目次
加入前の原さんとのエピソード、そして映画共演者との特別な時間
――原嘉孝さんをはじめ、共演者のみなさんと過ごした時間で印象的だったことはありますか?
寺西さん:原の撮影自体は本当に一瞬で終わったんです。それなのにその後は現地に残っていて、サウナ帰りにマネージャーと一緒に現場へ遊びに来ていたこともありましたね(笑)。
ちょうどこの作品の撮影をしてから2日後くらいにオーディションが始まりました。お互いに受けることは口にしていなかったものの、どちらもなんとなく察していて。オーディションには課題があったので、ホテルで一緒に振り付けを練習したことをよく覚えています。

また、室龍太くんや高田翔くんとも久しぶりに同じ現場に立てて、同じ環境で頑張ってきた仲間がいることは素直に心強かったです。みんなそれぞれ短い滞在だったにも関わらず、空き時間に顔を出してくれたり、現場の空気を盛り上げてくれたりと、“映画のチーム”としてよい雰囲気を作ってくれました。
――クランクインが終盤のシーンからだったので、終盤に登場する西岡德馬さんとのシーンが最初にあったそうですが、印象に残っていることを教えてください
寺西さん:初めての主演映画の現場に西岡さんがいるっていうのは、衝撃ではありました。やはり誰もが知る名優さんで、そんな方と対峙する役をいただけたのは、すごくありがたいと思いながら演じました。
クランクインの前日だったと思うのですが、食事に連れていってくださいました。その場で少しお話しできたことも印象に残っています。もちろん緊張もしましたが、それ以上に楽しく撮影ができました。

寺西さんが演じた宇佐美蓮という人物、そして役づくりについて
――役を演じるうえで意識したこと、また宇佐美蓮はどんな人物だと感じましたか?
寺西さん:蓮という人物には、「困っている人を助けたい」という想いが最初から根づいていると感じていました。探偵としての“らしさ”を過度につくり込むよりも、彼のまっすぐさや自然な優しさがにじむように意識して演じました。
物語が進むにつれて、自分の弱さや過去を人に見せる場面があって、そこは蓮自身の大きな成長だと思いました。最後に小さな子どもへ想いを受け継いでいくようなシーンもあって、蓮という人物がひと回り大きくなるのを感じました。
初めて歩いた天文館の街で感じた魅力

――天文館の街の雰囲気はどうでしたか?
寺西さん:事務所の先輩のツアーで鹿児島に行ったことはあったのですが、長く滞在したり、街を歩いたりしたのは初めてでした。だからこそ「すごくいい場所に巡り合えた」「いい場所を教えてもらったな」と思いましたね。
スタッフさんやキャストの中にも鹿児島出身・在住の方が多くて、おいしいお店に連れていってもらったりもして、本当にいい時間を過ごせました。探偵の相棒・山下健斗役の肥後遼太郎くんも鹿児島出身なので、地元の話をいろいろ教えてもらいました。彼の方が先に撮影に入っていたこともあって、撮影に入る前に作品の雰囲気なども彼から聞いたりして、密にコミュニケーションを取れたと思います。
天文館は昔ながらの商店街やお店がそのまま残っているのが素敵でした。自分の地元にはそういう場所があまりないのでそれを新鮮に思うのですが、でもどこか懐かしさを感じる街で、それがとても魅力で、印象に残りましたね。

――天文館にお気に入りの場所はありますか?
寺西さん:撮影が割と短くプライベートの時間はあまりとれなかったんですが、1人でサクッと食事に行くことはありました。その中で3回ほど通ったお店があって、アサリなどの貝がたっぷり入ったお味噌汁を出してくれるんです。そこで定食を食べて、すぐホテルに戻ってセリフを覚える……、そんな過ごし方もしていました。居心地もよくて食事もおいしかったので、また鹿児島を訪れる機会があれば、行きたい場所ですね。
映画初主演を経たこれからの目標
――初主演映画に込めた想い、そして主演として意識したことを教えてください
寺西さん:最初は「映画出演が決まった」とだけ聞いて喜んでいたんですが、直前になって「主演だよ」と知らされて驚きました(笑)。撮影当時はオーディションを受けることは決めていましたが、どうなるかは分からない状況でした。いただいたお仕事として、いつも通りしっかり向き合おうという気持ちで臨んでいましたね。
ただやはり「初主演映画」というのは最初で最後のもの。この作品は僕にとっての“初主演作”としてずっと残るので、主演に選んでいただいたからには、皆さんにちゃんと還元できるように、観てくださる方が「よかった」と思える作品にしたい、そんな想いを持って臨みました。
主演といっても自分ひとりでは成り立たないので、共演者やスタッフの皆さんの力を借りながら、肩肘を張らずに一緒に作り上げていくことを大切にしました。無理に頑張りすぎるのではなく、自分にできることを精いっぱいやる。それが結果的に主演としての役割につながったのかなと思います。
――個人としてでもグループとしてでも、今後挑戦してみたいことや目標はありますか?
寺西さん:デビューしてから本当にいろんなことをやらせていただいていて、ありがたいなと思っています。その中で、実は以前から「貝のお仕事をしてみたい」と思っているんです。貝のお仕事って何だよ、って思われるかもしれませんが、僕はとにかく貝が好きで(笑)。一度決まりかけたこともあったんですが、残念ながら流れてしまって……。なので、まだ実現できていないので、もしそういう機会があれば、ぜひ挑戦してみたいですね。
鹿児島・天文館を舞台に描く人情探偵物語

南九州最大の繁華街・天文館。アーチ型のアーケードに昔ながらの商店が立ち並び、人情味あふれる温かな街並みが広がるこの場所が、物語の舞台です。どこか懐かしさと活気が同居する街の空気は、寺西拓人さんが演じる“困っている人を見過ごせない探偵”・宇佐美蓮の優しさとも自然にリンクし、作品全体の人情味ある世界観を支えています。
撮影中には、地元出身のキャストやスタッフとの交流、名物・キビナゴのお刺身との出合いなど、土地ならではの体験も多くあったそう。寺西さん自身も「街の空気に助けられた」と語っており、こうした天文館の温度感が、本作の持つあたたかさを引き立てています。
あらすじ
南九州一の繁華街として知られる鹿児島県の天文館を舞台に、探偵の青年と街の人々の絆を描いた人情ドラマ。さまざまな事情を抱える人々が行き交う天文館で宇佐美蓮(寺西拓人)はバーテンダーの仕事をしながら、ひそかに探偵として街の人たちの困りごとを解決するべく奔走していた。そんなある日、蓮は相棒の山下健斗(肥後遼太郎)と共に、スリ事件を起こした橋口凪(大原優乃)を追いかける。シングルマザーで夫から逃げてきたと蓮たちに明かす凪を助けた蓮たちは、天文館エリアの再開発をめぐる巨大な陰謀に巻き込まれていく。
迫力のアクションシーンもみどころ
本作のみどころのひとつが、迫力あるアクションシーンです。寺西さん自身も「振り返ってみると一番印象に残っているのはアクションだった」と語ります。自転車に乗って疾走する場面や激しい立ち回りなど、これまでにない挑戦が数多く盛り込まれています。
脚本を読んだ段階では「血を吐いたり、怒って殴って壁を打ちつけたり…どうやって撮影するんだろう?」と想像がつかなかったそうですが、実際に撮影してみて「こうして映像になるのか」と学びが多かったと振り返ります。初主演映画での新たな挑戦は、寺西さんにとっても忘れられない経験になったようです。
『天文館探偵物語』作品情報
12月5日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開中
主演:寺西拓人
出演:大原優乃 肥後遼太郎/室 龍太 高田 翔 原 嘉孝(友情出演)/
SHIGETORA 西田聖志郎 新名真郎/西岡德馬
監督・脚本: 諸江 亮
企画・原案・プロデュース:嶋田 豪
音楽:朝倉紀行
主題歌:C&K「相思相愛 with SOIL&”PIMP”SESSIONS」(ユニバーサル ミュージック)
挿入歌:宮崎奈穂子「Love Forever」(作詞・作曲:犬飼伸二)
エグゼクティブプロデューサー:肥後潮一郎 新名真郎/プロデューサー:星野晴美 西田建一/アソシエイトプロデューサー:麻生直希/協力プロデューサー:松平義之 羽子田幸一 加藤 衛
製作支援:かごしまフィルムオフィス
ロケ協力:鹿児島市 We Love 天文館協議会 鹿児島レディスカレッジ ヘアーアート学科
製作:アイエス・フィールド/「天文館探偵物語」製作委員会
配給:アイエス・フィールド/S・D・P
Ⓒ2025「天文館探偵物語」製作委員会
公式サイトは>こちら
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取材・文/やまさきけいこ
