《7つのおもしろ勉強法》「暗記ドア」「ランダム要素」など、 ちょっとした“楽”テクで子どものモチベはUPする【東大卒教育アドバイザー連載vol.8】

『10歳からの“勉強”こうりゃく! 頭がよくなる88ワザ』の著者で、東大卒の教育アドバイザー・清水章弘さんの執筆による好評連載。第8回は、清水先生がやってみて、実際に子どもたちに効果があったと思う楽しい勉強法を7つ紹介!

勉強の第一歩を軽くする“単純作業”

「勉強しなさい」と声をかけても、子どもがすぐに机に向かうとは限りません。むしろ、「今からやろうと思ってたのに!」と反発したり、だらだら時間を過ごしてしまったりすることの方が多いかもしれません。

脳科学の研究では、単純作業をすることで、やる気を喚起することがわかっています。学習前にちょっとした作業をすることで、スムーズに学習に入りやすくなるのです。

おすすめは「1分間お題チャレンジ」

用意するものは、紙と鉛筆とお題だけ。「赤いものをできるだけたくさん書き出してみよう」「果物の名前を1分以内にどれだけ思いつけるかやってみよう」といった簡単な課題を短時間で取り入れると、子どもは遊びの延長のような感覚で手を動かします。このように手を動かすことが脳を刺激し、そのまま学習へ移りやすくなるのです。

親子で競争するのもおすすめです。

大事なのは、勉強を始めるハードルをできるだけ低くすること。これだけで学習の流れがぐっとスムーズになります。

モチベーションが下がる要因を取り除く

次に考えたいのは、家庭学習の環境づくりです。

あえて雑音がある場所で学習

たとえばリビング学習は、多くの家庭で取り入れやすい方法です。自分の部屋にこもって静かに勉強する方がいいのでは? と考える親も少なくありませんが、リビング学習には「わからないことをすぐに質問できる」という大きな利点があります。

さらに、多少の生活音や会話の中で勉強することが、集中力を鍛える訓練にもなります。雑音がある場所での学習に慣れておくことで、本番の試験でも実力を発揮できるという利点も。

可能であれば、親も一緒に新聞や本を読むなどすると、
子どもは「一緒に頑張っている」という安心感を持てます。

学習を始める時間を“毎日同じにする”ことも大切

たとえば「夕食前の午後五時になったら宿題スタート」と決めておけば、子どもはだんだん「この時間になったらやるものだ」と体で覚えていきます。勉強時間は最初から長くなくても構いません。5分や10分でもよいのです。

大切なのは、学習の始まりを生活のリズムに組み込むこと。これにより「今日はやる気が出ない」といった気分に左右されにくくなります。

家でできる! 楽しい学習法【7選】

では、具体的にどのような方法が家庭で実践できるでしょうか。ここからは、実際に多くの子どもたちに効果があった「ちょっと楽しい勉強法」を紹介していきます。

①「暗記ドア」

やり方はとてもシンプルで、付せんの表に問題を、裏に答えを書き、それを冷蔵庫やドアに貼るだけです。答えられたらドアを開けてオッケー!

「ドアを開ける前に必ず問題に答える」「3回連続で正解できたら付せんをはがす」といったルールを設定すると、日常生活の中で自然に学習が進みます。勉強が「やらされること」から「遊び」に変わり、子どもは自分から問題に挑戦するようになります。

付せんの裏に答えを書いておきます。

②「おうち英語図鑑」

家具や日用品に英単語を書いた付せんを貼っていきます。たとえばテレビは“television”と書き、発音もカタカナで「テレヴィジョン」と添えておくと覚えやすくなります。

冷蔵庫や洗濯機、コンセントなど、日常的に目にするものに英語のラベルをつけるだけで、英語が生活に溶け込みます。週末には付せんを外して元の場所に戻すタイムアタックをしてみると、家族で盛り上がりながら英語を定着させることができます。

③「タイムトライアル」

ドリル学習を楽しくするには「タイムトライアル」が効果的です。1ページを解くのにかかった時間を計測し、ノートの隅に記録しておきます。次に同じページを解くときに前回より時間を短縮できれば、子どもは「勝った!」という達成感を得られます。

親がストップウォッチを持って「審判」をすると、
スポーツの試合のようにゲーム感覚で取り組めます。

④「ランダム要素」

たとえばサイコロを振って出た目の数だけ問題を解いたり、出た目の数×3分の休憩時間をとったりするだけでも、子どもは「次は何が出るかな」とワクワクします。

また、親が用意した「ごほうびカード」を引く方式も盛り上がります。「お弁当に唐揚げを1個増やす」「週末にアイスを買う権利」といった小さなごほうびがあるだけで、子どもは勉強への意欲をぐっと高めます。

⑤「熟語書き出しチャレンジ」

国語の力を伸ばすための工夫も紹介しましょう。10分間でできるだけ多くの熟語を書き出すという単純なゲームですが、語彙力を鍛える効果があります。

さらに、学んだ言葉を使ってオリジナルの例文を作る「例文づくり学習法」は、特に想像力豊かな子どもに人気があります。1つの言葉から短い文を作ることから始め、慣れてきたら複数の言葉を組み合わせて小さな物語にしてみる。そうすることで作文力や表現力も伸びていきます。

⑥「意味から漢字クイズ」

知っているはずの漢字でも、辞典を開くと意外な意味が載っていることがあります。たとえば、「最も優れた。」「同じ。」「ちょっと。わずか。」という意味を持つ漢字は何でしょうか。ヒントは、1年生で最初に習う漢字です。

答えは「一」。簡単な漢字ですが、意外と難しかったのではないでしょうか。

こんな風に、知っているはずの漢字の意味を調べてみると面白い発見があります。家族やお友だち相手に、意味から漢字を当てるクイズを出してみると盛り上がりますし、問題を出し合えば自然に語彙が広がります。

子どもは「へえ、そうなんだ!」と驚き、
辞典を引くこと自体が楽しくなります。

⑦「一の足し引き」

算数でも遊び感覚を取り入れることができます。

九九表を素早く埋める練習は定番ですが、そこに「答えに一を足す」「二倍して一を引く」といったルールを加えると、暗算力が飛躍的に鍛えられます。兄弟や友だちと競争すると、単純な九九表が一気に知的なゲームに変わります。

さらにサイコロを使って「出た目×七を暗算する」といった即興の計算ゲームをすれば、算数が苦手な子どもでも楽しんで取り組めます。

工夫次第で勉強は楽しくなる

家庭学習において大切な親の役割は、子どもが楽しく学べる場をつくることです。やる気は「やらされている」と感じているうちは芽生えにくく、「やってみようかな」と思えた瞬間にこそ育ちます。親ができるのは、その「入口」を工夫して演出することです。

勉強を遊びに変える仕掛けを取り入れれば、子どもは自分から机に向かうようになります。親は横で「勉強したの?」と監督するのではなく、一緒に遊びを楽しむ伴走者として関わることが大切です。

今日紹介した方法は、どれも特別な教材や費用を必要とせず、家庭で簡単に始められるものばかりです。ぜひ試してみてください。きっと子どもから「ちょっと楽しい!」という声が聞けるはずです。

清水先生おすすめの勉強法掲載。HugKumムック『中学受験 親のフォローの正解ってなに?』予約受付中!

12月16日(火)に、HugKumから中学受験のムックが発売されます! テーマは「親のフォローの正解ってなに?」。

低学年のうちに身につけておきたいこと、4大塾の比較や塾選びのコツ、今注目したい学校紹介など、多くの識者に取材を重ねて構成。ほかにも、整理整頓など親のサポート法や、松井ケムリさんをはじめとした有名人・一般読者の実体験も掲載。実践的な情報がたくさん詰まった一冊です。

清水先生おすすめの、4タイプ別 “ゲーミフィケーション勉強法”を掲載しています。ぜひチェックしてみて!

「中学受験 親のフォローの正解ってなに? 令和の家庭にちょうどいい、受験スタイルの見つけ方」

連載バックナンバーはこちら

子どもの「勉強って楽しい!」のために親ができること

子ども向け書籍発売中!

東大卒の教育アドバイザーが「勉強が楽しく・得意になるワザ」を伝授! 書籍『10歳からの“勉強”こうりゃく! 頭がよくなる88ワザ』6/12(木)発売
「勉強嫌い」な子どもが変わる! 88の学習ワザとは 自身の時間の使い方や効率的な勉強法を体系化し、東京・京都・大阪で「勉強のやり方」...

記事執筆

清水章弘 教育アドバイザー

1987年、千葉県船橋市生まれ。私立海城中学高校、東京大学教育学部を経て、同大学院教育学研究科修士課程修了。中学高校時代に生徒会長、サッカー部、応援団長、文化祭実行委員などを経験しながら東京大学に現役で合格。自身の時間の使い方や効率的な勉強法を体系化し、「勉強のやり方」を教える塾プラスティーを起業。現在は東京・京都・大阪で運営。創業以来、公教育支援を続けており、青森県三戸町教育委員会の学習アドバイザー等を務めてきた。

著書は『東大式ふせん勉強法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など13冊。累計40万部を突破、海外翻訳も多数。TBS「ひるおび」YTV「情報ライブ ミヤネ屋」MBS「よんちゃんTV」コメンテーター、北海道テレビ「イチモニ!」などに出演。朝日新聞・朝日小学生新聞で執筆・連載中。プライベートでは2児の父。

編集部おすすめ

関連記事