国税庁・国税局・税務署の違いは何? それぞれの役割を解説【親子で学ぶ現代社会】

一般的な会社員またはその家族として日々を過ごしていれば、生活の中で国税庁・国税局・税務署と関わりを持つことはまずないはずです。そのため、この3機関の違いを正しく理解できていない人も多いでしょう。国税庁・国税局・税務署の定義や違いを解説します。

国税とは?

国税庁と国税局には、「国税」という言葉が共通して使われています。「税金」という言葉が身近である一方で、「国税」という言葉をしっかり理解できていない人もいるかもしれません。そもそも国税とは何なのかを解説します。

国が徴収する税金のこと

税金はどこに納めるかによって名前が変わってきます。国税とは国に納める税金のことです。一方、都道府県や市区町村に納める税金「地方税」です。

国税に分類される代表的な税金には下記のようなものがあります。

・所得税
・法人税
・相続税
・贈与税
・消費税
・酒税
・たばこ税
・自動車重量税
・印紙税
・登録免許税

一方、地方税に分類される税金の一例は以下の通りです。

・住民税
・事業税
・固定資産税
・地方消費税
・自動車税
・都市計画税

国税庁とは

国税庁の基礎知識を解説します。定義と役割を知り、「国税庁って何?」と聞かれたときにしっかり説明できるようになりましょう。

税金の徴収を担当する行政機関

「国税庁」とは、国民から税金を集める権限を与えられた行政機関のことです。

国税庁は、1949年に当時の大蔵省(現:財務省)の税金を集める仕事を担当する部門として設立されました。現在は財務省の外局(特殊な仕事を担当する直属の行政機関)として設置されています。

国税庁の使命は以下の通りです。

納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する。

出典:Ⅰ 国税庁について|国税庁

国税庁の仕事は、自ら納税者から税金を取ってくることではなく、納税者がすすんで税金を納めてくれるように働きかけることといえるでしょう。

国税庁の主な仕事

国税庁の仕事は設置されている部署ごとに異なります。

国税庁を組織としてコントロールする司令塔としての役割を果たしているのが長官官房です。長官官房では、社会の変化に対応するための改革案を考えたり、他の省庁に代表される外部との調整を行ったりします。

課税部では、税務署を運営するための企画を考えたり、納税者に対して正しい申告を促すための情報提供を行ったりします。

徴収部は、税金の基本である「公平性」を守る部署です。具体的には、税金を支払うように求める権利を管理したり、税金を滞納した人に対して国税を取り立てたりします。

調査部は、資本金が1億円以上の大規模な法人を対象に、悪質な脱税行為の調査を行う部署です。悪質な脱税を摘発する部署です。

国税局とは

ここからは「国税局」の基礎知識を解説します。国税庁と混同しないよう、しっかり定義と役割を理解しておきましょう。

国税庁の下に設けられた地方組織

国税局は国税庁の下部に置かれた地方支分部局(国の行政機関が行うべきとされる仕事を分担して処理するための機関)です。

国税局の仕事は、国税庁の指示の下、さらにその下に設置されている税務署に対して指導・監督を行うことです。税務署に対する指導・監督だけでなく、部署によっては、自らも大規模法人を対象とした調査も行います。

札幌、仙台、関東信越、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、熊本の10国税局と、沖縄国税事務所が設置されています。

国税局の主な仕事

国税局も国税庁同様、さまざまな部署が存在し、それぞれに異なる仕事を担当しています。

査察部は大規模な脱税事件の摘発を担う部署です。悪質な脱税行為が疑われる人物に対して調査を行い、検察に脱税を告発します。査察部の調査は、原則強制的に行われます。

資料調査課は課税部の下に組織されている課です。税務署では対応困難な比較的規模の小さな法人の脱税事件を調査します。資料調査課が行う調査は、基本的に任意で行われます。

調査部は資本金が1億円以上の規模を誇る法人を対象に調査を行う部署です。対象となる法人の本社や本店がある地域の国税局が調査を担います。

税務署とは

国税庁と国税局に関する知識を得たのであれば、併せて「税務署」に関する知識を身に付けておきましょう。税務署の基礎知識を解説します。

国税局の下に設けられた執行機関

国税庁や国税局の指導や監督に基づき、国税を集める仕事を担うのが税務署です。確定申告書や開業届の提出時にお世話になる税務署は、一般の納税者にとって最も身近な存在といえるでしょう。

税務署は全国に524カ所設置されており、国税局の下に位置付けられています。

全国各地に存在する税務署は、納税者の所在地に応じて管轄が決められています。最寄りの税務署が納税者の所在地を管轄していない場合もあるため、税務署に出向く際には事前に管轄の税務署を調べてからにしましょう。

税務署の主な仕事

税務署も国税庁や国税局と同様に、さまざまな部門がそれぞれの担当業務を行っています。

管理運営部門は、納税者が提出する申告書や申請書などを受け付ける窓口を務める部署です。納税証明書を発行したり手続きに用いる用紙を交付したりもします。このような仕事を担う管理運営部門は、一般の納税者と最も近いところに存在する部署といえるでしょう。

徴収部門は、国税が適切に納付されるように納税者に対して指導を行ったり、税金を滞納している人の相談対応や、納付の督促を行う部署です。適切に納税を行っていれば、税務署の徴収部門と関わることはおそらくないでしょう。

個人課税部門は主に所得税に関する業務を担当し、個人事業主などに対して申告指導や相談対応を行います。

国税庁・国税局・税務署は異なる仕事を担当している

国税庁と国税局は字面が似ているため、その役割や仕事内容を混同しがちです。しかし、国税庁と国税局の定義には明確な違いがあり、担当する業務もまったく異なっています。国税庁と国税局、そして税務署の違いを理解し、納税者としての基本的な知識を身に付けましょう。

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構成・文/HugKum編集部

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