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親自身が学ぶ姿勢を子どもに見せる
学習に取り組む様子が見えないと、心配から、つい「宿題やったの?」「勉強しなさい!」と声をかけてしまうこともあるでしょう。しかし、人は「やらされ感」を感じるとモチベーションが下がってしまうもの。その解決策の一つが「一緒にやる」ことです。
「一緒にやる」といっても、子どもの学習に付きっきりになる必要はありません。同じ空間で、それぞれが自分の課題に向き合うだけでも効果は十分あります。

また、親が「知らない」と素直に言えることも大切です。「お母さんなら知ってるでしょ」「お父さんなら答えられるでしょ」と期待されても、無理に正解を答える必要はありません。
子どもに「どうしてカブトムシには角があるの?」と聞かれたら、「これは知らないな。一緒に調べてみよう」と返してみましょう。親が調べる姿を見せることで、大切なのは「知っていること」ではなく「学ぶこと」だと子どもは理解します。
さらに、親自身が「なんで道はカーブしてるんだろうね?」「今日の夕焼けは特にきれいだけど、どうしてかな?」と積極的に疑問を口にすることで、子どもは「学びは疑問から始まる」という感覚を自然に身につけていくでしょう。
日常生活を「学びの種」に変える
学びは机の上だけにあるわけではありません。親が「これは学びのチャンス」と視点を変えるだけで、子どもの好奇心はどんどん育ちます。
スーパーで算数ごっこ
買い物の場面は算数の宝庫です。「お菓子を200円以内で選んでみよう」「3割引っていくら安くなるのかな?」など、普段の計算が実生活に直結していることを実感できます。算数だけでなく、生鮮食品の産地を地図で確認したり、買いたいものが置いてある場所を推測したりするのも良いでしょう。
キッチンで理科体験

- ・卵をゆでると固まるのはなぜ?
- ・ホットケーキがふくらむのはどうして?
- ・野菜を切ると断面はどんな形になる?
身近な現象に「どうして?」と問いかけるだけで、科学的な視点が育まれます。特にホットケーキ作りは、材料を混ぜる過程、焼いている間の変化、できあがりまで、たくさんの発見があります。
電車移動で地理探検
スマホの地図アプリを活用すれば、移動が探検に早変わりします。「次の駅はどっちかな?」と方向を予想したり、「川を渡ったね、地図でも見える?」と地形を確認したり。「この駅名はどうしてこの名前なんだろう?」と語源を調べるのも面白いでしょう。
家を「学びの場」に変える
家庭そのものを「一緒に学ぶ場」に変える工夫も効果的です。一緒に学ぶ際には、学習開始前に、お互いが今日学ぶことを宣言してみましょう。
「僕は算数の計算と、国語の音読の宿題をする」
「お父さんは、気になっていたこの本を読む」
このように共有することで、その後の学習にも集中しやすくなります。学習終了時には、学習の成果を共有する時間をつくるのもおすすめです。
親子で本棚を共有するのも効果的です。大人と子どもの本をあえて同じ本棚に収納するのです。

ママやパパの本も家族で自由に読める。
親からするとまだ難しいと思っている本でも、子どもは意外と興味をもつことがあります。たとえ内容がわからなくとも、本棚を通してこの世界には、まだまだ知らないことが広がっていることを感じることができます。
まとめ:小さな積み重ねが大きな変化を生む
「勉強しなさい」を「一緒にやろう」に変え、知らないことは素直に「知らない」と言う。買い物、料理、移動中に「なんで?」を口にし、親自身が学ぶ姿を見せ、家族で学習の成果を報告し合う。そんな小さな変化から始めてみてください。
日常の中にある疑問を大切にし、親子で一緒に調べ、驚きを共有すること。時には答えが出なくても、それ自体が立派な学びです。
子どもに「勉強ってちょっと楽しい!」を届けるのは、特別な教材や塾ではなく、親が見せる小さな姿勢の積み重ねなのです。まずは今度の週末に、この中のどれか一つを試してみませんか?
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記事執筆
1987年、千葉県船橋市生まれ。私立海城中学高校、東京大学教育学部を経て、同大学院教育学研究科修士課程修了。中学高校時代に生徒会長、サッカー部、応援団長、文化祭実行委員などを経験しながら東京大学に現役で合格。自身の時間の使い方や効率的な勉強法を体系化し、「勉強のやり方」を教える塾プラスティーを起業。現在は東京・京都・大阪で運営。創業以来、公教育支援を続けており、青森県三戸町教育委員会の学習アドバイザー等を務めてきた。
著書は『東大式ふせん勉強法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など13冊。累計40万部を突破、海外翻訳も多数。TBS「ひるおび」YTV「情報ライブ ミヤネ屋」MBS「よんちゃんTV」コメンテーター、北海道テレビ「イチモニ!」などに出演。朝日新聞・朝日小学生新聞で執筆・連載中。プライベートでは2児の父。
