長時間のゲームやスマホが及ぼす影響
子どものゲームやスマホなどのスクリーンタイムが及ぼす影響については、世界的に研究が行われています。例えば次の研究結果は、知っておいたほうが良いでしょう。
1. 前頭葉の機能低下による「注意制御・実行機能」の阻害
乳幼児期から児童期にかけて、テンポの速い動画やゲームといった過剰なデジタル刺激に長時間さらされ続けることは、感情をコントロールし、長期的な計画を立て、目先の衝動を抑える役割を担う脳の「前頭葉(前頭前野)」の発達の偏りや遅れと関連することがシンガポールのエブリン・C・ロー博士らの長期研究(2023年)で示されています。
幼少期にスクリーン時間が長かった子どもほど、脳波検査において9歳時点での注意力や実行機能のスコアが有意に低下しています。
2. 後天的な「ADHD」症状の誘発
カナダのスフプリート・K・タマナ博士らの研究(2019年)によると、5歳時点で1日2時間以上のスクリーン視聴習慣がある子どもは、そうでない子どもに比べてADHD(注意欠如・多動症)症状に該当するリスクが約7.7倍になることが明らかになっています。
3. 自己制御力・情動コントロールおよび社会性の発達阻害
サンディエゴ州立大学のジーン・M・トウェンゲ教授らが約4万人の青少年を対象に行った大規模調査(2018年)では、1日1時間を超えるスクリーンタイムが、自己制御力、好奇心、情緒の安定性、集中力といった非認知能力の低下と関連していることが示されました。
ゲームやスマートフォンはやめられないようにできている!

これらの研究結果を知ると、ゲームやスマホに夢中になる子どもを見て見ぬふりはできなくなります。しかし、保護者が知っておくべきなのは、そもそもスマホやゲームは、子どもが絶対にやめられないように作られているということです。
この事実を踏まえ、次の認識を持っていただきたいと思います。
1.子どもの「性格」や、親の「しつけ」の問題と捉えない
ゲームをやめられないのは、子どもの意志が弱いからでも、育て方が悪いからでもありません。そもそもやめられないように設計されていることと、児童期における脳の成長過程の正常な生理的現象であると理解してください
2.「親が直接踏むブレーキ」の弊害を理解する
子どもがやめられないからといって、親が「ダメ!」「勉強しなさい!」「没収する!」と怒鳴り、無理やり取り上げることは、親が子どもの代わりにブレーキを踏んでいることになります。この関わりを続けていると、子どもは自分の前頭前野(ブレーキ回路)を使って葛藤し、自制する訓練の機会を失い、将来的に自己管理能力が弱い大人になってしまいます。
3. 「外部補助ブレーキ」として並走する
教習所の助手席に座る教官のような存在をイメージし、子どもが「自分でブレーキを踏み、前頭前野を鍛える練習」ができるよう、環境設定と問いかけによってサポートする伴走者としての関わりが望ましいです。
子どもがゲームやスマホとうまく付き合えるようになるおすすめの声かけ
保護者が子どものゲームやスマホの「外部補助ブレーキ」として伴走者となるために、ぜひ次の声かけ方法を試してみてください。

1. 「今日のゲームは、何時までに終わらせる? どうやってゲームを切り上げるか、あなたが考える『作戦』は?」
この問いかけによって「考える力(思考力)」および「目標達成能力」を直接的にトレーニングすることができます。自分で「終了時間」という目標を設定し、それを守るための「作戦」を言葉にさせるプロセスは、計画立案やシミュレーションを行う前頭前野(ブレーキ回路)を活性化させます。
もし自分で決めた作戦が失敗し、時間通りにやめられなかったとしても、叱る必要はありません。「作戦の何がうまくいかなかったのかな? 明日はどう修正する?」と問いかけるステップへ移行できます。これにより、ゲームの管理という日常の出来事を通じて、問題解決のための主体的な思考力の向上が期待できます。
2.「今日は自分で決めた時間にちゃんとゲームをやめられたね! 自分の気持ちをしっかりコントロールできて、すごくかっこいいよ」
この声かけは、すべての非認知能力の土台となる「セルフイメージ」を向上させる、極めて重要なフィードバックです。
「自分は物事をやり遂げられる」「自分は誘惑をコントロールできる」という自己効力感を子どもが持つための、客観的な「証拠(実績)」を認識させるからです。親から単に「あなたならできるよ」と励まされても、それは自己効力感を高める「証拠」にはなりません。
子どもが自分でルールを守れた、葛藤を乗り越えてデバイスを自ら置いたという「証拠(実績)」をつくった瞬間に、親が肯定的な評価を伝えることが重要です。
3. 「今、ゲームを続けたい気持ちと、『そろそろやめなきゃ』って葛藤している気持ち、それぞれ何パーセントくらい? 自分でブレーキを踏むために、ママに何か手伝えることはある?」
この声かけは、子ども自身の脳内にある「前頭前野(ブレーキ回路)」を刺激し、自分の中に客観的な視点を持つ「メタ認知能力」を効果的に高めるアプローチです。
心の中にある「やめたいけれど、やめられない」という葛藤を、親が「葛藤している状態そのもの」として認めてあげることで、子どもは安心し、自分を客観視できるようになります。
その上で、「自分でブレーキを踏むために、どんなサポートが必要?」と問いかけます。 例えば、子ども自身が「あと3分だけタイマーをかけて、鳴ったらママがスマホを受け取って」といった「自分でブレーキを踏むための作戦」を主体的に考えることで、子どもの中に「自分の意志でブレーキを踏んだ」という自己制御の実績を積ませることができます。

まとめ
いかがでしたか。保護者は、子どもにゲームやスマホを無理やりやめさせる考えはやめて、新たに子どもに伴走する姿勢に転じたほうが、子どもの健全な成長につながるようです。ぜひ夏休み中にも、率先して取り組んでみてください。
また今回は非認知能力のトレーニング方法についても解説されましたが、非認知能力専門塾「Five Keys」では非認知能力の中でも特に重要である「ビリーフ・セルフイメージ」「考える力」「目標達成能力」「コミュニケーション能力」「愛される人格」の5つの力を重視し、育成に力を入れているそうです。これらの能力を特に伸ばしたいと考えるなら、相談してみてはいかがでしょうか。
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お話を伺ったのは
最先端の心理学や脳科学を融合させることで、人それぞれの持つ能力を最大限に引き出す、独自の能力開発メソッドを確立。2011年に未来の成功者を育てるため、小学生を対象とする日本初の非認知能力専門塾Five Keysを設立。講座などを通じてこれまで指導した小学生の保護者は5万人を超える。
この記事を書いたのは
Web業界からライターに転身し独立。読者のみなさまが知りたい、役に立つ情報を、ライフスタイルから子育て、健康、食、ITまで、取材の上でわかりやすく面白く伝えることを心がけています。