参拝は元旦に行かなくてもいい!? 神社ソムリエに聞く「受験合格祈願」の心が整う参拝のあり方

受験本番を控え、親として「できることは全てしてあげたい」と願うのは当然のこと。合格へのラストスパートで、最後は神様にも背中を押してもらいたい…。そんな思いで合格祈願に出かけるご家庭も多いことでしょう。では、神様に最も届きやすい「祈り方」とはどのようなものでしょうか。神社ソムリエの佐々木優太さんに、受験本番に臨む親子が大切にすべき参拝のあり方についてお話をうかがいました。

実は神社は願い事を叶える場所ではない!?

――神社参拝に関しては、“鳥居の前で一礼する”とか“二礼二拍手一礼”など様々なマナーがあるとされますよね。神様にお願いを叶えてもらうためには、やはりこうしたマナーは守るべきなのでしょうか?

佐々木さん まず結論から申し上げると、神社では「こうしなければならない」というルールやマナーはありません

今に伝えられている参拝の様々な作法は、神様を大切に思う気持ちを態度や行動であらわそうとしたご先祖様たちのモラルの集大成のようなものです。モラルとは外から強いられるルールでなく、あくまで個人の主観的な規範ですので、これをしたから願い事が叶いやすくなるとか、逆に、しなかったから罰が当たるなどということは全くありません。

――ルールに縛られずに、いわばフリースタイルで参拝しても問題ないということでしょうか?

佐々木さん そうですね。もちろん、自分自身が丁寧な所作でお参りしたいから90度の角度でお辞儀する…なんていうのはありだと思いますが、やるかやらないかはあくまで個々人の気持ちの問題です。もっというならば、神社ってそもそも願い事を叶えてもらうところではないんですよ。

――えっ、そうなんですか!?

佐々木さん はい。神社とは願い事を叶えてもらう受動的な場所ではなく、本来の自分にかえるための場所なのです。

罪けがれを払うことをお祓いといいますが、罪けがれの語源は、「包み」と「気・枯れ」。「包み」とは他者から持たれるイメージのことで、「気・枯れ」とは、元気をなくして本来の自分ではなくなっている状態を指します。

我々は日常生活を普通に送っているだけでも、様々な包みを負わされて、気が枯れていくものですが、神社へ参拝に上がることで元の自分、つまり“元気”になるというのが神社参拝のあり方です。

だから、僕としては受験生には合格祈願のために参拝するのではなく、「受験生だからもっと勉強しなければならない」「合格しなければいけない」といった「包み」によって「気が枯れて」しまったときに、本来の自分を取り戻すため、息抜きのために神社に上がることをおすすめしたいです。

――そうすると、元旦にわざわざお参りする必要もないということでしょうか? なんとなく元旦のほうが縁起がいい気もしますが…。

佐々木さん 本人しだいなので、新年早々に気持ちを整えたいのであれば行ってもいいし、逆に、受験直前期にわざわざ混雑する神社に行きたくないのであれば、もちろん行かなくていいです。

ちなみに、僕の見解としては元旦にはむしろ神社に行かなくてもいいと思っています。というのも、実は元旦は1年に1回、年神様が各家庭を訪問する日なんです。だから、わざわざ自分から神社に出向かなくても、年末の大掃除で家の中を清めたうえで、神様を自宅に迎えてゆっくり過ごすのもいいのではないでしょうか。

神社ソムリエ直伝! 日常生活にも生かせる参拝の所作

――神社にはルールがなく、参拝の仕方は個々人のモラルしだい…というお話がありましたが、佐々木さんご自身は神社での所作ではどのようなことを心がけているのでしょうか?

佐々木さん こうしなければならない…というルールとしてではなく、僕個人のスタイルとしてお話しさせていただきますね。まず、鳥居の前で一礼。それから参道を歩く際は、神様の通り道とされる真ん中の“正中”は避け、左端または右端を歩きます。なお、左端を歩くときは左足から、右端を歩くときは右足から入ることで、正中にお尻を向けずに済むのでおすすめです。

佐々木さん ちなみに、こうした所作は、神社参拝だけでなく日常生活のあらゆるシーンにもつながります。例えば、受験の面接では部屋に入る前に一礼しますよね。それに、他人の家にお呼ばれしたり取引先の企業を訪問したりした際、廊下の真ん中を我が物顔で歩くよりも、端を歩いたほうが好印象を与えるのではないでしょうか。神社参拝のときだけお行儀よくするのではなく、神様への丁寧な振る舞いを普段の生活にも生かしてほしいと思います。

――神社の拝殿での振る舞いについてはいかがでしょうか?

佐々木さん まず、神様を呼び招く鈴の鳴らし方ですが、ひもをがむしゃらに前後左右に揺らすのではなく、ひもを一回上にたるませて上下に振ってみるとすがすがしい音色が響きます。

それから、かしわ手にもちょっとしたコツがあって、両掌をぴったり重ね合わせるのではなく、右手の指先を左手の第一関節くらいまで下げてたたくと、よい音が鳴りますよ。神道では、音は非常に重要で、音を鳴らすときの振動を通じて「自分が生きている」ことを実感し、気持ちを整えることにもつながるといわれています。

――合格祈願のための絵馬の書き方で、何か気を付ける点はありますか?

佐々木さん これもあくまで僕ならこうする…ということですが、まずは神様が読みやすいように丁寧な字で縦書きにすること。日付は西暦ではなく「令和八年」などとするのがよいでしょう。絵馬に限らず、日常生活で他人に向けたメッセージを書く際にも相手の立場に合わせる心構えは非常に大切だと思います。

「合格させてください」とりきんで願うよりも、まずは親子が「元気(元の気)」を取り戻すこと。それが結果として、本番で実力を出し切るための最短距離なのかもしれません。

直前期の緊張感に包まれている今こそ、ふらりと神社へ足を運び、心を整えてみませんか。神様の前で本来の自分にかえることができれば、きっとすがすがしい気持ちで、運命の当日を迎えられるはずです。

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お話を聞いたのは…

佐々木優太さん 神社ソムリエ

昭和59年7月7日生まれ。兵庫県出身。20歳になる年にシンガーソングライターを目指しギターとハーモニカだけを持って上京。バイトに明け暮れながら路上ライブの日々だったが、26歳の時夜中に突然「伊勢神宮に行かなきゃ」と思い立ち、そのままバイクで伊勢の神宮へ。そこから神社参拝を重ねるごとに、神職の方々や地元の方に神話や伝承を聞いたりして知識を深める。その知識と雑学をもとにYouTube「神社ソムリエのあやかりチャンネル」やTV・ラジオなどのメディアで神社の魅力や開運情報を発信。令和6年12月に出版したゲッターズ飯田さんとの共著「幸せ舞い込む!あなたの開運神社」は発売開始1か月で5万部を突破。令和7年現在、全国1万5千社以上を参拝し拝受した御朱印は4,500を超える。

取材・文/中田綾美

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