隂山英男先生「自由研究に悩んだら生成AIに聞いてみたらいい」夏休みはAIを活用して主体的に楽しんで、今しかできないことをしてほしい

長い夏休みがやってきました!毎年夏休みをなんとなく過ごしてしまっていますが、今年はいつもとは違った過ごし方をしてみませんか? 百ます計算をはじめ、「読み書き計算」の徹底した反復学習と生活習慣の改善に取り組む「陰山メソッド」で知られる隂山英男先生に、今を生きる子どもたちにこそおすすめしたい夏休みの過ごし方を伺いました。

夏休みは主体的に学ぶ時間に。宿題は超特急で終わらせよう!

――夏休みは、学校の宿題などの昔ながらの形にこだわらず、好きなこと、内面を深めるなど主体的に学ぶ時間に充てるべきでしょうか?

隂山先生 そうです。昔から提言してきたことではありますが、現在はその必要度が桁違いに上がっていると思います。学校教材だけでなく家庭用学習教材も充実してきているわけなので、受け身的ではなく、学校や塾にこだわらず自分の目的やペースを作れるかが大事だと思います。

――学校からの宿題はどう取り組めばいいでしょう。

隂山先生 最近は夏休みの宿題をなくしたり少なくしたりする学校が増えているので、ドリルのような宿題は、超特急で取り組んで7月中には終わらせましょう。まず終わらせればOKです。そのうえで、塾の宿題や苦手科目を補う課題など、自分に必要な勉強に取り組む時間を作りましょう。

――では自由研究はどうですか?

隂山先生 自由研究のテーマや内容で悩んだら全部生成AIに聞いてみたらいいと思います。そういうことをすると「楽をしている、ズルをしている」と言われがちですが、実際は私たちの生活を楽にするため、あらゆる分野でAIが活躍しています。そんな中で子どもだけがAIを使わないというのはとてももったいない! 今の子どもたちはデジタルネイティブどころか、AIネイティブですから、自分の手足、そして頭脳を使うようにAIをツールとしてどんどん使いこなせばいいんです。絵を描くにも音楽を作るのにもAIを駆使しながら、クリエイターのように制作しても面白いと思いますし、それこそが自由研究になります。

AIを使いこなすカギは基礎学力! 読み書き計算をしっかり学ぶことが改めて大切

――AIをいかに使いこなせるかがカギですね。

隂山先生 ここで重要なのは、生成AIを使いこなすためには、読み書き計算の“基礎学力”があることが第1条件です。文字情報から知識を得るわけですから、「漢字が読める」「言葉の意味がわかる」など基礎があるから新しい情報は入ってきます。またそこから「文章を読み解く」ことができれば、たくさんの情報から正しいものを選び取ることもできるのです。

基礎を学び、たくさんの言葉を知っていて、どう組み合わせることができるか、そこをレベルアップしていかないとAIを使いこなすこともできないということです。

――最近では翻訳機能が充実したAIもありますね。

隂山先生 これからの時代はAIグラスなど自動翻訳機があるから英語をやる意味はないのではないかという意見もあります。でもこれを実際に使った身としては、目の前の眼鏡に翻訳した文章が出てくるのでそこそこ会話は成り立ちますが、間に翻訳というワンクッション置くことになり、本当の意味でのコミュニケーションは取りにくいのが現実です。

そういう意味でも“AIがあるからいらない”ではないんです。未来を生き抜くためにも今一度“読み書き計算”の基礎学力は身に付けて、レベルアップできるといいですね。

――レベルアップするのに夏休みはちょうどいい長さですか?

隂山先生 そうです。1か月というと漢字の能力をいっぺんに引き上げられる能力が見えてきます。漢字がわかるようになれば言葉の意味がわかるので文章が読めるようになり、言葉を知っていることでAIを適切に使いこなせるようになりますし、文章題、長文の理解度が上がるので、ほかの教科の点数アップにもつながります。

夏休みは普段話さない夢や未来を親子でゆっくり語り合いたい

――子どもだけでなく、親も一緒に考えて知識をブラッシュアップしていく必要がありますね。

隂山先生 大きな時代の変化を迎えているわけだから、未来をどうとらえてどう生きるかを家族で考える時間に充てるという、特別な夏にするといいんじゃないかと思います。

ただ、“子どもの将来だから子どもに考えさせましょう”というのは少し乱暴で、だいたい失敗するんです。たとえ子どもの人生であっても、世の中のことはお父さんお母さんの方がよく知っているはずです。「こうするべき」と決めつけてはいけないけれど、親は親の観点でアドバイスをして、視野を広げてあげなければいけないと思います。それを踏まえて「君ならどうする?」と聞いてみてはどうでしょう。

話をするだけでなく、生成AIで日本の未来や自動運転のこと、イーロン・マスクは本当に火星に行きたいと思っているのか? などを親子で一緒に調べたりしても面白いと思います。

未来のことを想像するのに大人も子どももありません。AIによって視野を広げて、「学校から独立して、日本から自立する」そんな大きな話を親子で対話する夏にしてみてはいかがでしょうか。

――夏休み中の親のサポートで必要なことはありますか?

隂山先生 基本的には子どもが主体的に夏休みを過ごしていたら、それでいいと思います。必要なサポートとしては、最後の1週間くらいになったら早めに気持ちを切り替えて、新学期に向けて生活習慣を整えておくようにすることです。子どもは環境の変化に合わせることがまだ苦手です。それでも2学期になればすぐにまた授業が再開されるので、そのときにつまずくと不登校へつながる子も少なくありません。夏休み気分を引きずらないためにも、学校で新たに学び始められるように前もって準備をすることが大切です。

親御さんはお子さんの学習面だけでなく、生活面にも心を配りながら夏休みを楽しむサポートができたらいいですね。

隂山先生流夏休みの過ごし方まとめ

●学校の宿題は7月中に超特急で終わらせよう。
やらなくてはいけない「夏ドリル」は、毎日コツコツよりもできるだけ短時間でまとめて取り組んだ方が効率も理解も上がります。

●お盆までに読み書き計算など、AIを使いこなすために基礎学力を一気に高めておこう。
ドリルでつまずいたところは再度復習。漢字の読み書きなど基礎学習はしっかりとこの期間に身に付けましょう。

●学習がノルマにならないよう、お盆前後の学習は休憩する!
勉強しすぎはモチベーションを下げることも。旅行は計画から子どもにも参加してもらったりして、勉強から離れた、体験・経験重視の期間にしましょう。

●家族で未来について話してみよう
長い夏休みを利用して、日頃話さないような大きな夢や、未来のことなどを話してみましょう。未来の話に正解はまだありません。お父さん、お母さんが考える未来と子どもが思い描く未来との違いはどんなところでしょう。ゆっくりと時間をかけて考えて話すことで、多角的な視点が備わり、親子間の理解も深まります。

●AIを使いこなして自分で知識を得よう
PCやスマホの新たなアプリを使って、音楽やイラストなどクリエイティブな分野に挑戦してみます。また、知りたいことを上手に問いかければ、より深い情報にたどり着くことができます。

●8月25日から1週間くらいで生活習慣を通常モードに戻そう
夏休みは“やらなくてはいけないこと”を超特急で終わらせて、その後は好きなこと、やりたいことに励む期間です。でもまた9月になれば、少しアップテンポな学校生活が戻ってきます。また新学期の生活に戻すために、気持ちを切り替える期間も必要です。

今年の夏休みを特別なものに! 休みの後半は生活習慣を戻すことも大切

今の子どもたちはスマホ一つでいろいろな情報にアクセスできる環境にいます。夏休みの過ごし方も、かつての親世代とまるっきり同じ過ごし方では進歩がないのかもしれません。

基礎学力を高め、進化を続ける生成AIも上手に使いこなしながら、今までに知らなかったこと、やったことがないことに挑戦し、視野を世界や未来に向けるーー。せっかくの長期休みを特別なものにし、レベルアップを図ってみてはどうでしょうか。

陰山先生のドリルは夏休みのおうち学習におすすめ!

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お話を聞いたのは

隂山英男

1958年兵庫県生まれ。1980年、岡山大学法学部卒業後、教職の道へ。百ます計算をはじめ、「読み書き計算」の徹底した反復学習と生活習慣の改善に取り組み、子ども達の学力を驚異的に向上させた。その指導法である「陰山メソッド」は、教育者、保護者から注目を集め、「陰山メソッド」を教材かした『徹底反復シリーズ』は、総計1000万部の大ベストセラーとなっている。現在、YouTube『陰山英男公式チャンネル』で授業や講演を公開して注目を集めている。

この記事を書いたのは

長南真理恵 ライター

子育てや教育、エンタメにまつわる方々への人物インタビューを多く取材・執筆。大人はもちろん、子どもたちから話を聞くのも好きです。3兄弟を育てる母でもあり、同じように子育てに向き合っている方たちが共感できたり、悩みや困りごとに寄り添えるような記事を発信しています。

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