者が少なくないことがうかがえます。
出典:あなたの子どもは大丈夫? 盗撮の“加害者”にさせないために – 性暴力を考える| NHK みんなでプラス
盗撮被害が増加した背景

盗撮被害が増加した背景として、スマートフォンで簡単に盗撮できることや、盗撮は重大な犯罪だと思われていないことが挙げられます。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
スマートフォンで簡単に盗撮できる
盗撮被害が増加した背景にはスマートフォンや小型カメラの普及があります。スマートフォンやタブレットの使用が当たり前になり、中高生が学校に持ち込むのも比較的簡単です。
盗撮に使える小型カメラもネットですぐに入手できます。小型カメラはもともと、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントの被害者などが被害の証拠を集めるために開発されました。
ペン型、眼鏡型など、すぐにはカメラだと分からないものもあります。このように、誰もが簡単に盗撮できる環境が被害の増加につながっています。
盗撮は重大な犯罪だと思われていない
日本特有の背景として、盗撮は重大な犯罪だと思われていないことが挙げられます。盗撮画像・動画が掲載されたアダルトサイトに簡単にアクセスできるため、盗撮は「誰でもできるような簡単なこと」「多くの人がやっている軽い犯罪」と認識されやすくなっています。
盗撮された被害者は大きな精神的ダメージを負いますが、加害者の多くは盗撮が被害者をどれだけ傷つけるか自覚しないまま犯罪を行います。
子どもが被害者・加害者になるのを防ぐには、スマートフォンを持つ年齢になったとき、盗撮が重大な犯罪であることをしっかり教えることが重要です。
出典:性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律 第2条| e-Gov 法令検索
盗撮を防止するための方法

盗撮を防止するための方法を紹介します。新しくできる「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」いわゆる「こども性暴力防止法」もチェックしておきましょう。
まずは保護者が防犯意識を高め情報共有する
保護者が防犯意識の高さをアピールすることは、加害者が近づきにくく犯罪を犯しにくい環境につながります。
現在問題になっている犯罪をニュースなどで調べ、予防を実践しましょう。不審者や近所の事件に関する保護者同士の情報共有や、学校との連携も大切です。
また、塾やスポーツクラブなどを選ぶときは、2026年に施行される「こども性暴力防止法」の認定を受けた場所を選びます。
この法律は日本版DBSとも呼ばれ、教師や子どもと長く接する仕事から、性犯罪歴のある人を遠ざけて子どもを守る制度です。
出典:学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律 || e-Gov 法令検索
:こども性暴力防止法について|こども家庭庁
親子で盗撮について話し身の守り方を学ぶ
次に、親子で盗撮についての知識を共有し、子どもが自分の身の守り方を学ぶ必要があります。話すときのポイントは、子どもの意見を聞くことです。親が一方的に教えると反発して実行しない可能性があります。
例えば、盗撮の問題を親が伝えて子どもに対策を考えさせるなど、双方向的なコミュニケーションの方が効果的です。
防犯のような重めの話題を親子で共有するには、普段からネガティブなことも話し合える関係作りが重要です。
普段から盗撮対策を実践する
盗撮が起こりやすいのは、学校や外出先のトイレ、更衣室などです。そのため、普段から実行できる盗撮対策として、トイレや更衣室に不自然なものが置いてないかチェックする習慣が効果的です。
トイレで盗撮用のカメラの有無を確認するときは、コンセントやフックの位置、芳香剤や予備のトイレットペーパーの場所がチェックポイントになります。
更衣室の場合は、不自然な場所にある小物や箱に警戒します。違和感を覚えた場合は、別のトイレを利用するのが望ましいでしょう。
更衣室なら、物陰で着替えたり肌を見せないように着替えたりできます。駅やエレベーターも盗撮が起こりやすいので、周囲に警戒が必要です。

便利な盗撮カメラ発見器
小型カメラと同じように、最近は盗撮カメラ発見器も開発されています。盗撮カメラ発見器には光学式と無線式があり、検出方法が異なります。
光学式とは、カメラに必ず付いているレンズをLEDライトで見つけるタイプで、無線式はカメラの電波をキャッチして見つけるタイプです。
盗撮用のカメラは無線が多いため、光学式の方が幅広く対応できますが、光を当てて探しレンズを見つけるには多少の練習がいります。無線式は手軽に使用できる点がメリットです。
旭電機化成の盗撮カメラ発見器シリーズは、小型で学校に持っていきやすく価格も抑えめです。
【光学式のおすすめ】
旭電機化成「隠しカメラのレンズを光って発見! スマイルキッズ 盗撮カメラ発見器 AWT-03」

【無線式のおすすめ】
旭電機化成「発信電波をキャッチして音と光でお知らせ! スマイルキッズ 盗撮・盗聴発見器II AWT-02」

もし子どもが被害に遭ってしまったら?
考えたくないことかもしれませんが、子どもが被害に遭ったときの対応をシミュレーションしておく必要もあります。証拠の保存や専門家への相談など、大まかな対応を説明します。
証拠を保存し専門家などに相談する
万が一、学校で子どもが被害に遭ってしまった場合、必要なのはすぐに証拠を確保することです。証拠を手に入れたら跡形もなく消したくなるかもしれませんが、学校や加害者に対して被害を証明するものです。
十分な対処をするためには、できるだけ早く学校・警察・弁護士などに相談する必要もあるでしょう。
ただし、加害者が同じ学校の生徒や教師だった場合、学校側が態度をはっきりさせず情報共有が不十分なことがあります。場合によっては教育委員会や行政に訴えることもできます。
相談窓口:警察の性犯罪被害相談電話
#8103(ハートさん、通話料無料)
出典:こどもを性被害から守るために周囲の大人ができること | 政府広報オンライン
被害者の支援が大切
一方、被害者へのメンタルケアや登校支援も非常に重要です。適切なケアやサポートを受けられないと、被害者は心の傷をより深めてしまう可能性があります。
保護者が子どもをサポートするには、注意しなければならないことがあります。一つ目は、被害に遭った子どもを責めないことです。「あなたが不注意だったから、こんな目に遭った」と言った言葉は禁句で、子どもの気持ちを否定せず寄り添いましょう。
二つ目は専門家の助けを求めることです。プライバシーの保護も含め、スクールカウンセラーや支援機関との連携が必要になってきます。法的責任を追及するなら弁護士に相談するのがおすすめです。
普段から何でも話し合える親子関係を
現代では、盗撮は見知らぬ不審者が行う犯罪とばかりはいえません。子どもが通っている学校やスポーツクラブの先生・生徒が加害者になっても不思議はない状況です。
子どもを被害者にしないためには、防犯意識を高めることが大切です。親子で盗撮の問題を話し合い、子どもが自発的に適切な予防対策を実行できるように促しましょう。
また被害にすぐ気付くためにも、普段からポジティブなこともネガティブなことも話し合える親子関係が肝心です。
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構成・文/HugKum編集部